管理人のイエイリです。
長谷工コーポレーションは、2012年からマンションの事業計画から設計、施工、そして販売、維持管理までにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを活用する「長谷工版BIM」を開発、展開しています。
その特徴は、BIMによる設計を大幅に自動化していることです。
まず、設計段階用には、BIMソフト「Revit」と表計算ソフト「Excel」のマクロを連携させて、マンションの住戸配置や外形を瞬時に自動作成する「MATOM」(2014年10月30日の当ブログ参照)を開発しました。
施工段階用では、プレキャストの柱・梁部材をトレーラーやクレーンで作業できるサイズに自動分割する「超高層PCa梁分割システム」(2020年10月15日の当ブログ参照)、現場で生コンクリートを打設する際に、1回の打設に必要な生コン数量を高精度で自動算出するシステム(2022年8月5日の当ブログ参照)なども開発しています。
そしてこのほど、BIMによる設計の自動化は、さらに細部にまで進んできました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dの給水給湯配管
モデルを、BIMで自動作成する「給水給湯配管の自動設計システム」を開発したのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら)
この自動設計システムは、長谷工がプレハブ配管メーカーのカワトT.P.C.(本社:山口県岩国市)、AI(人工知能)開発企業のKICONIA WORKS(本社:東京都渋谷区)とともに、「建設業の2024年問題」対応するために開発したものです。
これまでは、マンション住戸の間取り図をもとに、手作業で給水給湯の配管ルートを考え、 BIM モデルを作成していました。
一方、このシステムでは、建物のBIM データから必要な情報を抽出し、給水給湯の配管ルーティングとBIMソフト「Rebro」のモデル作成を自動で行います。
この自動化により、設計品質が向上するほか、手作業に比べて
約70%の生産性向上
を図ることができるのです。
さらに、配管の見積もり作成や、部材発注に使う 2次元図面の作成を3Dの自動設計に置き換えることで、建設現場の業務フローの改善も期待できます。
長谷工では今後、対象を排水管や排気ダクトにも広げ、給水給湯・排水・排気ダクト一貫の配管自動設計システムを開発し、さらなる設計品質と生産性向上を目指していくとのことです。