管理人のイエイリです。
ドローン(無人機)で現場上空から撮影した写真や動画のデータを確認したり、利用したりするとき、これまではmicroSDカードやWi-Fiなどを使って手動で抜き出す方法が一般的でした。
しかし、一刻を争う災害や遭難者救助などの場面では、そのちょっとしたタイムラグさえ許されないこともあります。
そこでNTTドコモは、Skydio, Inc.(以下、Skydio社)の自律飛行型ドローンで撮影中の映像を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
リアルタイムに確認
できる映像伝送サービス「Skydio Streaming」を開発し、2022年6月21日にサービスを開始したのです。(NTTドコモのプレスリリースはこちら)
これまで、Skydio社の自律飛行型ドローン「Skydio 2」「Skydio 2+」「Skydio X2」は、撮影した後に機体から手動でデータを抜き出す必要があったため、撮影データの確認やクラウドなどでのデータ共有に時間を要していました。
「Skydio Streaming」では、Skydio社のドローン管理サービス「Skydio Cloud」にパソコンのWebブラウザーでアクセスすることで、飛行中のドローンが撮影している映像をリアルタイムに遠隔地から確認できるようにしたのです。
必要な場所や要救助者の映像が映っていなかった場合など映像撮影が「NG」の場合も、その場で撮影し直せます。そのためドローンが帰還し、映像に不具合があった場合に再度、撮影し直すといった手戻りもなくなります。
2022年5月16日に、NTTドコモは岐阜県多治見市にある国土交通省中部地方整備局多治見砂防国道事務所で、砂防堰堤や上流の渓流をドローンで空撮し、離れた事務所内の会議室からリアルタイムに映像を見る実証実験に成功しました。
その際、「Skydio 3D Scan」というソフトを使い、市之倉おりべ砂防ダムの写真を、37分間に3m間隔で976枚もの写真を自動撮影し、
3Dモデル
の作成まで行ったのです。
災害現場の映像をスピーディーに3Dモデル化して、災害規模の把握や救助活動などに役立てた例としては、昨年(2021年)7月、静岡県熱海市で発生した土石流災害が思い出されます。
このときは、現場で撮影された高解像度の映像を、オンラインで結集した有志が解析して3Dモデル化し、災害前の点群データと比較して崩壊した土砂の量などをわずか数日で詳細に把握しました。(詳しくは、2021年7月7日付の当ブログ記事を参照)
今回、NTTドコモが提供開始した「Skydio Streaming」は、このワークフローをシステムに組み入れ、しかも映像の撮影段階から手戻りがないように確実性を高めたものと言えそうです。