管理人のイエイリです。
米国ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で6月23日~25日(現地時間)で開催されたIWCCE(International Workshop on Computing in Civil Engineering) 2013という土木分野でのIT活用に関するワークショップでは、3Dレーザースキャナーで計測した点群データの面白い活用法についての発表もありました。
まず、紹介するのは、韓国ソウルの中央大学校(Chung-Ang University)の研究者、チャンミン・キム(Changmin Kim)さんが開発した施工管理法です。
そのタイトルは「Development of a System for Automated Schedule Update Using 4D Building Information Model and 3D Point Cloud」というものです。
IWCCE 2013で発表する中央大学校のチャンミン・キムさん(写真:家入龍太。以下同じ) |
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMモデルと点群
を使って、施工段階のBIMモデルを自動作成する技術を開発したのです。
まず、BIMソフト「Revit」で鉄骨などの全体モデルを作っておき、それに現場で計測した3次元の点群データを重ねます。
部材の周辺付近に点群があれば「施工済み」と判断してBIMモデルを残し、点郡がなければ「未施工」と判断してBIMモデルを削除することで、施工段階のBIMモデルを作成する仕組みです。
施工段階のBIMモデルを自動作成する手順(資料:Changmin Kim) |
ちなみにBIMモデルを点群と比較し、モデルを削除する機能はRevitのアドオンソフトとしてキムさんが自作したそうです。
BIMモデルと点群データ干渉チェックを施工管理に応用した着想がいいですね。
このアイデアをさらに拡張したのが、アイオワ州立大学の女性研究者、イエルダ・ターカン(Yelda Turkan)さんの研究です。
タイトルは「Tracking Secondary and Temporary Concrete Construction Objects Using 3D Imaging Technology」というものです。
アイオワ州立大学のイエルダ・ターカンさん |
キムさんと同じく、BIMモデルと点群データを使い、細かい2次部材や仮設材の現状を把握しようという研究です。
それぞれのコンクリート部材が今、どのような状態になっているのかを
ナ、ナ、ナ、ナント、
配筋、型枠、完成
の3段階に分けて把握できるのです。
施工中の建物の施工段階を自動把握したところ。緑が鉄筋、赤が型枠、青が完成済みを表す(資料:Yelda Turkan) |
見分けるポイントは、部材の太さが変化することにあります。配筋が終わっただけだと柱の太さより細く、型枠が付いた状態だと逆に柱より太くなります。
この太さの変化を利用し、BIMモデルの部材の太さ変えて点群と干渉をチェックすることにより、これらの3段階を見分けるというものです。
配筋、型枠、完成時と部材の太さが変わることに着目した(資料:Yelda Turkan) |
ターカンさんはさらに、床スラブの施工時に仮設のパイプサポートがあるかどうかを判断する技術も開発しました。
スラブ間の空間にある点群の密度で、仮設材の有無を見分けるというものです。
床スラブ打設に設けられたパイプサポートなどの仮設材(後方) |
|
スラブ間の空間内にある点群の密度でサポートの有無を判断(資料:Yelda Turkan) |
この技術もBIMモデルと点群との干渉チェックの進化版と言えるでしょう。そのうち、3Dレーザースキャナー自体もBIMモデルでコントロールし、必要な部分だけの点群を効率的に取得するような技術も出てきそうですね。