RTK精度の“iPhone万能測量機”がARやPLATEAUに対応! レフィクシアの「LRTK」が進化
2024年5月20日

管理人のイエイリです。

iPhoneにRTK-GNSS用のアンテナを付けることで、点群や基準点座標などをセンチメートル級精度のグローバル座標系で計測できる「万能測量機」に変身させる画期的な機器として、レフィクシア(本社:東京都港区)の「LRTK iPhone 4C」(以下、LRTK)が、現場関係者の間で静かなブームになっています。(2024年4月8日の当ブログ参照

iPhoneを高精度の万能測量機に変身させる「LRTK iPhone 4C」(以下の写真、資料:レフィクシア)

iPhoneを高精度の万能測量機に変身させる「LRTK iPhone 4C」(以下の写真、資料:レフィクシア)

このほど、LRTKの新機能として「AR(拡張現実)」機能が追加されました。

RTK-GNSSの位置情報を利用して、

ナ、ナ、ナ、ナント、

屋外現場と3Dモデル

などを重ねて見られるのです。

自由の女神像(左)が東京タワー近くに引っ越してきた状況をイメージして屋外で表示させたARのイメージ(右)

自由の女神像(左)が東京タワー近くに引っ越してきた状況をイメージして屋外で表示させたARのイメージ(右)

従来のAR(拡張現実)は、3Dモデルと現場の位置を原点で合わせたのち、加速度センサーで現場の位置や方向を追っていくという方式をとっていたため、ユーザーが移動すると3Dモデルと現場の風景がずれてしまうという課題がありました。

その点、LRTKはRTK-GNSSの位置情報を使って現場と3Dモデルの位置を追跡していくので、ズレがなく、最初の位置合わせ作業も不要になりました。

このRTK-GNSSによる位置合わせは、草木に覆われた道路わきに標識を設置する場合などに便利です。周囲の目標物からの見通しが悪くても、草木の中に標識の3Dモデルが立っている位置がピンポイントでわかります。

また、ユーザーが向いている向きの測定も正確なので、設置位置の周囲をぐるぐる歩き回っても、3D違和感なく回転します。

道路わきに標識などを立てる位置を「反射板」としてAR表示した例。周囲をぐるぐる回ると反射板の向きも追従する

道路わきに標識などを立てる位置を「反射板」としてAR表示した例。周囲をぐるぐる回ると反射板の向きも追従する

レフィクシアでは、このほか、LRTKで計測した点群データや、今後、施工する構造物などの3Dモデルをクラウド上で共有し、閲覧できる「LRTKクラウド」というサービスも提供しています。

こちらで使っている座標もグローバル座標系なので、別々に計測した点群をアップすると、位置合わせの手間なくつながります。

LRTKクラウドで公園をスキャンした3D点群上に手すりの3Dモデルを配置した例。3Dモデルをグローバル座標系で作成すれば、位置合わせの必要がない

LRTKクラウドで公園をスキャンした3D点群上に手すりの3Dモデルを配置した例。3Dモデルをグローバル座標系で作成すれば、位置合わせの必要がない

このLRTKクラウドにも新機能が追加され、国土交通省が無料公開している3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」の3Dオブジェクトを取り込み、WEBブラウザー上に表示できるようになりました。

その結果、LRTK付きiPhoneで計測した

点群データをPLATEAUに

位置合わせすることなく重ねられるようになったのです。

LRTKクラウド上にPLATEAUから東京・六本木周辺の街並みを取り込み、見たところ

LRTKクラウド上にPLATEAUから東京・六本木周辺の街並みを取り込み、見たところ

LRTK付きiPhoneで計測した東京・六本木付近の点群データを読み込ませると、位置合わせなしにPLATEAUの街並みの中に表示される

LRTK付きiPhoneで計測した東京・六本木付近の点群データを読み込ませると、位置合わせなしにPLATEAUの街並みの中に表示される

どこで計測したのかわからなくなった点群データも、この機能で街並みに重ねてみると、一発で計測場所が分かりそうですね。

2024年5月16日の当ブログでは、ニコン・トリンブルのスマホ用AR機器「SiteVision」が点群計測に対応したり、逆に今回の点群計測用に開発されたLRTKがAR機器として使えるようなったりと、なぜかARと点群の“相互乗り入れ”が活発になっています。

リアルな点群とバーチャルな3Dを組み合わせた、新たな活用法が建設業はもちろん、ゲームやアート、イベントなどでも広がっていきそうです。

【訂正】
初出時に「SiteVision」をライカジオシステムズ製としておりましたが、正しくはニコン・トリンブル製でした訂正します。(2024年5月21日)

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