管理人のイエイリです。
山岳トンネル現場の坑口付近には、掘削した土砂の仮置き場や吹き付けコンクリートを製造するプラント、そして発破用の爆薬に雷管を取り付ける火工所など、狭い敷地に多数の仮設備を配置する必要があります。
各設備の位置によって、工事用車両や作業員の動線が左右され、施工の効率や作業の安全性は大きく影響されます。かといって、巨大な設備が多いので、一度配置を決めたら、そう簡単には変更できません。
そのため、経験豊富な現場技術者であっても、仮設備の配置計画は頭を悩ませるものでした。
そこで西松建設とONESTRUCTION(本社:鳥取県鳥取市)は、最適な配置計画の作成を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ジェネレーティブデザイン
の手法を使って、自動化したのです。(西松建設のプレスリリースはこちら、ONESTRUCTIONのプレスリリースはこちら)
ジェネレーティブデザインとは、コンピューターでデザイン案を作成し、その評価や改良を膨大な回数、繰り返して最終的に最適な計画を求める手法です。
今回は、オートデスクのBIMソフト「Revit」とジェネレーティブデザイン用のプログラミングツール「Dynamo」を使用しました。
山岳トンネル工事は、掘削最前面となる「切羽」の削孔、爆薬の装てん、発破、ずりの搬出、吹き付けコンクリートやロックボルトの施工といった作業を繰り返し、様々な工事車両や重機、作業員が動きます。
これらの動きと各仮設備の配置を踏まえた計画の良しあしは、これまでベテラン現場技術者の頭の中にある「暗黙知」で評価されてきました。
そこで今回は、ベテラン技術者のノウハウやアイデアを「形式知化」し、ジェネレーティブデザインの評価に組み込み、無数の計画案をそれぞれ評価して、ベストなものを求めたのです。
ベテラン技術者の暗黙知を形式知化し、Dynamoに組み込んだ計画システムは、
技術の伝承
にも大いに役立ちそうです。
西松建設は今後、さらに暗黙知をシステムに落とし込み、性能の向上を図るとともに、他工種への展開などにジェネレーティブデザインを活用していく方針です。
既に行っているのかもしれませんが、トンネル掘削の繰り返し作業の工程表と、ジェネレーティブデザインを連携させると、工事全体の作業シミュレーションと、フロントローディングによってさらなる生産性向上が実現しそうですね。