管理人のイエイリです。
製鉄所では、膨大な配管設備に腐食やひび、ガス漏れなどがないかを確かめるため、目視や測定器などを使って日常的に点検が行われています。
中でもやっかいなのが、コークス炉ガスなど一酸化炭素(CO)を含むガス配管の点検です。
高い位置や人が簡単に入れない場所にある配管の場合、棒の先端に吸引式ガス検知器を取り付けたり、足場に乗ったりしてガス漏れ検査を行っていますが、効率的な点検が難しいのが課題でした。
この作業を効率化しようと、製鉄大手のJFEスチールと東京ガスグループの東京ガスエンジニアリングソリューションズ(本社:東京都港区)、そしてリンナイグループのガスター(本社:神奈川県大和市)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
一酸化炭素をレーザー光
で瞬時に検知する、世界初のレーザー式一酸化炭素検知器を開発したのです。(JFEスチールのプレスリリースはこちら)
この検知器は、ガスが特定の波長の光を吸収する「赤外吸収現象」を利用した反射式のものです。
東京ガスエンジニアリングソリューションズが2001年に世界で初めて開発したレーザー式メタン検知器の技術を応用し、一酸化炭素の検知に最適な2.3μm帯の波長のレーザーを使用することで、一酸化炭素の高感度な遠隔検知を実現しました。
検知能力は、16m離れた場所から100ppm・m(ガス濃度×厚み)の一酸化炭素を瞬時に検知できるほど高性能です。
この検知器を使うと、高い場所の配管も地上からレーザー光を当てるだけで1人で一酸化炭素を検知できるので、維持管理の高度化やコスト・時間削減の効果が期待できます。
この検知器は、今後、量産化に向けた開発を進め、2025年の発売を目指しています。
まずはJFEの製鉄所にこの検知器を導入し、現場でのニーズや使用感を確認するほか、将来的には、
ドローンやロボットに
この検知器を搭載し、さらに省人化や効率化を図ることも検討していきます。
●3社の役割
JFEスチール | TGES | ガスター |
・業務上必要となる要件の検討 ・評価実験 |
・実証機の仕様検討 ・開発の取りまとめ |
・仕様に基づく実証機の製作 ・性能検査 |
レーザー光などを使った遠隔検査技術によって、将来は配管や配線、設備などのデジタルツイン化による維持管理も実現しそうですね。