管理人のイエイリです。
鉄道線路の維持管理では、係員が営業列車の運転士の隣に乗り込み、線路の状態を目視と揺れの体感で確かめる「列車巡視」が欠かせません。
しかし、この作業は熟練者の技に大きく頼るうえ、判断のばらつきや見落としのリスクが避けられません。また人手不足の影響で巡視を安定的に行うことすら難しくなっています。
さらに地方鉄道では、軌道検測車のような高価な精密測定機器を導入できないケースも多く、低コストで線路状態を管理できる仕組みが求められていました。
そこで、鉄道総合技術研究所(所在地:東京都国分寺市)は列車巡視支援アプリ「Train Patroller」を開発しました。
使用する機器は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
市販のスマートフォン
なのです。(鉄道総合技術研究所のプレスリリースはこちら)
運転台に吸盤でスマホを取り付けるだけで、列車の揺れや前方映像、GPS位置、音声などを自動的に記録できます。
このアプリには、「振動」「動画」「振動+動画」の3つの計測モードがあります。スマホの加速度センサーや角速度センサー、GNSSのほか、マイクやカメラをフル活用し、GNSSによって位置や速度は毎秒1回(1Hz)、上下動揺の加速度や角速度は毎秒100回(100Hz)で計測できます。
専用の計測機器が不要で、操作も簡単。これなら新人でも熟練者と同じ品質で巡視データを取得でき、“脱技能化”を実現します。低コストなので、地方鉄道でも導入しやすいのが魅力ですね。
さらに鉄道総研の軌道保守管理システム「LABOCS」と連携して、揺れの波形やキロ程の位置情報、軌道変位データと自動的に紐づけることができます。
計測した前方映像には速度や動揺値を字幕表示できるため、「どこでどれだけ揺れたか」がひと目でわかります。 また、履歴データを比較することで、劣化傾向の把握や修繕の優先順位付けにも活用できます。
また、軌道検測車は線路の高低変位をミリ単位で精密に測れる装置ですが、このアプリの価値は、
軌道検測車との“二刀流”
によって、線路の異常を早期発見できる点にあります。
上の図は、アプリで測った列車の上下動揺の加速度と、軌道検測車で測った線路の高低変位を比較したものです。
加速度と変位は単位が違いますが、相関関係がはっきり見られるので、アプリで測った加速度から線路の高低狂いがどの程度進んでいるのかがわかるからです。
軌道検測車はコストが高く、運行回数も限られます。そこで日常の線路巡視はアプリで行い、揺れが大きくなってきたら軌道検測車で精密検査する二刀流によって、最適なタイミング























