管理人のイエイリです。
マンション分野で設計・施工一貫比率が100%近い長谷工コーポレーションでは、2012年から「長谷工版BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」を開発し、活用しています。
また、超高層マンションの施工では、柱と梁の接合部を梁と一体化して工場生産する
柱梁接合部プレキャスト工法
を開発し、工期短縮や品質の安定化を図っています。
今後、ますます厳しくなる人手不足時代への対応策として、部材を工場生産するプレハブ工法が注目されていますが、構造分野においてこの流れを先取りする取り組みですね。
この柱梁接合部プレキャスト工法で、生産性を上げるための大きなポイントは、工場製作の際に各部材をどのような大きさや形で分割するかです。
大きすぎると部材を工場から現場に輸送するトレーラーに載せられなかったり、クレーンで持ち上げられなかったりします。
逆に小さすぎると、トレーラーでの輸送やクレーンでの揚重作業を何度も行わなければならず、現場で部材同士を接合する作業も増えてしまいます。
そのため、これまではトレーラーの積載可能な容量や重量、クレーンの吊り上げ可能重量、柱や梁の接合方法、設備の貫通部などを考慮して、部材の分割位置を検討していましたが、多くの時間と労力がかかっていました。
この分割作業を効率化するため、同社では長谷工版BIMと連動した「超高層PCa(プレキャスト)梁分割システム」を開発しました。
特別な専門知識や経験がなくても、梁寸法やコンクリート強度、継ぎ手の長さなどの施工条件を入力するだけで、梁分割のシミュレーションが可能になり、
ナ、ナ、ナ、ナント、
従来の半分程度の時間
で分割が行えるようになったのです。
さらに、このシステムと長谷工版BIMが連動して、PCa製作図などがなくても部材を工場で作れる「情報化生産」も可能になるそうです。
製作図なしでプレキャスト部材が作れるとは、まさに建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)と言えるでしょう。今後のマンション建設のワークフローが大きく変わっていきそうです。