管理人のイエイリです。
工場建設などの大規模工事では、墨出しや掘削などの作業が多く、職人の勘や経験に頼る工程が少なくありません。
設計段階で作られたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルは高精度でも、実際の施工現場では紙図面に戻して使われるケースが多く、「設計と現場がつながらない」というギャップが生産性低下の原因になっていました。
こうした課題を解決しようと、2019年から大和ハウス工業(本社:大阪市北区)とトプコン(本社:東京都板橋区)は協業し、トプコンオプトネクサス(福島県田村市)の工場建設工事を皮切りに、BIMと測量機器やICT建機を連携させる取り組みを行ってきました。(2020年11月26日の当ブログ参照)
約6年にわたる両社の協業の集大成が、2025年10月23日に山形県天童市で竣工したトプコン山形の工場です。
設計段階のBIMモデルと、現場の墨出しロボットやICT建機を連動させるだけでなく、ICT建機がによる掘削の軌跡データなどを
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMモデルにフィードバック
して、出来形管理や足場の検討などをBIM上で行えるようにしたのです。(トプコンのプレスリリースはこちら)
BIMモデルで作成した基礎データを建機に送信し、掘削位置や深さを建機オペレーターに指示するだけでなく、その施工結果を再度、BIMに取り込むことで、バーチャル空間と実際の現場が連動するデジタルツイン(デジタルの双子)による設計・施工管理を実現したというわけですね。
BIMモデルを活用した施工も拡大し、BIMデータと墨出しロボットによって墨出し作業を省人化したほか、ICT建機の掘削状況を遠隔管理する、3DレーザースキャナーとBIMモデルを比較してコンクリート床の平坦性をヒートマップで可視化する、といった取り組みも行いました。
このほかタブレット端末でBIMモデル上の位置を現場で簡単に確認できる「レイアウトナビゲーター」の活用が定着し、測量作業が省力化できたほか、生産性が約20%向上しました。
両社のコラボは今後、さらに拡大し、
設計から維持管理まで
を「データ」によって行う構想が描かれています。
完成後もBIMモデルを使って点検や改修を行い、ライフサイクル全体でデジタルデータを活用するワークフローの実現を目指すというわけですね。
今回の取り組みにより、現場では作業効率だけでなく品質の安定化も確認されました。作業員からは「進捗が可視化され、次の段取りが立てやすくなった」といった声も聞かれます。
両社の地道な取り組みにより、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の波がじわじわと広がり、作業員もその効果を実感し始めたようです。
























