管理人のイエイリです。
「マンションのことなら長谷工」というテレビCMでもおなじみの、あの長谷工コーポレーションが本格的なBIM活用に乗り出しました。
マンションの事業計画から設計、施工、そして販売、維持管理まで同社のビジネスモデル全体でBIMデータを活用するもので、その名も「長谷工版BIM」と言います。
マンションに特化したBIM活用のため、Revitによる意匠、構造、設備の「フルBIM」を基本にして、様々な自動設計機能を備えています。
その1つがRevitと表計算ソフト、Excelのマクロを連携させたマス自動配置・連携システム「MATOM」というもので、
ナ、ナ、ナ、ナント、
マスモデルを自動作成
して、マンションの住戸配置や外形を瞬時に自動作成できるのです。
Excelシートで事業計画書を作り、マクロで処理したデータをRevitに連携させてマスモデルを作り、さらにそのデータをもとに概算コスト算出まで行います。
そして、さらに驚くべきことに、マスモデルに階段や窓などの要素を自動的に配置できる「ATOM」というオリジナルツールで、標準的なマンションを自動設計してしまうのです。
同社ではBIM活用に当たって、規格型部材やオリジナル商材から柱、梁、壁、廊下・バルコニー床などの躯体部分、そして外装、内装、設備、外構などを含む約5000個のBIMパーツ(ファミリ)を作成したそうです。その中には、「洋室」や「リビング」などの部屋単位のパーツもあるそうです。
さらに、このBIMモデルは販売用のパンフレットやパースの作成、そしてモデルルームで使うウオークスルーシステムなどのデータとしても使われます。
昨日(10月29日)、長谷工版BIMで企画設計から実施設計、販売手法までを行った分譲マンション「ブランシエラ板橋西台」(東京都板橋区、鉄筋コンクリート造9階建て、総戸数80戸)のモデルルームで、そのデモンストレーションが行われました。
これまでのモデルルームは、住戸タイプによって何種類かのモックアップを作る場合もありましたが、ここは標準的な1タイプだけのモックアップを作り、他のタイプはCGやウオークスルーによって見てもらう方式です。
マンションに特化し、ビジネスモデル全体でフロントローディング(業務の前倒し)効果を発揮できるため、当然、効果も高くなりそうです。
同社の説明は控えめでしたが、今回のBIMの導入におけるROI(投資に対する増益効果)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
10倍以上
が見込まれるとのことです。
長谷工コーポレーションの本社では、2012年10月にBIM活用を推進する体制を整備し、現在は設計・施工のスタッフからなる「BIM設計部」を置き、約57人がBIMで設計を行っているほか、意匠や設備の基本設計を行う部門で約80人がBIMを使っています。
2016年度には、BIMの活用率を100%に高め、BIM設計部で約100人のBIM活用体制にするほか、関西や東海地方でも順次、BIM活用を進めていくとのことです。
そして、維持管理やリフォームなどへの展開も順次、進めていきます。長谷工版BIMの展開から、ますます目が離せませんね。