管理人のイエイリです。
今週から米国・ラスベガスで開催中の「Autodesk University 2012」(以下、AU2012)に取材に来ています。取材初日となる11月26日、米国オートデスクの社長兼CEOのカール・バス氏に早速、直撃インタビューのチャンスがありました。
オートデスクCEOのカール・バス氏(右側)(写真:特記以外は家入龍太) |
そこで私がぶつけた質問は、今年4月にフリーの3Dデザインソフト「Google SketchUp」(当時。以下、SketchUp)が米国トリンブル社に買収されたことに対して、どのように対抗するかというものでした。
というのも、SketchUpはオートデスクのBIMソフト「Revit Architecture」で建物を設計する前段階でよく使われており、BIMの垂直統合戦略を進めるトリンブル社の買収によってどんな影響を受けるのかが分からなくなったからです。
さぞかし痛いところを突かれたのではと思いきや、カールさんは「いや~、SketchUpは今後も無料で提供されるし、別に何ともないよ」と余裕の表情です。実は、余裕の表情には訳があったのです。
オートデスク自身が、
ナ、ナ、ナ、ナント、
FormIt(フォーミット)
というフリーの3Dデザインソフトを開発し、AU2012で発表する段取りになっていたからでした。
FormItの画面。なんとなくSketchUpに似た雰囲気です(資料:Autodesk) |
立方体や円柱を伸ばしたり、縮めたり、くっつけたり、穴を開けたりしながら徐々に複雑な形を作っていく手順はSketchUpと同様です。
建物のモデルには位置情報を内蔵しており、Google MapやApple Mapsと連動します。SketchUpと同様に日影シミュレーションも行えるようになっています。
iPad用のアプリで、そのデータはオートデスクのクラウドコンピューティングサービス「Autodesk 360」上に保存し、インターネットでどこからでもデータにアクセスできます。(iPad版の情報はココから)
そして作成した3Dモデルは、rvt形式に書き出し、Revitに読み込むことでBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のワークフローに乗せて、さらに詳細な設計へと進めていくことができます。
カールさんへの直撃インタビューの後、AU2012のプレス向け発表会でFormItのデモが行われ、その機能を見ることができました。
FormItのお披露目デモの様子(左)。iPadを手にデモを行うトム・ボラロさん(右) |
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ドラッグ・アンド・ドロップで自由自在に建物を変形できる(以下の資料:Autodesk) | |
時刻のスライダーを動かすと影の形も変わる(左)。Autodesk 360上に公開された建物もダウンロードして組み合わせることも可能(右) |
そして、クラウドと連動したFormItならではの強みもありました。それは、
通風や日照シミュレーション
といった高度な解析をクラウド上で行うことができることです。
FofmItで作った3Dモデルで日照解析を行ったところ |
さらにCFD(コンピューターによる流体解析)で通風解析を行ったところ |
YouTube上で公開されているデモ動画(注:BGMが流れます) |
まだ、今のところはSketchUpに比べて建具などのパーツが少なく、建物の外形をデザjインする程度ですが、今後、ユーザーから提供されたパーツが増えると、複雑なモデリングもできるようになるかもしれませんね。
(訂正)
当初、「パソコンでも使える」と記しておりましたが、将来、パソコンなどへの対応を検討中ということでしたので訂正します。