垂直壁面も走行!日立が福島第一原発の漏水調査ロボを開発
2014年3月12日

管理人のイエイリです。

東京電力の福島第一原子力発電所では、メルトダウンした原子炉の1号機から3号機の圧力容器内に冷却水を送り込み続けています。

しかし、周辺の地下水が原子炉建屋に流れ込むため、放射能で汚染された水が毎日約400トンも増え続けています。そのため、原発敷地内では毎日のように汚染水タンクを増設する工事が続けられています。

東京電力福島第一原発で行われている汚染水タンクの増設工事(写真:ヤフー)

東京電力福島第一原発で行われている汚染水タンクの増設工事(写真:ヤフー)

そこで日立製作所と日立GEニュークリア・エナジーは、建屋内に地下水が流れ込んでいる場所を特定するため、2種類の調査ロボットを開発しました。

その1つは「水中走行遊泳型ロボット」というもので、その名の通り水中を自由自在に泳ぎ回れるほか、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

垂直の壁面を走行する

 

ことができるのです。

水中走行遊泳型ロボット(写真:日立製作所、日立GEニュークリア・エナジー。以下同じ)

水中走行遊泳型ロボット(写真:日立製作所、日立GEニュークリア・エナジー。以下同じ)

高さ330×長さ605×幅450mmの本体には1組のクローラーのほか、水中で姿勢を制御する「垂直スラスター」が4基、「水平スラスター」が2基付いています。大気中の重さは31.5kgです。

水底をクローラーで走行しているときに障害物があった場合には、これらのスラスターから水を噴射して水中を遊泳し、障害物を回避します。

また、遊泳中に姿勢を90°変化させて垂直の壁に“着陸”し、スラスターでロボット本体を壁に押しつけるようにすると垂直の壁面も走行できるというわけです。

水中遊泳から壁面走行に移る過程

水中遊泳から壁面走行に移る過程

もう1つのロボットは「形状変化型ロボット」です。こちらは陸上での作業用で、人間が入れない障害物や構造物に囲まれた狭い空間を移動することができ、冷却水の漏えい場所の調査や燃料状態の調査に使えます。

形状変化型ロボット

形状変化型ロボット

2台の小型クローラーとカメラが

 

関節を介して接続

 

されており、形を自由に変えながら直径100mmの管内や凹凸面、講師寸法25×90mmのグレーチング上を安定的に走行できます。

寸法は平面走行時は高さ90×長さ250×幅272mm、管内走行時は高さ90×長さ640×幅65mmで、重さは7.5kgです

平面走行時はクローラーを「コの字形」のように曲げ、管内走行時はクローラーを一直線にして走行する

平面走行時はクローラーを「コの字形」のように曲げ、管内走行時はクローラーを一直線にして走行する

福島第一原発では汚染水の増加を防ぐために、原子炉建屋の周囲を凍土壁でぐるりと囲み、地下水の流入を防ぐ対策も進められています。

凍土壁によるマクロな対策と、ロボットによるミクロな対策によって、汚染水の増加が食い止めることができれば、福島第一原発の廃炉作業はまた一歩前進することになります。

これらのロボットの詳細は、3月26日から28日まで東京都市大学で開催される「日本原子力学会2014年春の年会」で発表されるそうです。

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