管理人のイエイリです。
工事現場の騒音対策のうち、騒音を伝搬する過程で防ぐ方法としては、防音壁や防音パネルなどを工事現場の敷地境界に配置する方法がよく採用されています。
この方法は鋼材同士が接触する時の高い音などには有効ですが、建設機械のエンジン音など低い音にはあまり効果がありませんでした。
そこで、奥村組は低い音にも有効な消音システムを開発しました。
現場にマイクとスピーカーを設置し、マイクで重機の騒音を拾うと
ナ、ナ、ナ、ナント、
スピーカーから大音響
で流すという驚きのシステムなのです。
これは同社が開発した「アクティブ消音システム」というものです。マイクで重機などの音を拾うと、パソコンは騒音に含まれる「卓越周波数」の音の特性を瞬時に判断し、騒音を打ち消す音を作成します。
この音をスピーカーから流すことで、騒音を打ち消そうという仕組みです。
単にマイクで拾った騒音の位相を逆にして、スピーカーから流しているのかというと、そうではありません。
パソコンは重機から出る卓越周波数の変化を読み取り、最適な打ち消し音を作成するフィードフォワードの機能が組み込まれています。
つまり、騒音の変化に対し、先回りして対応できるという点がこのシステムの特徴ですね。
同社はこのシステムを市街地で立て坑を掘削する工事現場に導入し、水中掘削用のグラブバケットを搭載したラフテレーンクレーン(50t)の騒音低減に活用しました。
マイクとスピーカーをクレーンの排気筒付近に設置したところ、15m離れた敷地境界で最も大きな音圧を示した巻き下げ作業(63Hz)で
10dB以上の音圧低減
が実現できたそうです。
騒音のピークとなる周波数帯の騒音をこれだけ下げられたのは、かなりの成果と言えそうですね。
奥村組では今後、市街地での工事における低周波音の対策の一つとして、このシステム積極的に展開していくそうです。