Vectorworks教育シンポジウム2013
「テーマ:デザインイノベーション」(エーアンドエー)
2013年10月8日

2013年8月23日(金)、東京・大手町サンケイプラザで「Vectorworks教育シンポジウム2013」が開催された。5回目となる今回はメインテーマに「デザインイノベーション」をかかげ、サポーズデザインオフィスの谷尻誠氏が「How to Think」と題する特別講演を行った。

開会に先立ち、エーアンドエーの内田和子代表取締役社長は、「めまぐるしく変化する社会の中で、CADが果たすべき役割は大きくなり、創造の原点であるデザイン教育でも、ますますイノベーションが求められている。当社もOASISを通じてVectorworksやシミュレーションソフトによる教育の革新に貢献していきたい」と、あいさつした。

このほかOASIS加盟校の教職員による講演や、今回で3年目を迎えたOASIS奨学金を受けた学生の研究成果発表、3Dプリンタで作成した建築模型や研究成果パネルの展示なども行われ、Vectorworksを活用する教育関係者や学生などで会場は活気に包まれた。

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特別講演
How to Think

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サポーズデザインオフィス
建築家
谷尻 誠 氏

Vectorworks教育シンポジウム2013のテーマは「デザインイノベーション」だが、私自身、どうすればイノベーションできるのかと、いつも考えている。

新しいものを作るのは難しい。その理由を考えた結果、世の中を「名前」というものが支配しているように感じた。つまり、名前がものの使い方や機能を拘束しているのだ。

例えば「コップ」をデザインしてほしいと頼まれると、ついついコップらしい形のものをデザインしてしまいがちだ。しかし、人々はコップという名前のものが生まれる前には両手で水をすくって飲んでいた。両手が使えないと困るので似た形のものを使うようになり、そのうち「コップ」という名前がつけられたのだろう。

そこでコップというものをデザインするよりも、どうしたら水を飲む機能を実現するものができるかと考えた方が新しいものを作れるのではないか。

コップの中に金魚を入れると「水槽」になるし、花を生けると「花びん」になる。電球をつければ「ランプシェード」になるし、植物を植えれば「植木鉢」になる。コップという名前がついているときは機能が1つに限定されるが、その名前を取り払ってみると機能が拡張されるのだ。

逆に名前をつけることも大事である。例えば引っ越し先にまだポストがないとき、段ボール箱に「ポスト」と書いておけば、郵便配達の人が郵便物を入れてくれるようになる。

建物でも「ダイニング」「リビング」「浴室」などと部屋ごとに名前がついていると、それぞれ用途が1つに限定された空間になってしまう。名前をつけたり取ったりすることで、ものの機能をコントロールできることに気がついた。

私は東京と広島を拠点に活動しているが、広島の事務所は80坪ほどあり、その半分を何もない廃虚のような空間にしてある。ここで毎月ゲストを招いて「Think」というトークショーを開いているが、行為によって毎回、空間の機能が変わるのだ。

アーティストに作品を展示してもらったときは「ギャラリー」に、もと陸上選手の為末大さんに来てもらい、メダルを取ったときの映像を流したときは「スタジアム」のような熱気に溢れた。アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文さんが歌ったときは「ライブハウス」に、フードディレクターの野村友里さんが料理をふるまえば「レストラン」に、柳家花緑さんが語れば「寄席」に、茂木正行さんが髪をきれば「美容院」に空間が変わる、といった具合だ。

私はクライアントに頼まれた仕事とは別に、国内外の設計コンペにも積極的に参加している。その際、名前というものを一度取り除き、人々がその空間でどのように活動し、どんな体験をするのかを考えることで、新しいデザインを生み出そうとしている。これが仕事のクオリティーを上げることにつながると考えているからだ。

そのきっかけとなったのが、ポーランドの博物館のコンペだ。寒い場所なので地面を掘り下げて展示室を作り、上にガラスの天井を作って太陽熱を蓄えるとともに地熱利用を行い、地表には風力発電機を設置してエネルギー全部を自然エネルギーでまかなう設計だった。

建物がほとんどない地表には公園を一緒に設計した。公園は人々が目的もなくやってきて滞在する。それによって、博物館を目的にやって来た人だけでなく、なんとなく公園にやって来た人も博物館に来てもらえるのではないかと考えたのだ。

この作品のでき映えには手応えを感じていたが、海外コンペということもあり、応募書類が主催者に届かず戻ってきてしまい “幻のコンペ”となってしまった。

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設計コンペに積極的に応募するきっかけとなったポーランドの博物館コンペの設計提案

広島・宮島の展望台のコンペは、「和風で風景に調和する」ということが課題だった。現地調査に出掛けると、展望台がなくても山頂から周囲の景色が展望できた。そこで考えたのは、景観を阻害しない透明な展望台だ。

メッシュ状のエキスパンドメタルを折ることで柱、梁をつくり出す提案とした。遠目からは建物がぼんやりと透けて見え、近づくと建築物が姿を現すという案だった。

このほか、レンガ造で有名な群馬県の富岡製糸場の窓口となるJR富岡駅の建て替えコンペでは、あえてレンガ壁を使わず、「壁の要素は人が作る」という発想で柱と屋根しかない建築物を提案した。滋賀県の守山中学校の改築コンペでは仮設校舎を造らない設計案を出した。また、東急ハンズの新店舗コンペでは同店のイメージカラーである「緑と白」の2色で店内全体のサイン計画を提案した。

これらのコンペでは、募集要項の内容は分かっていたものの、よりよい案を追求するあまり、それを超えた設計を提案しがちだった。その結果、最終審査に残りながら、2位で負けてしまうことも多かった。

実際のプロジェクトでは、洋服屋をつくるとき、太陽光で作品が見られるオランジェリー美術館のことを思い出し、太陽光の下で洋服を選べる設計とした。プロジェクトに一見関係ないことでも、その本質を見極めれば関係性を見つけることもできるので、常にそういうことを考えて設計活動をしている。

周囲のアスファルト舗装やマーキングを店内に延長して取り入れたカフェ、2階だけ完成させ1階を「室外」とした住宅、逆に昔の外壁を「内壁」に変えた住宅の増築などで、建物の内側と外側の区別をなくしたデザインを実現した。

また、狭い敷地に建てた住宅では、内部に巨大な階段を作り、段上に「部屋」を設けた設計も実現した。

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室内全体を巨大な階段とし、段上に「部屋」を設けた住宅

これらのプロジェクトでは、建物各部分の名前を意識的に外したりつけたりすることで、新しいデザインを生み出したことが共通している。


OASIS活動報告

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エーアンドエー株式会社
取締役副社長 川瀬 英一

エーアンドエーのVectorworks教育支援プログラム「OASIS(オアシス)」は、今年8月現在で136校、142学科・コースが加盟するまでになった。今年は国立大学や国立高等専門学校、公立学校も多数、加盟いただいた。

OASIS創設の目的に、「次代を担うデザイナーの育成を支援する」というものがある。加盟の条件としてVectorworksで2次元図面を作成するほか、3次元モデルを含む授業を日常的に年間45時間以上行うことを求めている。2008年のOASIS創設時に、3次元教育を設けてほしいという願いから、こうした高い基準を設定した。

3次元教育を必要とするという考え方は間違っていなかったと感じている。というのは最近、3Dプリンタが急速に普及していることに象徴されるように、デザインの分野でも3次元教育が欠かせなくなっているからだ。

3Dプリンタを教育の現場で使おうとすると、その元データを作る3次元CADの教育も必要だ。Vectorworks Fundamentalsを含め3Dプリンタでの造形に使える「STL形式」のファイルフォーマットで出力できる機能もあり、3Dプリンタと連携した教育が行えるのだ。

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Vectorworksは3Dプリンタでの造形に必要な「STLファイル」を出力できるため、3Dプリンタと連携した教育が行える

また、建築設計の分野で急速に普及している「BIM」(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の教育には、Vectorworks Architectが使える。

日本建築学会の建築情報教育研究会で大学、高専、短大、大学校の建築学科を対象に2012年度に行った調査でも、Vectorworksが最も多く使われているソフトだった。MacとWindowsの両OSに対応し、2次元製図と3次元モデリングの機能を備え、BIMへの対応もできることを評価いただいたと思っている。

エーアンドエーは2012年度の文部科学省の委託事業「社会基盤整備の建設IT技術における中核的専門人材養成プログラム」にも参加し、専門学校でのBIM教育プログラム策定に協力している。

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OASIS加盟校で行われているBIMの授業

2011年から設けているOASIS奨学金制度では宮城大学で研究成果の出版物が発刊されたほか、OASIS加盟校の取り組みをインタビューして事例紹介する「OASIS探訪」も18件まで増えた。エーアンドエーではOASISを通じて、今後も教育現場のサポートを続けていきたい。


OASIS研究・調査支援奨学金制度成果発表

一次避難環境についての研究

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工学院大学大学院
小切山 孝治 さん

研究の動機は、東日本大震災の翌月、2011年4月に避難所にボランティアに行った経験だった。地震発生から1カ月もたつと避難所にもコミュニティーや秩序が生まれ、家族ごとのスペース割りができ、生活物資も充実してくる。だが、このころから生活環境への不満が顕著になってくる。

提案に先立って行った避難所研究から、避難所生活では毎日のように変わる環境に対応できる「多様性」と、手に入りやすい材料を使い、誰でも組み立てられる「簡易性」をもったテントが有効と考えた。そこで開発したのが、カブリオレ・シェルター(Cabriolet Shelter)という組み立て式テントだ。オープンカーのほろのような形をしているので、こう名付けた。

防水性の高いテントを支える構造体となる段ボールは、強度を高めるために荷重が集中するラインに「折板構造」を用いた。合理的な折り方を追求するため、約50種類の折り方をもとに構造スタディーを行った。水平荷重を支えるため主要部は直角よりも大きな角度で折り曲げる構造を採用した。

ほろのような部分は開閉式にした。ほろを閉じた状態では床面積は約1畳で、1人用の就寝空間や更衣室として使える。ほろを開くと床面積は約3倍の約6㎡となり、1家族分の就寝スペースとして使える。さらに2つのテントを背面で連結すると約12㎡となり、プレイルームや集会スペースとしても使える。

内部空間は以外と広く、人が横になっても広さを感じる。また、テントの透明部分の素材が少し曇っているので、外の人の気配が気にならないものに仕上がった。

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テントの構造スタディー(左)と完成した「カブリオレ・シェルター」(右)

トリイ・マンジプロジェクト

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日本工学院八王子専門学校
吉田 達也 さん

東日本大震災では、住宅地には津波による大きな被害が出た半面、神社、仏閣は被害を受けなかったものが多い。その理由を調査し、記録することで、将来の自然災害への備えに利用してほしいと考えた。研究テーマの「トリイ」「マンジ」は地図上で神社や寺を表す記号の名前に由来している。

調査した被災地は、宮城県石巻市北上町にある十三浜だ。文字通り、13の浜が川沿いに連なる地域である。私たちはこれらの浜にある神社や仏閣、祠(ほこら)の被害を調査して回った。

相川地区の高台、小学校の裏手にある祠(ほこら)付近には小学校の3階分に相当する約15mの津波が押し寄せた。祠のすぐ足元まで津波が来たものの、祠は学校の避難所にもなっていて、普段から避難訓練もしており、ここに避難した人は全員無事だった。祠の少し下方には平場があるものの、そこから一段高い場所に祠が設置されているのは、過去の津波で被災し、移設されたことをうかがわせる。

大室地区、小室地区では高台にある五十鈴神社や山神社の鳥居まで津波が到達したが神社は無事だった。ステンレス製の祠は津波で水没したものの、祠自体には被害がなかった。

無事だった神社などは基本的に高い位置にあり、周辺には木が多く生えており、津波の浸水域との境界線に点在していた。神社や仏閣、祠は緊急時の一時避難所としての利用のほか、地域の歴史を残す場所としても利用できる可能性がある。その配置自体も防災を考えたまちづくりに生かせるだろう。

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相川地区の高台にある祠にはすぐ足元まで津波が押し寄せた(左)。五十鈴神社には鳥居の下部まで津波につかったが神社は無事だった(右)

未来に生きる誰かのために~福島第一原発における監視と事故原発研究機能を併設した封印施設の提案~

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日本大学大学院
菅原 雅之 さん

今回、発表する封印施設の設計は、卒業研究、卒業設計として取り組んだものだ。現在は修士課程でさらに研究を続けている。この研究や設計は当初、建築意匠という大学の専門とは関係なく、福島第一原発について個人として疑問に思い、調べ始めたものだった。

原子力発電についての情報は一般の人々に知られにくい。今後は事実を包み隠さず公開し、さまざまな思想の人々が原発を正しく理解したうえで、未来への進み方を考えることが必要だ。しかし、廃炉に対する明確なビジョンはなく、事故が解決したという状況にはほど遠い。福島第一原発を単に事故の跡地にするのではなく、未来に向かうきっかけとなる位置付けにすることが必要だ。

そこで放射性物質を封印する施設として、全長1300m、幅600mという土木的スケールの巨大な建築物で覆い、閉じるだけでなく水を使って人体の安全を守りつつ透明性も確保する計画とした。放射性物質は遮へい管理方式という時間による減衰を待つ方法を採用し、放射能漏れを確実に防ぐために監視を継続する。

内部は分厚いコンクリート壁で汚染度別にゾーニングすることで安全を確保し、廃炉のための研究機関や原発の事実を知るための博物館を併設するというプランだ。単に半減期を待つだけの対策ではなく、積極的な廃炉技術の開発をここで行う。また、一般の人にも実物を見る機会を提供し、事故原発の事実を後世に伝えていく場所にするのだ。

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封印施設の施工手順(左)と断面計画(右)

東日本大震災2011のガレキ処理の実態と課題に関する研究

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米子工業高等専門学校
中嶋 健太 さん

 

東日本大震災では膨大な量のガレキが発生した。ガレキの処理が遅れると震災復興にも大きく影響するため、迅速に行う必要がある。しかし、被災地の東北3県におけるガレキの処理スピードには差が見られた。この研究の目的は、ガレキ処理の実態や処理スピードの相違を把握し、課題を明らかにすることだ。

環境省の2012年3月~2013年3月の災害廃棄物、月別ガレキ処理の統計により現状把握を行うとともに、岩手県陸前高田市と宮城県気仙沼市、南三陸町、石巻市、多賀城市、塩釜市、仙台市の7市町に対してヒアリング・アンケート調査を行った。調査内容はガレキの発生量や仮置き場、今後の課題などだ。

調査の結果、市町によりガレキの処理スピードには大きな差があることが分かった。例えば仙台市が9割超の処理を終えている時期でも、陸前高田市や気仙沼市、南三陸町は7割に達していなかった。特に津波堆積物ヘドロは処理が遅れており、被災地全体では災害廃棄物の処理が70%完了しているにもかかわらず、津波堆積物は50%しか完了していないことが分かった。

ガレキ処理が遅れた理由には国や県との連携不足という行政的な問題や、焼却施設や仮置き場の不足という施設的な問題、また、ガレキ処理の発注経験不足といった人的な問題、そしてガレキ処理特別法の補助金対象物の制限といった法的な問題などがあった。これらが解決できれば、今後の震災復興が迅速に行われるだろう。

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宮城県石巻市内の仮置き場(左)。宮城県気仙沼市内のビル解体工事(右)

総評

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エーアンドエー株式会社
取締役 大河内 勝司

私はOASIS奨学金制度の選考委員長を務めている。今日の発表を聞かせてもらって思ったのは、淡々と調査や研究の話をするだけでなく、失敗談もぜひ入れてほしかった。「当初、計画ではこんなことがしたかったが、実際はこうなった」とか、逆に「計画ではこんな想定をしていたが、思わぬ発見をした」とか、具体的な話を入れると迫力が出ると思う。

OASIS奨学金制度は、若い人を支援するためにOASIS校に在籍する学生を対象に毎年、総額100万円を5人または5組に与えるものだ。大学や会社で公的な補助金をもらうためには大変な手続きが必要だ。そこでこの奨学金は「複雑な事務手続きは不要」「奨学金の使途は不問」「A&Aへのお返しなんていうことは考えない」という運用三原則がある。将来、誰かに同じような機会を提供してくれればうれしいと思う。

2013年度の募集テーマは、「3.11以降を見据える『ゆとりの目』」とした。今年、東日本大震災をテーマにした絵本「およぐひと」を出版した絵本作家、長谷川集平さんは「本当の悲しみは遅れてやってくる」と言った。この絵本を読んで、今年も3.11をテーマにして良かったと思った。

また、今の学生世代はいわゆる「ゆとり教育」を受けた人たちだ。世間では批判の声が多いが、私自身、ゆとり教育の理念を支持したし、「ゆとりの目」に大変、期待している。自信を持ってテーマに取り組んでほしいと思う。

審査の結果、2013年度のOASIS奨学金授与者は次の3人が選ばれた。テーマは「来館者のゆとりある生活の質向上にむけた未来の公共図書館のありかた」(豊橋技術科学大学、土嶋雄介さん)、「旅行のきっかけをつくる鞄の研究・作製」(八戸工業大学、天坂幸紀さん)、「学生を中心に住民や専門家をまじえた集団による空き家改修とその活用の可能性」(米子工業高等専門学校、遠藤貴子さん)だ。来年、おもしろい発表になることを期待する。

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2013年度のOASIS奨学金の授与式。右より土嶋さん、天坂さん、遠藤さん

分科会1
Renderworksを活用した都市計画シミュレーションと3Dプリンタの活用

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都城工業高等専門学校
建築学科 准教授
中村 裕文 先生

宮崎県と鹿児島県との県境にある都城工業高等専門学校は、1964年に開校し、まもなく50周年を迎える。

校内共有のパソコンはMacが45台、Windowsが90台ある。建築の授業では主にMacを使っている。出力装置として、A1、A2のプリンタのほか、3Dプリンタも1台保有している。

CADを使った授業は3年の「建築CAD演習」が60時間、4年の「建築設計演習」180時間のうち30時間、5年の「意匠CAD演習」が60時間あり、専攻科1年で履修する「建築CAD設計演習」が120時間ある。

その内容は、3年がCADの基本説明と図面の複写、4年が3Dモデルの作成方法、5年がエスキスからプレゼンテーション図面の作成までをCADで行う。さらに専攻科1年では街区計画を含む設計が課題で、アニメーションを含むプレゼンテーションを行う。

Vectorworksのよいところは、2D図面と3Dモデルが連動し、さらにアニメーションの作成まで一貫して行えることだ。これは重要なことだと考えている。建築とは空間の集まりであり、シークエンス、特に時間と空間の連続体と考えているが、全部の空間を1枚の絵で表現することは難しい。しかし、アニメーションで表現することで空間の把握能力が非常に高くなる。

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都城工業高等専門学校でのCAD教育

3次元でデザインを検討するため、石膏の粉末を固めるタイプの3Dプリンタも使用している。その魅力は出力スピードだ。造形に約2時間、固まるのを待つ時間が約2時間なので、合計4時間ほどで模型が作れる。夜、造形を開始すると翌朝には模型ができている。できあがった模型を手にとって見ることで、効率よく3次元の形を把握することができる。

この3Dプリンタを使って、アテネのパルテノン神殿の前にある「ローマとアウグストゥスの神殿」の遺跡研究も行っている。携帯式の3Dスキャナーを現地に持って行き、残存している16個の部材をすべて測量してきた。1つの部材を200万~400万ポリゴンで表現した精細なモデルだ。データ量が非常に多いので画面では動きがとても遅い。そこで3Dプリンタで模型を作っておくと、好きなときに好きな方向から見られる。遺跡の理解度の向上にも役立つ。

また3Dプリンタは教材の作成にも使っている。2つの半円管が直交してできる「クロスボールト」やさらに複雑な「6分ボールト」などの形は、写真や図ではなかなか理解できないが、3Dプリンタで作った模型を手に取って見るとすぐに理解できる。

Vectorworksや3Dプリンタは中学生向けの公開講座でも人気だ。初めてVectorworksを使う中学生向けに、6本の円柱と半球状の屋根をもった「ロトンダ」という建物のモデリングを2時間ほどで教える。そして自分でデザインしたロトンダの模型は3Dプリンタで作り、持って帰ってもらう。

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中学生向けの公開講座で使っている「ロトンダ」の3Dモデル

受講生が特に感動するのは、2Dの図面が回転体コマンドを使って3Dに変身する瞬間だ。「おー」という歓声が上がる。さらに円柱を立体配列複写で6本配置するときには、興奮が止まらなくなる。

この公開講座は、本校の志願者増にも効果を発揮している。毎年、6人ほど公開講座を受けにくるが、そのうち5人が入学した年もあるほど、学生の興味をひいている。

このほか、VectorworksとRenderworksで景観評価や景観シミュレーション研究を行っている。景観は「良い」「悪い」と主観的な評価が行われることが多く、数値化するのが困難だ。そこで景観に影響を与える対象物を「景観影響物」(OAL:Object Affective Landscape)と定義し、景観に及ぼす影響を数値化する手法を開発した。

OALを3Dモデルで作成し、「光線追跡法」という手法で可視範囲をシミュレーションし、数値化する方法だ。こうした解析にもVectorworksによるモデリングやRenderworksによるレイトレーシング解析が役立っている。すでに宮崎県庁舎やパルテノン神殿などの景観検討にこの手法を使っている。

思えば、私と3Dの出会いは、30数年前に徳山工業高等専門学校の学生だったころ「MZ-80B」という8ビットのパソコンで3次元CADを自作したときが始まりだった。その後、進学した熊本大学から、現在までずっと3Dとともに歩んでいる。今後もVectorworksや3Dを生かした教育をさらに実践していきたい。


分科会1
専門教育とBIM:文部科学省委託事業「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」の取り組みから

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日本工学院八王子専門学校
副校長
山野 大星 先生

日本工学院は、総合型の専門学校として、デザイン、テクノロジーなど7つのカレッジ(学部)、38の学科を持つ学校である。建築設計科をはじめ、インテリアデザイン科、コンサート・イベント科など、複数の学科でVectorworksを利用しながら、基礎からデザインまで、さまざまな教育を行っている。

文部科学省は平成23年度から「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」を行っており、この中で、今回のテーマである「専門教育とBIM」について、調査研究を行った。

この事業は環境・エネルギーや医療・福祉・健康などの成長分野で中核的役割を果たす専門人材を養成するための標準カリキュラムを、大学や大学校、専修学校、高等学校などの教育機関と産業界からなる産学官コンソーシアムによって開発・実証するものだ。

安倍政権の「アベノミクス」の成長戦略にも後押しされ、この事業に対する期待は高まっている。平成23年度は全体で3億円だった予算額も、24年度は5億円、そして25年度は産学官のコンソーシアム19分野で11億円と年々増えている。

平成24年度には、建設分野で普及しつつあるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)も、成長分野として、「社会基盤整備分野」の1つに加えられた。

そして日本工学院は「社会基盤整備分野の中核的人材養成プログラム開発プロジェクト」を文部科学省から委託され、東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻の家田仁教授を座長とし、33人の委員からなる産学官コンソーシアムが発足した。その中の職域プロジェクトとしてBIMを活用できる人材を養成する「社会基盤整備の建設IT技術における中核的専門人材養成プログラム開発プロジェクト」が設けられ、18人の委員が参加した。このほか、「次世代国内インフラ整備」「パッケージ型インフラ海外展開」の職域プロジェクトも並行して行われた。

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社会基盤整備分野コンソーシアムの全体イメージ

今回、18~19歳程度の若い学生だけを対象とするのではなく、一度、社会に出た人も「学び直し」ができる「学習ユニット積み上げ方式」とした。4年制の専門学校を想定し、BIMマネージャーとして活躍するのに必要な専門的な知識や技能を数カ月のユニット単位で身につけられるカリキュラムとした。

カリキュラムの開発は、目標とする「中核的専門人材」とはどのような人材かを具体的に定義することが一番重要であった。議論の結果「次世代国内インフラ整備」「パッケージ型インフラ海外展開」については卒業してから10年後、30~32歳くらいで現場のリーダーとして活躍できる人材を想定した。

しかし、BIMの場合は即戦力が求められる。10年後というのは遅すぎるため、卒業後はBIMを活用できるスタッフとして即戦力になり、10年後にも自分で勉強しながらBIMの最新技術に対応できる人材を想定した。

BIMに対する教育ニーズを探るため、設計事務所や建設会社500社を対象にアンケート調査を行ったほか、BIMを導入している企業4社にヒアリング調査も行った。BIMを身につけるためにはまず建築の基礎が必要であること、3Dでものを考えることにより建築プロセスや建築教育を変える必要があること、そしてコミュニケーション力が必要であることなどを、BIMを活用する実務者から教えられた。

こうして得られた知見から専門学校の1年~4年でどのような科目を学ぶべきかを示したモデルカリキュラムを作った。1~2年で建築の基礎、3~4年でBIM関連の技術や演習を行うというのが基本的な考え方だ。達成度評価にはM(マインド)、K(ナレッジ)、S(スキル)の要素が含まれるようにして、知識や技術・技能だけでなく基本姿勢ももった人材の養成を目指すものとした。

カリキュラムを元に教師用と生徒用のテキストを作り、VectorworksとRevitを使ったモデル授業も行った。授業の前と後で受講者にアンケート調査を行ったところ、受講後はBIMについての理解や関心が一段と高まっていることが分かった。

この事業は平成25年度も継続されるので、さらにカリキュラムを改善し、実効性の高いものにしていきたい。

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会場で参加者に配布された報告書

分科会2
地方大学におけるICTを活用したアクティブラーニング

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日本文理大学
工学部建築学科 准教授(FD委員長・工学部教務委員長)
近藤 正一 先生

日本文理大学は大分県にある。本校のような地方大学は大都市や他大学などとの「遠さ」が、人的交流や物的交流のネックになっている。例えば有名建築家などを非常勤講師に招いた授業を実施したくても、地方だとなかなか実現しにくい。そこで、これまでICT(情報通信技術)を導入することにより、地方大学の弱点を克服するための取り組みを実践してきた。

また、2005年ごろから「アクティブラーニング」という言葉が話題となっている。アメリカ国立訓練研究所が提示した「ラーニングピラミッド」では、従来の教員から学生への一方通行の講義は記憶率が5%であるが、グループ討論や体験学習、他人に教える経験などの方法を採ると、記憶率は50〜90%に高まる。このように学生が能動的に授業に参加する教育方法をアクティブラーニングと文部科学省では定義している。

これまでの大学は主として「知識を習得する場」だったが、将来の社会が予測困難な現代において、大学はさらに「知識活用能力を養成する場」としても機能しなければならない。つまり勉強の仕方や問題解決の方法を身に付けさせることが必要なのだ。そこでアクティブラーニングの出番となる。

アクティブラーニング型授業は座学に比べて手間がかかり、学生も楽しんで学べる半面、学習のスピードが遅い、概念を知識や経験と関連付けて理解する「ディープラーニング」が十分に行えないという問題もある。アクティブさとディープさを両立させるラーニングが理想だ。

本学では、アクティブラーニングに対応できるように、全科目に「人間力の育成」を明示するとともに毎回学修課題を与えるよう、シラバスを改訂した。さらに授業中に学生からフィードバックを受けられるように「クリッカー」という教育設備を導入した。

クリッカーとは、テレビのリモコンのような装置で、教室の学生全員に配る。「先生が出した問題に答える」「授業中に分からなくなったらボタンを押す」「テストを行う」などいろいろな使い方がある。例えば、講義内容が分からないというボタンが多く押された時刻から、先生は講義のどの部分が分かりにくかったのかを知ることができ、後で教え直せる。

先日、地元の高校生を対象に建築の公開講座を行った。その時、講義の前と後に建築に対する興味について、クリッカーでアンケートを採った。講義前は建築に「少し興味がある」という答えが一番多かったが、講義後は「詳しく勉強してみたい」が一番だった。「かなり好き」「建築にすべてをささげたい」という回答も5割以上増えた。

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「クリッカー」を使用した授業の例

また、「ビデオ・オン・デマンド」というシステムも導入している。講義内容をビデオに撮って、サーバからインターネットを通じて学生に配信するものだ。大分県には合計8つの大学・短大・高専があり「とよのまなびコンソーシアムおおいた」という教育事業を行っている。各大学がビデオ講座のコンテンツを作り、8大学の間で共有するものだ。

インターネットで映像や音声を送れる「スカイプ」も教育に活用している。例えばイタリア在住の建築家、安田光男氏に3年生向けに「インテリアデザイン」の講義をスカイプで行っていただいている。日本とイタリアの間には時差があるので、安田氏には早朝からスーツを着て講義してもらうなどの負担もあるが、学生一人ひとりに丁寧に教えてくださっている。

スカイプによる授業では、事前に、学生は先生に制作した課題をメールで送らなければならない。そのため、自然にCADの操作が身に付くのも利点だ。また、面識のある先生であればお願いして、世界中、どこからでも授業を行ってもらえる。最近はインターネットの回線状況もよくなってきたので、地方大学ではスカイプはきわめて有効な教育ツールになっている。

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「スカイプ」でイタリアと日本をつないで行った授業の例

このほか専門教育での活動で、例えば大分県在住のデザイナー、松岡勇樹氏によるVectorworksでオブジェを設計し、レーザーカッターで部品を切り出して組み立てるといった取り組みや、大分県在住のデザイナー、下島啓吾氏による山林体験、工房訪問、付属医療専門学校研修など、ICTを活用しつつ地方大学の地の利を最大限に生かしたプロダクトデザイン教育などを実施している。また、校舎の階段を実測してVectorworksで製図することと同時にBIMで断面構造を理解させるなど、CADの導入教育と建築の基礎製図の授業を合体させる取り組みも推進している。

これらの成果をその他の通常の授業に活用していくことで、さらに全学的かつ本質的なアクティブラーニングが展開できると考えている。これからもアクティブラーニングの手法によりクラフトデザインとCADとを融合した専門教育を進化させ、敷衍(ふえん)し普及させていきたいと考えている。


分科会2
BIMを用いたクライアントを育てる建築教育

東京都市大学
都市生活学部 都市生活学科 教授
河村 容治 先生

大学の工学部の建築学科では、建築を設計する技術者を育てるのが教育の目的だ。その結果、建築学科を出た人は設計にこだわることが多く、発注者の立場になる人は少ない。

最近はBIMの普及とともに発注者、設計者、施工者、建材・設備メーカーが1つのチームとして協働しながらプロジェクトを進めていく「IPD」(インテグレーテッド・プロジェクト・デリバリー)が理想となりつつある。発注者がプロジェクトの一員として有効に機能するためには、建築の専門知識が必要となる。

東京都市大学都市生活学部は、発注者の立場で建築プロジェクトに参画できる人材を育成するための教育をBIMによって行っている。

これからの発注者に求められる能力とは、社会的ニーズの高い建築を察知し、イメージを具体化する力だ。そのためには建築の基本を理解し、空間把握力を身につけることも必要となる。都市生活学部の学生は文系で、商学、経営学やマーケティングリサーチ力など総合的な能力が必要なため、製図やデザインに割ける時間はとても少ない。

そこで、BIMを使って実際の工事と同じ工程を仮想的に体験することにより、建物の成り立ちを理解し、梁や屋根など隠れている部分を認識させることで、建築の基本や空間把握力をスピーディーに学べるようにしている。

BIMに関連する科目としては90分×2コマの演習形式の講義を3種類設けている。BIMで建築の基礎を学ぶ「デザインコンピューティング1」(必修)で約200人が受講している。2つ目の「デザインコンピューティング2」(選択)は約100人が受講し、BIMを用いて集合住宅の企画やプレゼンテーションを行う。3つ目の「デザインコンピューティング3」(選択)は約50人が受講し、BIMを使って地区計画や、まちの景観づくりを行っている。

これらの授業では、建築の基本的な理解度を確認するために、簡単な平面図から与えられた条件に従って60分で建物をモデリングする技術修得度テストと、建物の各部の名前を用語から選んで読みを書く用語理解度テストを行っている。

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60分間で簡単な建物のモデリングを行うテスト

さらに、空間把握力のテストでは、さまざまな形に積み上げられたサイコロの個数を隠れている部分も含めてカウントする問題や、各面に模様が描かれたサイコロの展開図を元に、サイコロを積み上げたときに各面から見た模様がどのように見えるのかといった問題を出した。建築学科の学生ではなく、文系の学生がこうした問題にチャレンジしているのだ。

授業をやっていく中で、建物のモデリングでは柱や壁など与えられた平面図に見えている部分に比べて、天井や屋根など見えない部分は学生の意識が薄く、モデリングされないことが多いことに気がついた。また、構造が複雑な階段も、断面がイメージできないと入力は難しい。

1度だけ丁寧にモデリングしても、すぐ忘れてしまうことが多い。そこで重要な項目については、繰り返し作業するという方法に変えていった。こうしたフィードバックによって、テストの成績は2011年度に比べて2012年度はすべての面で点数が向上した。

インターネット上で行われているBIMの仮想コンペ「Build Live」にも2011年から、3年生中心で参加している。2012年は、千葉県木更津市の課題敷地を実際に見学し、事前に48時間で課題をこなすトレーニングを行ってから参加した。

ソフトはVectorworksなどをメインとし、歩行者シミュレーション用の「SimTread」やBIMモデルチェック用の「Solibri Model Checker」、そして照明シミュレーション用の「DIALux」などを使い、設計案を検証しながら作品を仕上げていった。その結果文系の学部からの参加というめずらしさもあってか、2年連続で「BIMプランニング賞」をいただいた。

初め、SimTreadを手探りで使っていた学生も96時間の間にめきめき上達し、最後はリーダー格にまでなっていった。このコンペの参加で、約20人のメンバーはひと皮向けて成長した。言葉では伝えにくいプロジェクトの進め方も理解できたようだ。

東京都市大学でBIMを使った発注者向けの教育を始めてから今年で5年目となり、少しずつその成果が上がってきた。今年のBuild Live Japan 2013に参加したいと考えている。教育は繰り返して行うことが重要なのだ。

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BIM仮想コンペ「Build Live Kobe 2011」での作業風景

 


展示会場報告

講演会場の外に設けられた展示コーナーでは、OASIS加盟校のうち25校が学生作品を展示した。CG作品やプレゼンテーションボードなどが並び、講演の合間の休憩時間には多くの来場者が足を止め、作品に見入っていた。

本年は東京都市大学と都城工業高等専門学校が3Dプリンタによる造形作品を展示した。都城工業高等専門学校は、3Dスキャナーで計測した古代遺跡の部材を復元した模型や、中学生向けの公開講座の教材として使われた模型を展示。これらは分科会の講演でも詳しく解説され、注目を集めた。会場では模型を接写する参加者が絶えなかった。

展示コーナーは、学生にとっても他校の学生の作品に触れることで刺激を受け、新しいアイデアやモチベーションを得る絶好の機会だ。作品を前に、談笑しながら情報交換する姿もあちこちでみられた。

Vectorworks教育シンポジウムの展示コーナーは、OASISならではの学校横断的な交流や教育の場として、すっかり定着したようだ。

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休憩時間ににぎわう作品展示コーナー。OASIS加盟の25校が学生の作品を展示した
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人気を集めた東京都市大学、都城工業高等専門学校の3Dプリンタによる造形模型。カメラで接写する人が後をたたなかった
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エーアンドエーでは、今後もVectorworks教育支援プログラム「OASIS」や奨学金制度など、さまざまな活動を通して、デザイン教育の現場や、学校間の情報交流を支援していく。

【問い合わせ】
A&A.Vectorworks教育支援プログラム「OASIS(オアシス)」についてのお問い合せは、こちらをご確認ください。
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