管理人のイエイリです。
家屋の床下など、狭くて暗い空間にある基礎や配管設備の点検作業は、作業者にとって肉体的に大変なだけではなく、精神的にも負担が大きいものです。また、建物のオーナーさんもリアルタイムに点検個所を確認することが難しい面がありました。
そこで、日立アドバンストデジタルは、点検作業を遠隔操作で行える「点検支援ロボット(HV-YT10)」を開発。10月31日に受注を開始しました。その特徴は、防湿シートや段差、障害物を乗り越える運動性能にあります。
床下に敷設された防湿シートを巻き込まないようにしたり、15cm程度の段差をスムーズに乗り越えたりできるように、
ナ、ナ、ナ、ナント、
特許申請中のクローラー装置
を搭載しているのです。
このクローラーは、レスキューロボットの権威である千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長から、技術的な支援を受けました。
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不整地走行に適した特許申請中のクローラー装置を搭載した「点検支援ロボット」(左)とコントローラー(右)(写真:日立アドバンストデジタル。以下同じ) |
不整地をスムーズに走行できる秘密は、メインの走行クローラーの前後に片持ち梁のように取り付けられたサブクローラーです。このサブクローラーが回転運動することで、段差や障害物をクリアすることができます。階段の昇降も可能です。
また、サブクローラーの先端には低摩擦タイヤが付いており、防湿シート上でのスムーズな旋回や、車体が壁面などに乗り上げたときに空転して転倒を防ぐ機能もあります。
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サブクローラーを使った段差の上り下り(左)。車体を浮かせて障害物をクリア(中)。階段も乗り越えられる(右) | ||
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低摩擦タイヤを使って防湿シート上でスムーズに旋回(左)。壁面などに乗り上げたときは低摩擦タイヤがスリップして転倒を防ぐ(中)。家屋の床下を点検中の状況(右) | ||
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床下点検例。かすがいなしの施工不良(左)。床下の湿気により部材の劣化(右) |
本体には広範囲で車体の周囲を見渡せる走行用俯瞰(ふかん)カメラと撮影用カメラの2台が搭載されています。外観寸法は幅312mm×高さ235mm×奥行き437mm、質量は約11.5kg(カメラユニット装着時、バッテリー含まず)です。バッテリーで約1.5時間連続稼働が可能です。
ロボット一式は、
キャリングバッグ・ケース
に入れて持ち運びできるようになっています。
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専用キャリングバッグとケース |
同社ではハウスメーカーや配管設備会社、建物管理会社などを対象とし、点検支援ロボットを販売します。標準的な納期は受注後3カ月とのことです。価格はオープン価格となっています。
同社は今後も多様なロボット応用技術を活用したエンジニアリングへの展開を図っていくそうです。どんな製品が登場するのか、楽しみですね。