計測用ターゲットをペンキ化!鹿島が「切羽ウォッチャー」を改良
2014年9月5日

管理人のイエイリです。

トンネル工事現場の最前線、切羽(きりは)で発破や掘削された地山がむき出しになっているため、崩落の危険と向かい合わせです。

そこで鹿島は2012年に高精度レーザー距離計で切羽の変位を常時、計測し崩落の可能性や崩落までの時間をリアルタイムに予測する「切羽ウォッチャー」を開発しました。

切羽ウォッチャーの概念図(以下の資料・写真:鹿島)

切羽ウォッチャーの概念図(以下の資料・写真:鹿島)

ただ、これまでは計測のターゲットとなる反射板を3個、切羽上に直接、設置していましたが手間がかかり、安全性にも課題が残りました。

そこで、鹿島が出した結論とは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ターゲットをペンキ化

 

し、離れた場所から切羽にローラーやスプレーで塗りつける方法だったのです。

切羽にターゲット用塗料をローラーで塗りつける作業

切羽にターゲット用塗料をローラーで塗りつける作業

ターゲット用に開発された塗料は「再帰性反射塗料」と呼ばれるもので、切羽がでこぼこしていても光が入ってきた方向にそのまま反射するようになっています。

切羽への安全な塗布方法にも配慮し、ローラー式は2m以上、スプレー式は5m以上、切羽から離れて作業できます。

塗料が垂れると切羽の変位を誤検知してしまうため、塗料は切羽に確実にとどまるように粘度などの仕様が決められています。

この塗料は鹿島と小松プロセス(石川県能美市)、鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)が共同開発したものです。

また、切羽上に塗布された3カ所のターゲットを計測する三方向レーザー変位計はこれまで40mの距離しか届かなかったため、掘削の進ちょくとともに前方に移動させる「盛り替え作業」を頻繁に行う必要がありました。

今回、三方向レーザー変位計もパワーアップし、

 

計測距離が100m

 

と大幅に伸びました。

掘進40mごとに必要だった盛り替え作業が100mに一度でよくなったため、生産性も向上しました。100m離れた場所でも変位量の計測誤差は±0.3mmと高精度です。

また、これまで必要だった回転制御装置も不要になりました。開発は鹿島と明治コンサルタント(札幌市中央区)、レグザム(大阪市中央区)が共同で行いました。

パワーアップされた三方向変位計。回転制御装置も不要に

パワーアップされた三方向変位計。回転制御装置も不要に

三田坂トンネルでの活用例。手前が三方向レーザー変位計

三田坂トンネルでの活用例。手前が三方向レーザー変位計

鹿島は現在施工中の三田坂トンネル(三重県伊賀市。トンネル延長:1528)で改良型の切羽ウォッチャーを導入し、効果を確認しました。

ターゲットをペンキ化できると、測量の作業は大幅に楽になりそうですね。今後の用途拡大が期待されます。

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