5G時代のトンネル現場はこれだ!大成建設がソフトバンクらと実証実験
2020年1月29日

管理人のイエイリです。

2020年から本格的にサービスが開始される第5世代移動通信システム(以下、5G)ですが、5Gを使ったトンネル工事現場はどんな感じになるのでしょうか。

その一例が、大成建設が高速通信サービス会社のWireless City Planning(以下、WCP)ソフトバンクと共に行った実証実験で明らかになりました。

5Gというと携帯電話サービスのイメージが強いので、電波が届きにくいトンネル内でどのように活用するのかと思っていたところ、

ナ、ナ、ナ、ナント、

5G回線を無線LAN

のように使って、重機の遠隔操作や作業員の安全管理を行っていたのです。(大成建設のプレスリリースはこちら

可搬式の「おでかけ5G」の基地局(左上)に接続して遠隔操作する建設機械(下)やデータ収集を行う各種センサー(右上)(以下の写真、資料:Wireless City Planning、ソフトバンク、大成建設)

可搬式の「おでかけ5G」の基地局(左上)に接続して遠隔操作する建設機械(下)やデータ収集を行う各種センサー(右上)(以下の写真、資料:Wireless
City Planning、ソフトバンク、大成建設)

今回の実証実験で構築した5Gネットワークの構成図

今回の実証実験で構築した5Gネットワークの構成図

実証実験が行われたのは、大成・佐藤・田中・堀松JVが北海道余市郡で施工中の「北海道新幹線 後志トンネル」の現場です

WCPはソフトバンクが開発した「おでかけ5G」という可搬式の基地局をトンネル内に設置し、5Gの回線を構築しました。

この基地局とトンネル内の建設機械や各種センサー、ウェアラブル端末を接続し、遠隔操作やデータ収集、アラートの送信などを行ったのです。

建機の遠隔操作の実験は、トンネル内でガス噴出などの災害が起こったことを想定して行いました。

カナモトが開発したオペレーター型の遠隔制御装置「カナロボ」を油圧ショベルやクローラーダンプの運転席に設置し、「おでかけ5G」の端末を通じて、基地局から約1400m離れた場所での遠隔操作に成功しました。

建機には4台のHD画質カメラやガスセンサーを搭載し、映像伝送も問題なく行えました。これまで災害発生時の安全確認は人間が行っていましたが、今後はセンサーを搭載した建機に、調べに行かせることが可能になりそうです。

建機の遠隔操作による安全確認のイメージ

建機の遠隔操作による安全確認のイメージ

このほか多数のガスセンサーや環境センサー、ウェアラブルセンサーを使って、危険性の高い毒性ガスや可燃性ガスのデータや、労働環境の指標となる温度や二酸化炭素濃度などをリアルタイムに監視する実験も行いました。

そして、危険な値が検出されたときには、

作業員にアラート

を送る実験も行いました。

5G回線に多数のセンサーを接続してガス濃度などを監視する実験のイメージ

5G回線に多数のセンサーを接続してガス濃度などを監視する実験のイメージ

まさに「高速・大容量、低遅延、多接続」という5G回線の特徴を生かした実験と言えますね。

とは言え、突発的な災害などで通信量が一気に急増した場合には、通信がスムーズに行えなくなり、建機の遠隔操作などに影響が出るおそれもあります。

そんな場合を想定して、重要度に応じて通信の優先制御を行う「スライシング」の機能確認を行いました。人命にかかわる小容量の通信は常時、確保しながら、建機の遠隔操作を優先するといった5Gならではの回線制御です。

通信の重要度に応じて優先制御を行う「スライシング」の実験イメージ

通信の重要度に応じて優先制御を行う「スライシング」の実験イメージ

今回はローカルな5Gの活用法でしたが、もっと広く、距離が離れた場所では、建設業につきものの「移動のムダ」を削減する5G活用法ねいろいろとありそうですね。

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