世界初、JFEスチールらが一酸化炭素のレーザー検知器を開発! ガス漏れ点検は遠隔で
2024年5月15日

管理人のイエイリです。

製鉄所では、膨大な配管設備に腐食やひび、ガス漏れなどがないかを確かめるため、目視や測定器などを使って日常的に点検が行われています。

中でもやっかいなのが、コークス炉ガスなど一酸化炭素(CO)を含むガス配管の点検です。

高い位置や人が簡単に入れない場所にある配管の場合、棒の先端に吸引式ガス検知器を取り付けたり、足場に乗ったりしてガス漏れ検査を行っていますが、効率的な点検が難しいのが課題でした。

高い場所にある一酸化炭素を含むガス配管の点検は、棒や足場を使って行うため、効率的な作業が難しかった(以下の資料、写真:JFEスチール、東京ガスエンジニアリングソリューションズ、ガスター)

高い場所にある一酸化炭素を含むガス配管の点検は、棒や足場を使って行うため、効率的な作業が難しかった(以下の資料、写真:JFEスチール、東京ガスエンジニアリングソリューションズ、ガスター)

この作業を効率化しようと、製鉄大手のJFEスチールと東京ガスグループの東京ガスエンジニアリングソリューションズ(本社:東京都港区)、そしてリンナイグループのガスター(本社:神奈川県大和市)は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

一酸化炭素をレーザー光

で瞬時に検知する、世界初のレーザー式一酸化炭素検知器を開発したのです。(JFEスチールのプレスリリースはこちら

レーザー式一酸化炭素検知器の外観

レーザー式一酸化炭素検知器の外観

検知器の仕組み

検知器の仕組み

この検知器は、ガスが特定の波長の光を吸収する「赤外吸収現象」を利用した反射式のものです。

東京ガスエンジニアリングソリューションズが2001年に世界で初めて開発したレーザー式メタン検知器の技術を応用し、一酸化炭素の検知に最適な2.3μm帯の波長のレーザーを使用することで、一酸化炭素の高感度な遠隔検知を実現しました。

検知能力は、16m離れた場所から100ppm・m(ガス濃度×厚み)の一酸化炭素を瞬時に検知できるほど高性能です。

この検知器を使うと、高い場所の配管も地上からレーザー光を当てるだけで1人で一酸化炭素を検知できるので、維持管理の高度化やコスト・時間削減の効果が期待できます。

レーザー式一酸化炭素検知器を使用した検査イメージ。地上からレーザー光を当てるだけなので効率的だ

レーザー式一酸化炭素検知器を使用した検査イメージ。地上からレーザー光を当てるだけなので効率的だ

この検知器は、今後、量産化に向けた開発を進め、2025年の発売を目指しています。

まずはJFEの製鉄所にこの検知器を導入し、現場でのニーズや使用感を確認するほか、将来的には、

ドローンやロボットに

この検知器を搭載し、さらに省人化や効率化を図ることも検討していきます。

ドローンによるガス漏れ検査のイメージ

ドローンによるガス漏れ検査のイメージ

●3社の役割

JFEスチール TGES ガスター
・業務上必要となる要件の検討
・評価実験
・実証機の仕様検討
・開発の取りまとめ
・仕様に基づく実証機の製作
・性能検査

レーザー光などを使った遠隔検査技術によって、将来は配管や配線、設備などのデジタルツイン化による維持管理も実現しそうですね。

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