東亜建設がAIカメラで“レーダー下暗し”を克服! 500m以内の船舶と位置を高精度で検知
2024年7月17日

管理人のイエイリです。

海上工事の現場周辺を行き交う船の位置を検知するために、よく使われるのがレーダーです。

しかし、レーダーにも思わぬ弱点があります。それは500m以内の近い位置にいる船は、レーダーの送信波と反射波の干渉などによって、位置が検出しにくかったり、1つの船が何隻もの“偽像”を伴って見えたりするからです。

東亜建設工業は、船舶レーダーが近距離に弱いという“レーダー下暗し”問題を解決するため、船舶航行監視システム「COS-NAVI」を開発しました。

500m以内にいる船は、現場周辺を高精度カメラによって撮影した映像から、

ナ、ナ、ナ、ナント、

AI画像認識技術

によって、検知するのです。

500m以内の近距離を航行する工事用船舶をカメラ映像からAIが検出した例(以下の写真、資料:東亜建設工業)

500m以内の近距離を航行する工事用船舶をカメラ映像からAIが検出した例(以下の写真、資料:東亜建設工業)

レーダーの弱点だった近距離にいる小型船舶(赤枠部分)の検知を、「COS-NAVI」が可能にした

レーダーの弱点だった近距離にいる小型船舶(赤枠部分)の検知を、「COS-NAVI」が可能にした

海上を行き交う船舶の位置を把握する方法として、大型船にはAIS(Automatic Identification System)という船舶自動識別装置の搭載が義務付けられており、GNSS(全地球測位システム)で計測した自分の位置を発信しているので、距離にかかわらず、AIS対応のレーダーなどで検知できます。

一方、小型の漁船やプレジャーボート、工事用船舶などには、AISの搭載が義務付けられていないため、レーダーとともに目視による監視が欠かせませんでした。

今回、開発した船舶航行監視システム「COS-NAVI」は、AISと船舶レーダー、GNSSに加えて、カメラ映像のAI検知機能により、近距離にいる小型船舶の位置を把握し、航行状況を自動追尾できるようになったのです。

カメラ映像のAI解析によって近距離にいる小型船舶の位置を把握するシステムの概要

カメラ映像のAI解析によって近距離にいる小型船舶の位置を把握するシステムの概要

AI画像認識の教師データには、実際の港湾工事で撮影した映像を用いているため、一般の船舶のほか、グラブ浚渫船や地盤改良船、起重機船、潜水士船といった工事用船舶も検知できます。

実際の港湾工事で、システムを検証したところ、船舶検知率は、

90%を超える

ことが確認されました。

大型船から小型船まで、距離を問わずに位置や航行状況を自動検知する「COS-NAVI」の全体構成

大型船から小型船まで、距離を問わずに位置や航行状況を自動検知する「COS-NAVI」の全体構成

COS-NAVはこのほど、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されました(登録番号:KTK-240003-A)。

海洋工事の安全を確保するため、これまではレーダーと人間の目視によって常時、周囲を警戒する必要がありました。COS-NAVIによって人間の労力はもちろん、見落としなどのリスクも大幅に削減されそうですね。

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