管理人のイエイリです。
列車を安全に運行させるため、鉄道の線路には列車を検知する装置や、速度を計測する装置など、様々な装置が付いています。
東海旅客鉄道(JR東海)はこのほど、列車の“乗り心地”をアップさせるための新たな装置を開発し、実用化にこぎ着けました。
その装置の機能は、列車が高速で通過するとき、
ナ、ナ、ナ、ナント、
車輪形状を精密測定
するものなのです。(JR東海のプレスリリースはこちら)
この「車輪形状測定装置」は、通過する列車の車輪にレーザー光を当ててカメラで撮影するものです。
その画像を解析して車輪とレールが接触する「踏面」の断面形状を精密に計測するものです。列車の通過速度は時速80kmまで測定可能です。
この装置で測定した形状と実際の形状の比較●
列車の車輪は走行によって摩耗し、徐々に形が変わっていくため、走行時に「ガタゴト」と振動が発生するようになります。そこで一定の期間や走行距離ごとすべての車輪の踏面を削り直すことで形を整えています。
しかし、安全側に管理しようとすると、削り直す頻度が高くなってしまうという問題がありました。
そこでこの装置を新幹線や在来線に取りつけておくことで、車輪形状を高い頻度で計測し、適切なタイミングで削ることで、車輪の長寿命化や低コスト化に役立ちます。
この装置は、通過する列車の
編成番号や車輪の位置
も識別できるので、車輪形状のデータとともに自動的に整理されます。
この車輪形状測定装置は、2025年度中にまず東海道新幹線で運用が開始され、2026年以降に在来線でも運用されるとのことです。
最近、列車側に高速度カメラを取りつけてレールや架線などの点検を行うシステムがいろいろと登場しています。
今回の車輪形状測定装置は、逆に線路側にカメラを取りつけて、走行する車両のチェックを行います。
線路と列車の間で、お互いに他者の異常を発見し合う“相互協力”システムが構築されつつあり、興味深いです。この仕組みは、道路とクルマ、空港と飛行機、運河と船など、他の交通インフラでも応用できるかもしれませんね。