管理人のイエイリです。
これまで鉄道の線路点検作業と言えば、検査者が線路脇から目視点検を行ったり、専用の軌道検測車でデータを取ったりしながら、行うのが一般的でした。
この作業を効率化するため、日本線路技術(本社:東京都足立区)は、営業列車に線路設備モニタリング装置を取り付け、日々、走行しながらレールのゆがみ測定や締結装置、まくらぎなどの撮影を行う車載型保線管理システム「RAMos+」を開発しました。
このRAMos+は小田急電鉄、東急電鉄、東京メトロ、JR東日本の4社で導入されてきましたが、このほど、
ナ、ナ、ナ、ナント、
相模鉄道と東武鉄道
がユーザーに加わり、6社による共同使用が始まったのです。(日本線路技術のプレスリリースはこちら)
RAMos+の計測装置は、営業列車の床下に搭載され、「軌道変位CBMモニタリング装置」は線路のゆがみを測定し、そのデータは各鉄道会社に無線で伝送されます。
また「軌道材料モニタリング装置」はレール周辺のまくらぎやレール締結装置の状態を撮影します。
このデータを活用することで、多頻度で線路状況を把握し、最適な時期に補修を行うメンテナンス方式「CBM」(Condition Based Maintenance)を行えます。コストと品質を両立させる保守管理が行えるというわけですね。
首都圏の鉄道各社は、乗客の利便性向上やターミナル駅の混雑緩和のため、列車の相互乗り入れに力を入れており、これを一部活用して、東京メトロや東急電鉄でも、RAMos+の運用エリアを拡大していきます。
これまで、各社の線路データは、会社ごとの独立したシステムで処理されてきました。
そこで日本線路技術と鉄道6社は、線路設備モニタリングコンソーシアム「RAMOCO」を結成し、各社の軌道状況のデータを
同じプラットフォーム
上で共有しながら、CBMを推進しています。
同じプラットフォーム上で処理することで、各社が使用しているアプリなどを共有して使用できるので、アプリの二重開発などのコストを削減でき、メンテナンスの生産性を高めることが期待されます。
RAMos+やRAMOCO、CBMによる“相互乗り入れ効果”は、まず管理の遠隔化、データ化による「移動のムダ削減」や「目視点検のムダ削減」、アプリ共用による「二重開発のムダ削減」があります。
さらにデータドリブンな管理による「過剰品質・手戻りのムダ削減」、そして各社がアプリ開発で助け合う「相互協力によるムダ削減」と、保線DX(デジタル・トランスフォーメーション)の塊と言っても過言ではないほど、大幅な効果が期待できそうですね。