管理人のイエイリです。
原子力関連施設のように高い耐震性が求められる現場では、太い鉄筋を何段にも重ねて組む、多段配筋が必要になります。
ところが、こうした現場の鉄筋はとにかく重い。D38クラスで10mもあれば1本で約90kgにもなりますから、職人さんが何本も扱って組み上げていくのは、かなりの重労働です。
これまでは屋外の組み立てヤードでは熟練の鉄筋工による手作業が中心でしたが、天候に左右されやすく、重量物を扱うので安全面の負担も小さくありませんでした。
今後も人手不足が激化する建設業で、こうした作業をどうやって回していくかはかなり切実なテーマですね。
そんな中、鹿島(本社:東京都港区)が施工する東北電力女川原子力発電所の現場で、画期的な方法が導入されました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
太径鉄筋を全自動で配筋
する「鉄筋自動プレファブ工法」が導入されたのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
この工法は鹿島がカジマ メカトロ エンジニアリング(本社:東京都港区)、スターテクノ(本社:愛知県大口町)、岡部(本社:東京都墨田区)と協働で開発しました。
その仕組みは、現場内に自動組み立て工場を置く、いわゆる“オンサイト鉄筋工場”という方法です。
まず、配筋ロボットが鉄筋束から鉄筋を1本ずつ自動で取り出します。そして、鉄筋ユニットの運搬台車と連動しながら、格子状に自動で並べていき、その後、結束ロボットが鉄筋交差部を自動で結束します。
対応する鉄筋はD35とD38で、製造できる鉄筋ユニットは最大12m×12m、最大重量13tです。完成した“鉄筋かご”ユニットは所定位地へ運搬して据え付けます。
単なる実験機ではなく、この現場では既に累計378ユニット、合計約2017tの施工を完了しました。
一方、人が行う作業は装置への鉄筋束の投入や結束金物の供給、完成後の運搬などに絞られます。そのため、熟練の鉄筋工への依存を大きく減らせます。
従来のように、重い鉄筋を持って位置を合わせ、交差部を一つ一つ手で結ぶ中心工程をロボットが肩代わりする。この割り切りが実にいいですね。
鉄筋の交差部分を結束する作業を作業員が行う場合は、通常は鉄線による手作業が中心ですが、このシステムではロボットが作業しやすいように、
フック式結束金物
が開発されました。
ロボットによる自動化のため、鹿島は結束方法そのものを見直し、ロボットが扱いやすい専用金具を開発したのです。
鉄線はサイズや重量、作業方法が人間にとって便利なので長く親しまれてきた資材ですが、ロボットに仕事をさせるためにこうした細かい部材の開発も大きなポイントになりそうですね。
女川原子力発電所の現場では、従来工法に比べて鉄筋ユニット製造の歩掛かり(生産性の指標)が約50%も向上し、重量物作業の大幅削減によって安全性向上にも寄与したとのことです。
鹿島は今後、他の太径鉄筋を使う工事にも展開していく考えです。
重い鉄筋を手作業で組む時代から、現場内の工場で大型ユニットをつくる時代へ。人手不足への対応というだけでなく、現場の安全性向上や働き方改革の点でも、建設業を明るくしてくれるチャレンジですね。























