管理人のイエイリです。
橋梁の維持管理で重要なのは、コンクリート部分のひび割れなどの損傷を把握し、適切に補修を行っていくことです。
これまではコンクリート診断士などの技術者が現場を“近接目視”して、その判定に当たってきました。
しかし人手不足が年々、進む中、人だけに頼った維持管理方法では、そのうちパンクしてしまうのが目に見えています。
そこでトプコンソキア ポジショニングジャパン(本社:東京都板橋区。以下、トプコンソキア)は、道路橋の維持管理を自動化するサービス「Dr.Bridge」の提供を2022年6月に開始しました。
コンクリート部分の写真とひび割れ幅などのデータをクラウドにアップするだけで、劣化要因と健全度を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIが自動判定
し、国土交通省の書式で点検調書まで自動的に作ってくれるのです。(トプコンソキアのプレスリリースはこちら)
このシステムは、日本海コンサルタント(本社:石川県金沢市)とBIPROGY(本社:東京都江東区。旧・日本ユニシス)
ひと口に、コンクリートのひび割れと言っても、その原因はアルカリ骨材反応だったり、凍害だったり、中性化だったりと様々です。また構造物の健全性も、定量的に判定する必要があります。
「Dr.Bridge」がスゴいのは、AI(人工知能)によって劣化要因を7種類に分類し、健全度を5段階で自動評価してくれることです。これだけの仕事をAIが自動的にやってくれると、点検調査の現場は大助かりですね。
気になる判定精度ですが、劣化要因は90.8%、健全度では84.4%まで向上しており、
人間の技術者
に迫るレベルになっています。
このシステムが登場したことで、比較的小規模で新しめの橋梁点検は「Dr.Bridge」に任せて、重要で危険な橋梁は経験豊富な技術者が担当する、といった業務の切り分けによる効率化が期待できます。
このシステムは、2020年度にある市で、橋長5m未満の10橋の定期点検で使用され、従来の点検手法に比べて30~40%(約80万円)のコスト削減を実現しました。
橋梁の劣化が年々増える一方、維持管理に当たる技術者は年々減っています。Dr.Bridgeは、高度な知識と経験が求められる点検業務を、人間のようにこなしてくれます。
このような「買って使えるAI」は、頭脳労働での人手不足解決の即戦力として注目を集めそうですね。