管理人のイエイリです。
1973年にオープンした全国勤労青少年会館(愛称:中野サンプラザ)は、音楽の殿堂として多くの人々に親しまれてきましたが2023年7月に惜しまれながら閉館しました。
もう、あの特徴的な外観やエントランス、そして客席は見られないのかと、寂しい思いをしていた皆さんに朗報です。
東京都中野区は、中野サンプラザの解体に先立ち、ドローンレーザー測量や3Dレーザースキャナー、iPhoneのLiDARなどを駆使して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dでバーチャル保存
しており、2024年7月16日に無料公開を始めたのです。(中野区のプレスリリースはこちら、国際航業のプレスリリースはこちら)
点群計測や3Dモデル作成を担当したのは、国際航業です。中野サンプラザの外観や内部のエントランス、コンサートホール、チャペル、レストランを、航空レーザー測量や地上レーザー測量、3Dカメラを使って計測しました。
3Dモデルは「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」(令和3年3月国土交通省)に準拠し、「LOD200」の詳細度で作成しました。
点群のデータ形式はlas形式、3Dモデルはifc、nwc、nwd、glbの4形式です。
計測に使用した機材
【外観】 【建物内部】 |
国際航業が計測した点群データなどは、「東京都 オープンデータカタログサイト」で無料公開されており、データ利用条件はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの
CC-BY 4.0
と自由度が高く、原作者のクレジット「中野区」を表示すれば、営利目的を含めてユーザーが自由にデータを改変、複製、再配布できます。
これらのデータに併せて、中野区はデジタルツイン作成ツール、「Matterport」で計測した建物内部の360°ビューや、全体を俯瞰(ふかん)するドールハウスビューをWeb上で公開しています。
Matterportのデータ表示は、下記のリンク先をクリックし、パスワード「nakano」を入力すると見られます。
エントランス、コンサートホール1階、コンサートホール2階、チャペル、レストラン。(公開は2027年3月27日まで)
点群のデータは重く、外観の点群データは約2.9GB、大ホール内部は12.1GBなどとなっています。点群データを表示するソフトをお持ちでない方は、無料点群ブラウザー「3D Point Studio」が使えます。また、3Dモデルは「glb」形式を選ぶと、Windows付属のアプリで開けますので、ぜひ、試してみてください。
各地で歴史的建物が老朽化し、保存するか解体するかの論争も起こっていますが、その中間的な解決策として、点群や3Dモデルによるデジタルアーカイブを使ったバーチャル保存も、今後、広まっていきそうですね。