管理人のイエイリです。
建物の環境性能は、設計初期で大筋が決まる――。業界では、よく言われる話です。ところが実務では、その大事な時期ほど使うツールが重かったり、初期検討と詳細設計が別々だったりして、案をたくさん振るのがなかなか難しいものです。
せっかく日照や日射、建物ボリュームを検討しても、その結果がその後のBIMにうまくつながらず、結局は作り直しになることも少なくありません。設計者が考える時間より、情報を並べ直す時間のほうが長い、という場面も珍しくないでしょう。
オートデスク(本社:米国サンフランシスコ)はこのほど、まさにこの“設計初期のもたつき”に切り込むBIMソリューション「Forma Building Design」を発表しました。
基本計画の場を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
クラウドBIMに移す
ことで、建物の環境性能向上と設計の生産性向上の両立を狙ったものなのです。(オートデスクのプレスリリースはこちら)
「Forma」は、オートデスクが進める建設業界向けの業界クラウドです。従来の「ACC(Autodesk Construction Cloud)」もこのの構想に組み込まれ、設計から施工までをクラウドでつなぐ構想がより分かりやすくなりました。
そして「Forma Building Design」は、基本計画フェーズ向けの新しい設計・解析ソリューションです。数分で地理情報に基づいた敷地を設定し、その位置情報を保ったままファサード、フロアプラン、ユニット構成などを自動化ツールで素早く作成・編集できます。
しかも、日照、日射時間、カーボンの解析までその場で行えます。つまり、建物の向きや形をあれこれ変えながら性能も確かめる。そんな設計初期ならではの試行錯誤を、クラウド上の設計空間で回せるようにしたわけです。
さらに「Revit」が初の「Forma Connected Client」となり、「Forma Building Design」や「Forma
Site Design」で固めた案を、ファイル交換なしで詳細設計へつなげる流れまで用意されました。
ここが、なかなかうまいところです。「Forma Building Design」は初期検討と意思決定、「Revit」はその後の詳細設計と設計図書の作成を担います。
最初から細部まで描き込むのではなく、まずは敷地条件を踏まえて、建物の大まかな形や平面、外装の方向性を比較し、そのうえで環境性能も確認する。そして方向性が固まったら、敷地情報や建物要素を含んだ位置情報付きのネイティブモデルとして「Revit」に取り込むのです。
初期案を“参考図止まり”にせず、そのまま次の設計に持ち込めるところがミソです。加えて、「Forma Carbon Insights」が「Forma
Building Design」と「Revit」の両方で使えるようになり、初期段階のカーボン検討を詳細設計へ引き継げるようにしたのも見逃せません。
その結果、クラウド上で設計を進めるだけで、自然と
グローバル座標付きBIM
データになっていく点も大きな特徴です。例えば、周辺道路や街並み、さらには埋設管などの測量データを踏まえたまま、詳細設計へ進めることができます。
これは「Civil 3D」など土木系ソフトに強いオートデスクらしい発想です。土木では当たり前だった“座標を持ったモデル”の発想が、建築BIMにも自然に入ってきた印象ですね。その後の詳細設計や施工計画で、あらためて周囲との位置合わせをやり直す手間を減らせるなら、かなりありがたい話ではないでしょうか。
今回のアップデートは、単なる新機能追加ではありません。初期検討、環境解析、BIM化、詳細設計、そして実際の現場とBIMデータを、クラウドとデスクトップをまたいで切れ目なくつなごうとする挑戦です。設計者にとって、ワンランク上の建設DXを目指すものではないでしょうか。
「Forma Building Design」と「Revit」の直結は、設計初期での判断を後工程まで生かす、いわば“逆デジタルツイン”的な設計環境を実現したものと言えそうです。
























