管理人のイエイリです。
これまでのトンネル点検は、交通規制を行いながら高所作業車などによる人間が目視や打音などで検査するという手間ひまのかかる作業でした。
この作業を効率化するため、中日本高速道路(NEXCO中日本)は、トンネル用の高速点検技術の開発を東京大学情報理工学研究科創造情報学専攻の石川正俊教授とともに始めました。
日常巡回用の車両にカメラを取り付け、トンネル内を高速走行しながら映像を撮影し、その映像を画像解析することにより、コンクリートのひび割れなどを自動的に異常を検出するものです。
これまでに、トンネル天井部に設置されたジェットファンの固定金具を撮影する試験を行いましたが、結果は上々です。
ナ、ナ、ナ、ナント、
時速100kmで走行
しながら、ブレのない鮮明な画像を撮影することに成功したのです。
ここで使われたのが、石川教授が研究開発している高速画像処理技術です。高速で移動する物体を常にフレームの中心に捉えながら、高速度カメラによって高精度な映像を撮影することができます。
この点検システムでは、逆に高速移動する巡回車側に高速度カメラを搭載し、視界を高速で通り過ぎていくトンネル内部の状況をブレなく撮影している、というわけですね。
さらに、画像処理で異常を見つけることで、目視点検ではわからなかった異常が発見できるというメリットもあります。
過去の画像と比較することで、コンクリートのひび割れや金具などの位置が
進行している
などの経年変化も発見できるからです。
今後、過去の画像と比較しながら、変位や変状をリアルタイムに検出するシステムを構築していく予定です。
NEXCO中日本では、2012年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル上り線での天井板落下事故を反省し、2013年7月26日に「安全性向上3カ年計画」を公表しました。
今回のトンネル点検技術の開発もその取り組みの1つです。事故が起こったことは残念ですが、それをきっかけに点検技術の信頼線向上を目指そうという姿勢は高く評価したいですね。