吹き付けウレタン厚を3D計測! クラボウが「アツミエル」を開発、10月からサブスク開始へ
2024年6月28日

管理人のイエイリです。

マンションやビルの断熱工事で、長年、使われているのがウレタン材料を壁面などに直接吹き付けて発泡させる「ウレタン吹き付け断熱工法」です。

建物の気密性を高くし、施工性がよいという特長がありますが、悩みのタネは施工後の厚さ検査です。

検査員が厚さゲージや測定ピンを吹き付け面の数カ所に押し込んで目視でウレタン厚を計測し、足りない場合は再吹き付けを行っていたので、大変な手間ひまがかかっていました。

ウレタン吹き付け断熱工法は、施工後の厚さ計測に手間ひまがかかっていた。写真は「ソフティセルONE」の施工例(以下の写真、資料:クラボウ)

ウレタン吹き付け断熱工法は、施工後の厚さ計測に手間ひまがかかっていた。写真は「ソフティセルONE」の施工例(以下の写真、資料:クラボウ)

この作業を効率化するため、クラボウ(本社:大阪市中央区)は、現場発泡ウレタン用厚さ計測システム「アツミエル」を開発しました。

吹き付けたウレタンの表面を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dスキャナーで計測

することにより、ウレタン厚の面的分布が一目でわかるのです。(クラボウのプレスリリースはこちら

そのため、ウレタン厚が設計より薄い部分があっても、施工段階で発見でき、その場で追加吹き付けによって修正できます。

「アツミエル」でウレタン厚を3D計測し、厚さ分布を見える化した例

「アツミエル」でウレタン厚を3D計測し、厚さ分布を見える化した例

「アツミエル」のスターターキット。厚さ計測に必要な3Dスキャナー、計測治具「アツミピン」、アツミピンの高所設置用治具「アツミバー」、そしてタブレットパソコンがセットになっている

「アツミエル」のスターターキット。厚さ計測に必要な3Dスキャナー、計測治具「アツミピン」、アツミピンの高所設置用治具「アツミバー」、そしてタブレットパソコンがセットになっている

「アツミエル」は、3Dスキャナーで計測治具の「アツミピン」の表面と吹き付けたウレタン面を、赤外線によって同時に計測し、差分をとることで厚さを計測します。

そのデータを、独自開発の解析アプリ「アツミエル」によってウレタン厚を色分けで見える化し、検査記録表を自動作成します。

アツミエルでウレタン厚さを計測する仕組み

アツミエルでウレタン厚さを計測する仕組み

ウレタン吹き付け工事に関する専門的な知識がなくても使用でき、

1部屋を約15分で

計測からレポート作成までを、スピーディーに行えます。

これまでウレタン吹き付け作業は、“手戻りの嵐”と言っても過言ではありませんでした。

例えば、手戻りのポイントは、現場での施工中には専門工事会社による自主検査やゼネコン検査、施工後は検査会社、施主検査と、それぞれのチェックポイントで設計より薄い部分が見つかれば、手直しや補修が求められます。

それがアツミエルによって、施工中に薄い部分を発見し、その日のうちに直すことも可能になり、手戻りのムダは大幅に削減されそうです。

アツミエル導入前(左)は手戻りとなる多くの「NG」ポイントがあったが、導入後(右)は施工中だけになり、大幅な省力化が期待できそうだ

アツミエル導入前(左)は手戻りとなる多くの「NG」ポイントがあったが、導入後(右)は施工中だけになり、大幅な省力化が期待できそうだ

システムの実用化に当たっては、竹中工務店の協力を得て、実際の施工現場で計測精度や操作性の検証を行い、システムの有効性を確認したとのことです。

「アツミエル」は、月額料金を払って使える「サブスクリプション方式」で提供されます。2024年7月1日に予約受付を開始し、同年10月1日からユーザーへの提供が始まります。

ウレタン吹き付け工事の生産性向上でお悩みの方は、検討してみてはいかがでしょうか。

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