管理人のイエイリです。
iPhoneにRTK-GNSS用のアンテナを付けることで、点群や基準点座標などをセンチメートル級精度のグローバル座標系で計測できる「万能測量機」に変身させる画期的な機器として、レフィクシア(本社:東京都港区)の「LRTK iPhone 4C」(以下、LRTK)が、現場関係者の間で静かなブームになっています。(2024年4月8日の当ブログ参照)
このほど、LRTKの新機能として「AR(拡張現実)」機能が追加されました。
RTK-GNSSの位置情報を利用して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
屋外現場と3Dモデル
などを重ねて見られるのです。
従来のAR(拡張現実)は、3Dモデルと現場の位置を原点で合わせたのち、加速度センサーで現場の位置や方向を追っていくという方式をとっていたため、ユーザーが移動すると3Dモデルと現場の風景がずれてしまうという課題がありました。
その点、LRTKはRTK-GNSSの位置情報を使って現場と3Dモデルの位置を追跡していくので、ズレがなく、最初の位置合わせ作業も不要になりました。
このRTK-GNSSによる位置合わせは、草木に覆われた道路わきに標識を設置する場合などに便利です。周囲の目標物からの見通しが悪くても、草木の中に標識の3Dモデルが立っている位置がピンポイントでわかります。
また、ユーザーが向いている向きの測定も正確なので、設置位置の周囲をぐるぐる歩き回っても、3D違和感なく回転します。
レフィクシアでは、このほか、LRTKで計測した点群データや、今後、施工する構造物などの3Dモデルをクラウド上で共有し、閲覧できる「LRTKクラウド」というサービスも提供しています。
こちらで使っている座標もグローバル座標系なので、別々に計測した点群をアップすると、位置合わせの手間なくつながります。
このLRTKクラウドにも新機能が追加され、国土交通省が無料公開している3D都市モデル「PLATEAU」の3Dオブジェクトを取り込み、WEBブラウザー上に表示できるようになりました。
その結果、LRTK付きiPhoneで計測した
点群データをPLATEAUに
位置合わせすることなく重ねられるようになったのです。
どこで計測したのかわからなくなった点群データも、この機能で街並みに重ねてみると、一発で計測場所が分かりそうですね。
2024年5月16日の当ブログでは、ニコン・トリンブルのスマホ用AR機器「SiteVision」が点群計測に対応したり、逆に今回の点群計測用に開発されたLRTKがAR機器として使えるようなったりと、なぜかARと点群の“相互乗り入れ”が活発になっています。
リアルな点群とバーチャルな3Dを組み合わせた、新たな活用法が建設業はもちろん、ゲームやアート、イベントなどでも広がっていきそうです。
【訂正】
初出時に「SiteVision」をライカジオシステムズ製としておりましたが、正しくはニコン・トリンブル製でした訂正します。(2024年5月21日)