管理人のイエイリです。
日立建機は、2020年8月に自立型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE」を開発し、建機の遠隔操作や自動運転ニーズへの対応を進めています。(2024年3月27日の当ブログ参照)
同社はこのほど、パソコンなどのモニターに強いEIZO(本社:石川県白山市)と、無線通信技術に強いサイレックス・テクノロジー(本社:京都府精華町)とコラボし、油圧ショベル用の遠隔操作ソリューションを開発しました。
上の写真を見ると、一見、普通の遠隔操作システムのようですが、これまでと大きく違うのは作業中の現場を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dモニターで立体視
できることなのです。(日立建機のプレスリリースはこちら)
日立建機は1980年代から遠隔操作の研究開発を行ってきましたが、遠隔操作は実際にオペレーターが登場する場合と比較して、操作性や作業効率が劣るという課題がありました。
その原因は、現場の映像をモニターで見る場合に、立体感や奥行き感がないために時間を要することと、カメラ映像や操作信号を送受信する際に、通信の遅延や遮断が起こることでした。
そこでEIZOが内視鏡手術などで培った3D画像処理技術や高圧縮映像伝送技術(ストリーミングゲートウエー)などを使って、3Dモニター上に現場の立体映像を遅延なく映し出せるようにしました。
立体視には軽量でくもり止め加工を施した3Dめがねを使うため、オペレーターも快適に作業できます。
また映像の質も、土砂の微妙な色合いを再現できるレベルになったため、
土砂の水分量
も予測しやすくなり、リアルタイムな状況判断ができるまでになりました。
一方、通信の遅延や遮断への対策には、サイレックス・テクノロジーの技術を使って現場を囲むようにアンテナを設置し、メッシュ状に通信をカバーするWi-Fi環境を構築しました。
これによって山間部などの現場で、安定した通信環境の下で遠隔操作が行えます。
建機の遠隔操作システムは実用化レベルに達してきましたが、現場の状況をオペレーターに伝えるモニターについては、今回の3Dモニターや高解像度の球形スクリーン、視野角を広げたVR/ARゴーグルなど、今後も進化が期待できそうですね。