西松建設がトンネル現場の仮設配置計画を自動化! Dynamoでジェネレーティブデザインに挑戦
2024年6月20日

管理人のイエイリです。

山岳トンネル現場の坑口付近には、掘削した土砂の仮置き場や吹き付けコンクリートを製造するプラント、そして発破用の爆薬に雷管を取り付ける火工所など、狭い敷地に多数の仮設備を配置する必要があります。

各設備の位置によって、工事用車両や作業員の動線が左右され、施工の効率や作業の安全性は大きく影響されます。かといって、巨大な設備が多いので、一度配置を決めたら、そう簡単には変更できません。

そのため、経験豊富な現場技術者であっても、仮設備の配置計画は頭を悩ませるものでした。

そこで西松建設ONESTRUCTION(本社:鳥取県鳥取市)は、最適な配置計画の作成を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

ジェネレーティブデザイン

の手法を使って、自動化したのです。(西松建設のプレスリリースはこちらONESTRUCTIONのプレスリリースはこちら

ジェネレーティブデザインで計画した、トンネル坑口付近の仮設備の配置例(資料:西松建設)

ジェネレーティブデザインで計画した、トンネル坑口付近の仮設備の配置例(資料:西松建設)

ジェネレーティブデザインとは、コンピューターでデザイン案を作成し、その評価や改良を膨大な回数、繰り返して最終的に最適な計画を求める手法です。

今回は、オートデスクのBIMソフト「Revit」とジェネレーティブデザイン用のプログラミングツール「Dynamo」を使用しました。

Dynamoによって自動作成された無数の仮設配置計画と評価の例(資料:ONESTRUCTION)

Dynamoによって自動作成された無数の仮設配置計画と評価の例(資料:ONESTRUCTION)

山岳トンネル工事は、掘削最前面となる「切羽(きりは)」の削孔、爆薬の装てん、発破、ずりの搬出、吹き付けコンクリートやロックボルトの施工といった作業を繰り返し、様々な工事車両や重機、作業員が動きます。

これらの動きと各仮設備の配置を踏まえた計画の良しあしは、これまでベテラン現場技術者の頭の中にある「暗黙知」で評価されてきました。

そこで今回は、ベテラン技術者のノウハウやアイデアを「形式知化」し、ジェネレーティブデザインの評価に組み込み、無数の計画案をそれぞれ評価して、ベストなものを求めたのです。

従来の設計手法(左)に比べて、ジェネレーティブデザイン(右)は膨大な計画案を作成し、短時間で結果が得られるので生産性向上にもつながる(資料:西松建設)

従来の設計手法(左)に比べて、ジェネレーティブデザイン(右)は膨大な計画案を作成し、短時間で結果が得られるので生産性向上にもつながる(資料:西松建設)

ベテラン技術者の暗黙知を形式知化し、Dynamoに組み込んだ計画システムは、

技術の伝承

にも大いに役立ちそうです。

西松建設は今後、さらに暗黙知をシステムに落とし込み、性能の向上を図るとともに、他工種への展開などにジェネレーティブデザインを活用していく方針です。

既に行っているのかもしれませんが、トンネル掘削の繰り返し作業の工程表と、ジェネレーティブデザインを連携させると、工事全体の作業シミュレーションと、フロントローディングによってさらなる生産性向上が実現しそうですね。

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