竹中工務店が「設計BIMツール」を開発!BIMの“I”を最適アプリで処理し施主の要望を早期実現
2024年3月11日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、建物の3D形状や寸法と、部材などの仕様などの「属性情報」を1つにまとめて扱うので、1つのBIMモデルを作っておけば、様々な情報を必要に応じて取り出すことができます。

ただ、これまでのBIMによる設計方法は、床や壁、開口部などの3Dパーツを一つ一つ選び、組み立てていく手作業が中心だったので、施主が希望する条件を踏まえたBIMモデルを作るのに時間がかかっていました。

また、施主がBIMモデルに含まれる部屋の面積や仕上げ・断熱仕様など、建設コストや環境性能など、投資採算性にかかわるデータを見たいと思っても、設計者に依頼してBIMモデルからデータを取り出し、まとめてもらうのを待つしかありませんでした。

建物の設計に対する、施主の様々な要望(以下の資料:竹中工務店)

建物の設計に対する、施主の様々な要望(以下の資料:竹中工務店)

これまでのBIMは、施主側から設計内容を自由に見ることができなかった

これまでのBIMは、施主側から設計内容を自由に見ることができなかった

こうしたこれまでのBIMの問題を解決しようと、竹中工務店は施主の要望に添った複数の設計提案を短時間で提供するため「設計BIMツール」を開発しました。

●設計BIMツールを構成する3つのソフトウエアと機能
・「設計ポータル」:「情報」と「形状」をクラウド上で管理
・「設計アプリケーション」:建築、構造、設備などの各種アプリケーション
・「モデルチェッカー」:作成されたBIMモデルの品質を自動チェック

その最大の特徴は、BIMモデルの形状と属性情報を「設計ポータル」というクラウド上で、

ナ、ナ、ナ、ナント、

分離して一括管理

することなのです。(竹中工務店のプレスリリースはこちら

建物の属性情報と形状のデータを分離し、設計ポータル上で情報共有するイメージ

建物の属性情報と形状のデータを分離し、設計ポータル上で情報共有するイメージ

「設計ポータル」上では、施主からの各室仕様の要望や、設計図書に記載していた敷地情報、インフラなどの与条件を、クラウド上で共有します。

敷地やインフラなどに関する情報は、外部のデータベースと連携させているため、情報の取得やデータ入力などの省力化が図れます。

一方、BIMソフトで作成された建築、構造、設備に関する建物の「形状」データも「設計ポータル」にアップロードされ、クラウド上で一括管理します。設計者は常に最新の属性情報と建物形状のデータを共有できます。

情報の閲覧や操作は、一般のWEBブラウザーでできるため、必要に応じて施主と共有することも可能です。

属性情報に関するデータ(左側)と形状に関するデータ(右側)を分離したうえ、設計ポータル上で一括管理する

属性情報に関するデータ(左側)と形状に関するデータ(右側)を分離したうえ、設計ポータル上で一括管理する

属性情報は、文字情報や数字が中心で、必要に応じて並べ替えたり、集計したりと表計算ソフトで扱った方が便利なものもあります。また、部屋の動線に関する情報は、動線分析ソフトで扱った方が効率的な場合もあります。

属性情報を分離して扱えるようにしたのは、

最適なツール

でデータ作成や加工ができるようにするためなのです。

同社のリリースには、属性情報と形状情報を連携させる方法について、詳しい説明はありませんでした。

そこで、YouTubeで公開されている動画を詳しく見ていたところ「空間Id」という番号が部屋やスペースごとに割り振られたているようでした。これで属性情報をBIMモデルの各部材に“注入”したり取り出したりしているのかもしれませんね。(あくまでもイエイリの妄想です)

部屋ごとに割り振られた「空間Id」番号

部屋ごとに割り振られた「空間Id」番号

このほか「設計BIMツール」を構成するものとして、建築、構造、設備のアプリからなる「設計アプリケーション」が開発されました。ZEB(ネットゼロエネルギービル)や騒音シミュレーション、構造設計、設備設計、品質チェックなどを同じデータに基づいて、同時並行でシミュレーションを行えます。

また、設計したBIMモデルの整合性や納まりなどをチェックする「モデルチェッカー」も開発されました。

設計アプリケーションを構成するアプリの1つ、環境アプリ

設計アプリケーションを構成するアプリの1つ、環境アプリ

BIMモデルの整合性や納まりなどをチェックするモデルチェッカー

BIMモデルの整合性や納まりなどをチェックするモデルチェッカー

これらのシステムは、このほど、基本設計に着手するすべてのプロジェクトで活用が始まりました。

設計したデータは2021年11月から運用が始まっている「建設デジタルプラットフォーム」に蓄積し、施工や竣工後の維持管理でも活用しいくとのことです。

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