「東京水」を造る! 朝霞浄水場の工事現場で
活躍する工一郎(オリンパスイメージング)
2012年2月26日

「東京水」として知られる高品質の水を造る施設の工事の施工管理を支えているのが、工事現場用カメラ「工一郎」だ。山留めアンカーの施工から、掘削、配筋、コンクリート打設までさまざまな工種が同時進行する現場で、施工を担当する技術者が最新の機能をチェックした。

TEXT●家入龍太(株式会社 イエイリ・ラボ

 20120226-image01a.jpg
工一郎で朝霞浄水場第二期工事の工事写真を撮る戸田・新井組・奈良建設JVの黛峻亮氏

   十数台の歴代「工一郎」が活躍

敷地面積約23万m²の広大な朝霞浄水場は、東京都水道局がミネラルウォーター級の水質を誇る「東京水」を作る高度浄水施設だ。現場では、既設の浄水施設に隣接して第二期浄水施設を建設している。

建屋の規模は長さ198m、幅103mにも及び、地下は最大深さ16.5m、地上は最大高16.2mというスケールの大きさだ。地下にはポンプ室や配水池、地上にはオゾン接触池や活性炭吸着池などを収容する。

 20120226-image02a.jpg
アンカー工や掘削工が進むポンプ棟の現場。TG-810 工一郎で撮影

現場ではさまざまな工種が同時並行で動いている。中間ポンプ棟の現場では、アンカー工で山留めをしながら地盤を掘り下げている。配水池棟ではコンクリートを毎週200m³前後を打設している。生コンクリートのほか、管材や鉄筋など、膨大な建設資材が搬入されてくる。

搬入される資材や、配筋、アンカー工の打設などの施工状況をくまなく記録するため、工事現場用カメラは欠かせない。この現場ではオリンパスイメージングの「TG-810 工一郎」や「 μTOUGH-8000 工一郎」、さらには「μ1030SW 工一郎」など、十数台の工一郎シリーズが使われている。

「浄水場の工事なので、管材の搬入時には数量や口径、長さなどをしっかりと写真で記録しています。このほか、生コンの空気量やスランプなどの試験結果から、配筋の施工状態、現場全体の工事進ちょく状況の定点記録まで、工一郎はフル稼働しています」と、施工を担当する戸田・新井組・奈良建設JVで工事係を務める黛峻亮氏は語る。

 20120226-image03a.jpg  20120226-image04a.jpg
配管工事で使われるダクタイル鋳鉄管。TG-810 工一郎で撮影(左)。生コンクリートの空気量試験では、空気量の細かいメーターを接写して記録する(右)

   「現場で振り分けられるとは」と親方も絶賛

朝霞浄水場の現場事務所で、工事写真管理ソフト「蔵衛門御用達12」で作成した場所別工種別のフォルダー構成をSDカードに入力。「TG-810 工一郎」にセットして現場に出かけた。まず向かったのは、中間ポンプ棟の山留めを支えるアンカーの施工現場だ。

黛氏は初めて振り分け機能を使うにも関わらず、工一郎の液晶画面を見ながら手慣れた様子で「写真振り分け」→「チュウカンポンプトウ」→「アンカーコウ」と、振り分けるフォルダーを選択。その場で数枚の写真を撮った。

その場にいたアンカー工の親方さんもこれにはビックリ。「現場で写真が振り分けられるのか」と、不思議そうな面持ちで工一郎の画面をのぞき込んでいた。

 20120226-image05a.jpg  20120226-image06a.jpg
現場での撮影時に写真振り分け用の工種を選択できる。液晶画面の左側に工種が表示されている(左)。TG-810 工一郎でアンカー工の作業現場を撮影中(右)

続いて向かったのが配水池棟の建屋を施工中の現場だ。巨大な建屋の脇にはコンクリートポンプ車が待機し、次々と到着するコンクリートミキサー車の生コンを打設していく。1台4.25m³のミキサー車が1日に50台前後もやってくるという。

コンクリートポンプ車からやや離れた場所では、生コンの空気量測定が行われていた。生コンを密閉式の容器に入れ、圧力を加えると付属のメーターに空気量が表示される仕組みだ。黛氏の仕事には、このメーターの数値を写真撮影で記録しておくことも含まれている。

 20120226-image07a.jpg
TG-810 工一郎で撮影したアンカー工の作業現場

20120226-icon.gif写真整理を楽にする「写真振り分け機能」の詳細はこちら

   “懐中電灯”になった高輝度LEDライト

配水池棟の地下部分は既に完成している。地上から枠組足場を下りて地下室に入ると、地上の明るさに慣れた目には、真っ暗闇のようだった。グレーチングが敷き詰められた通路の下にはこの浄水場で最大となる直径2.4mの管路が敷設されていた。隔壁の向こう側は「商品」となった水道水をため、各家庭やビルなどに送る配水池だ。

ここで役に立ったのは、工一郎に備えられている「高輝度LEDライト」だった。もともとは暗闇の中でフラッシュをたかず、ほどよい明るさの写真を撮るための機能だが、ちょっとした懐中電灯代わりにもなるのだ。

地下室内でフラッシュを発光させると、舞っているチリが写真に写り込んだり、コンクリートの微妙な質感が撮影できなかったりすることも多い。黛氏はこれまで、高輝度LEDランプを使っての撮影を試していた。

 20120226-image08a.jpg
薄暗い配水池棟の内部。高輝度LEDランプは撮影だけでなく懐中電灯としても大活躍

20120226-icon.gif「高輝度LEDライト」の詳細はこちら

   写真ファイル名のリネームも不要の工一郎

工事全体の進ちょく状況を撮影する定点観測スポットになっている既設浄水施設の4階から写真を撮って現場事務所に引き揚げた。

これまでは、工一郎からSDカードを取り出して、パソコンにセット。日付別のフォルダーに原本として保存した後、工種別のフォルダーに手作業で振り分けていた。

複数のデジカメの写真が、この段階で一つのフォルダーにまとめられることになる。もし、別のデジカメからたまたま同じファイル名の写真があった場合、上書きされてしまう心配もある。その点、TG-810 工一郎にはファイル名の頭2文字を好きな英数字に設定できる機能がある。JVの職員ごとにイニシャルを付けるなどしておくと、同じファイル名になってしまう心配もない。

黛氏は「これまではファイル名を付け直すリネームソフトを使っていました。TG-810 工一郎なら、その手間さえも省けてしまうのですね」と感想を語った。

 20120226-image09a.jpg

20120226-icon.gifカメラごとにファイル名の規則が分けられる「ファイル名編集」の詳細はこちら

さらに、蔵衛門御用達12を使用することで、工事写真の整理作業は画期的に効率化されることになる(詳しくは「施工管理業務を効率化。工事写真管理ソフトで写真を工種別に瞬間振り分け」を参照)。

第二期工事は2013年度末に完成する。その後、2014年度末に設備工事や場内整備工事が完成すると、1日当たり170万m³もの高度浄水処理水を供給できるようになる。工一郎に課せられた使命は、第二期工事の完成まで品質管理を現場の最前線で支えることだ。

●工事概要

 工事件名 朝霞浄水場高度処理浄水施設(二期)築造工事
 発注者 東京都水道局
 施工管理 東京都水道局 西部建設事務所
 施工者 戸田・新井組・奈良建設JV
 工期 2010年11月5日~2013年4月19日
 工事場所 埼玉県朝霞市宮戸1-3-1
 工事概要 敷地面積:22万8316.30m²
中間ポンプ棟:RC構造(建築面積:6319.77m²)
配水池棟:RC+SRC構造(建築面積:1万270.30m²)
その他、管路工、土工事など
 20120226-image10a.jpg  20120226-image11a.jpg

●戸田建設株式会社

 URL http://www.toda.co.jp/
 本社 東京都中央区
 創業 1881年
 設立 1936年
 工期 2010年11月5日~2013年4月19日
 主な事業内容 建築/土木その他建設工事全般に関する事業、不動産の売買/賃貸その他不動産全般に関する事業

 

20120226-icon.gif本コンテンツをはじめ、積算、CAD、各種ソフト等のユーザー事例が収録された「建設ITガイド2012」やカメラなどが当たるプレゼントキャンペーンを実施中。ご応募はこちら
 20120226-image12a.jpg 工事現場用カメラや工事写真管理ソフトの活用事例が収録されている小冊子を応募者全員にプレゼント。
ご応募はこちらから
20120226-icon.gif最新の「工事現場用カメラ」と「工事写真管理ソフト」の情報はこちら
(Visited 2 times, 1 visits today)

関連記事
Translate »