管理人のイエイリです。
和歌山県の南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポート(本社:和歌山県白浜町)は、ドライブレコーダーや人工衛星、長距離3D-LiDARを維持管理に活用するなど、デジタル技術を積極的に活用していることで知られます。(詳しくは、2022年4月15日の当ブログ記事を参照)
また、お客様向けサービスでもITを活用したユニークな取り組みを行っており、顔認証技術を利用して周辺のホテルや遊園地に「顔パス」で入れるVIPサービスなども行ってきました。
そして今、同社は日本電気(NEC)、凸版印刷、マクニカ、日本航空と共同で、MR(複合現実)デバイスやローカル5G回線を使った新しいアトラクション「MR空港体験」の開発に取り組んでいます。
2022年6月14日に行われた実証実験では、ターミナルビル内でMRグラスを着けた参加者の前に、約4分の1スケールのバーチャルなボーイング737型機が現れました。
この映像を見ると、尾翼にはJALのマークが付いているようですが、通常は白の飛行機の色がちょっと違うような気がします。
実は、真っ白だった機体に、参加者たちがMRグラスを通して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
バーチャル塗装作業
を行っていたのです。(南紀白浜エアポートのプレスリリースはこちら)
参加者の目の前には、まるで飛行機の巨大模型が置いてあるように見えています。飛行機の周りを歩き回りながら、好きな部分にクレヨンやスプレーなどで自由にペイントを行えるわけです。
他の参加者がペイントした部分は、ローカル5G回線によって低遅延で同期されるので、お互いのペイント内容がリアルタイムに確認できます。こうして参加者同士の共同作業によって、オリジナル塗装の飛行ができるというわけです。
作業中の映像は、ターミナルビル内に設置したディスプレーにも中継されるので、一般の見学者も一緒に楽しめます。
次のお楽しみは、出来上がったオリジナル塗装の飛行機を、「3Dフライトレーダー」で飛ばしてみることです。
飛行機の機内サービスで、座席前の液晶モニターに現在の飛行位置を3D地図の上に表示し、高度や速度などの情報が見られる「フライトマップ」というものがありますが、あれと同じようなものをMRグラスで再現しました。
イベントでは羽田空港を離陸し、南紀白浜空港に向かっているオリジナル塗装のJAL機、あたかも日本上空を飛んでいるかのように楽しみました。
その後、参加者たちは滑走路端に移動し、MRグラスを着けて上空を見上げました。
そこにやってきたのは、オリジナル塗装を施した実物大の
3次元JAL機
だったのです。
このとき、MRグラスからはジェット機の爆音も流れました。
自分たちが遊びのノリでペイントした飛行機が、まるで本物のように着陸するのを、実際の滑走路で見られるとは、満足度最高のアトラクションになりそうですね。
この日のイベントは、MBSニュースでも放映され、YouTubeに動画が公開されています。実際、どんな体験だったのかを見たい方はご覧ください。
このアトラクションの一般向け体験会は、2022年8月19日~8月24日(22日は除く)に行われ、7月中旬にNECのウェブサイトで募集が始まる予定です。このとき、ターミナルビルから滑走路端への移動には、自動運転車両が使われます。
その後、5社は運用方法や内容を検討し、2023年度以降にサービス開始を計画しています。
コロナ禍になる前、土木構造物や建物などに同じスケールの映像をピッタリ重ねて映写するイベント、「プロジェクションマッピング」が各地で行われ、人気を集めていました。
MRグラスを使って実際の土木構造物にバーチャル映像や音を重ねて見るアトラクションは、“3D版プロジェクションマッピング”と言えるでしょう。
プロジェクションマッピングは、設備も大がかりで、実施できる場所も「スクリーン」となる壁面が必要ですが、MRを使った3D版プロジェクションマッピングだと、場所やスケールにとらわれず、簡単に行えるのも魅力ですね。