ミュージアムタワー京橋に「建物維持管理BIM」を本格導入! 建物オーナー主導で日建設計らが運用開始
2024年6月14日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による建物の維持管理は、十数年前から設計事務所や建設会社が提唱してきましたが、これからはオーナーが主体的に導入する時代に変わってきそうです。

東京・京橋にあるオフィスと美術館の複合施設「ミュージアムタワー京橋」のオフィス部分を所有・管理する永坂産業(本社:東京都中央区)と、アーティゾン美術館を所有・管理する石橋財団(事務局:東京都中央区)は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

建物維持管理BIM

を発注者主導で導入したのです。(日建設計のプレスリリースはこちら

ミュージアムタワー京橋の外観。10階以上は永坂産業が所有・管理するオフィス専用部、7階以下は石橋財団が所有・管理するアーティゾン美術館の専有部となっている。地上23階、地下2階の鉄骨造/一部鉄筋コンクリート造で床面積は約4万1800m2。2019年7月に竣工(以下の資料:日建設計)

ミュージアムタワー京橋の外観。10階以上は永坂産業が所有・管理するオフィス専用部、7階以下は石橋財団が所有・管理するアーティゾン美術館の専有部となっている。地上23階、地下2階の鉄骨造/一部鉄筋コンクリート造で床面積は約4万1800m2。2019年7月に竣工(以下の資料:日建設計)

「建物維持管理BIM」の仕組み。建物のBIMモデルを3D形状と属性情報に分け、維持管理情報と統合してWEBブラウザーで活用する

「建物維持管理BIM」の仕組み。建物のBIMモデルを3D形状と属性情報に分け、維持管理情報と統合してWEBブラウザーで活用する

建物オーナーである永坂産業と石橋財団は、従来の建物管理方式をより効率化したいと考え、三井住友信託銀行と不動産管理のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を検討していました。

その一環として、建物の維持管理にBIMを導入することになり、このビルの設計者である日建設計が技術協力やシステムの要件定義を支援したほか、パートナー企業の選定を行いました。

まず行ったのは、重い施工用のBIMモデルを維持管理用のLOD(詳細度)に落として軽量化し、建物管理者がWEBブラウザーで簡単に扱えるようにしたことです。この維持管理用BIMデータの作成は、トランスコスモス(本社:東京都豊島区)が担当しました。

軽量化された建物全体のBIMモデル

軽量化された建物全体のBIMモデル

建物各フロアのBIMモデル

建物各フロアのBIMモデル

このBIMモデルに、FMシステム(本社:東京都文京区)の維持管理システム「FM-Integration」を組み合わせて、2024年6月に統合FMプラットフォームが完成、運用が始まりました。

BIMデータと維持管理データを統合する「FM-Integration」の概念図

BIMデータと維持管理データを統合する「FM-Integration」の概念図

今後はこの建物の運営管理を担う三井不動産ビルマネジメント(本社:東京都中央区)が主体となって、本格運用を行い、ライフサイクルコスト(LCC)の最適化を目指していきます。

建物維持管理BIMの導入・運用にかかわる各社の役割分担

建物維持管理BIMの導入・運用にかかわる各社の役割分担

日建設計は6月以降、統合FMプラットフォームの活用成果をシステムにフィードバックし、操作性の向上やカスタマイズ機能の開発、運用マニュアルの作成などを行います。

このほか、スマートビル化を支援するため、デジタルツイン(デジタルの双子)プラットフォームとして、

Autodesk Tandem

を活用し、BIMデータと設備などのIoT(モノのインターネット)データを連携させて、室内環境の可視化も試行しています。(Autodesk Tandemの製品紹介ページはこちら

デジタルツインプラットフォーム「Autodesk Tandem」を使った室内環境の可視化

デジタルツインプラットフォーム「Autodesk Tandem」を使った室内環境の可視化

こうした大規模なビルの維持管理にBIMが導入された背景には、不動産を所有する企業の維持管理部門でも、人手不足が課題になっていることがあります。

今回の事例が突破口となって、ビルオーナーが維持管理の生産性向上にBIMを積極導入する時代がやってきそうですね。

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