あの中野サンプラザがバーチャル保存されていた! 中野区が点群や3Dモデルを無料公開
2024年7月22日

管理人のイエイリです。

1973年にオープンした全国勤労青少年会館(愛称:中野サンプラザ)は、音楽の殿堂として多くの人々に親しまれてきましたが2023年7月に惜しまれながら閉館しました。

もう、あの特徴的な外観やエントランス、そして客席は見られないのかと、寂しい思いをしていた皆さんに朗報です。

東京都中野区は、中野サンプラザの解体に先立ち、ドローンレーザー測量や3Dレーザースキャナー、iPhoneのLiDARなどを駆使して、

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dでバーチャル保存

しており、2024年7月16日に無料公開を始めたのです。(中野区のプレスリリースはこちら国際航業のプレスリリースはこちら

東京都中野区が無料公開した中野サンプラザ外観の点群データ(左)と3Dモデル(右)(以下の資料:中野区)

東京都中野区が無料公開した中野サンプラザ外観の点群データ(左)と3Dモデル(右)(以下の資料:中野区)

大ホール内部の点群データを2階客席から見たところ

大ホール内部の点群データを2階客席から見たところ

点群計測や3Dモデル作成を担当したのは、国際航業です。中野サンプラザの外観や内部のエントランス、コンサートホール、チャペル、レストランを、航空レーザー測量や地上レーザー測量、3Dカメラを使って計測しました。

3Dモデルは「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」(令和3年3月国土交通省)に準拠し、「LOD200」の詳細度で作成しました。

点群のデータ形式はlas形式、3Dモデルはifc、nwc、nwd、glbの4形式です。

計測に使用した機材

【外観】
CityMapper-2(航空測量センサー)、Hovermap ST-X(ハンドヘルドレーザースキャナー)、iPhone 12PRO Max(LiDAR)、Pix4DCatch(ソフトウエア)

【建物内部】
Focus S350(地上レーザースキャナー)、ZEB-HORIZON(ハンドヘルドレーザースキャナー)、Hovermap ST-X(ハンドヘルドレーザースキャナー)、iPhone
12PRO Max(LiDAR)、Pix4DCatch(ソフトウエア)

国際航業が計測した点群データなどは、「東京都 オープンデータカタログサイト」で無料公開されており、データ利用条件はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの

CC-BY 4.0

と自由度が高く、原作者のクレジット「中野区」を表示すれば、営利目的を含めてユーザーが自由にデータを改変、複製、再配布できます。

東京都 オープンデータカタログサイトでダウンロードできるデータ一覧

東京都 オープンデータカタログサイトでダウンロードできるデータ一覧

これらのデータに併せて、中野区はデジタルツイン作成ツール、「Matterport」で計測した建物内部の360°ビューや、全体を俯瞰(ふかん)するドールハウスビューをWeb上で公開しています。

Matterportのデータ表示は、下記のリンク先をクリックし、パスワード「nakano」を入力すると見られます。

エントランスコンサートホール1階コンサートホール2階チャペルレストラン。(公開は2027年3月27日まで)

Matterportのエントランス部の3Dビュー

Matterportのエントランス部の3Dビュー

エントランス部をドールハウスビューで見たところ

エントランス部をドールハウスビューで見たところ

エントランス部の平面図表示。寸法測定も可能

エントランス部の平面図表示。寸法測定も可能

エントランス部の平面図表示。寸法測定も可能

エントランス部の平面図表示。寸法測定も可能

点群のデータは重く、外観の点群データは約2.9GB、大ホール内部は12.1GBなどとなっています。点群データを表示するソフトをお持ちでない方は、無料点群ブラウザー「3D Point Studio」が使えます。また、3Dモデルは「glb」形式を選ぶと、Windows付属のアプリで開けますので、ぜひ、試してみてください。

各地で歴史的建物が老朽化し、保存するか解体するかの論争も起こっていますが、その中間的な解決策として、点群や3Dモデルによるデジタルアーカイブを使ったバーチャル保存も、今後、広まっていきそうですね。

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