本日は「Vectorworks教育シンポジウム2022 Web版」へご参加をいただき、誠にありがとうございます。長期化する新型コロナウイルスは、その収束が未だに見通せない状況下であるためオンラインでの開催となりました。新型コロナウイルスにより罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
ご挨拶
こんにちはエーアンドエーの横田でございます。日頃からVectorworksをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。さて、長引くコロナ禍の影響でさまざまな学校でいろいろな課題や問題点を抱え、大変ご苦労されていらっしゃるのではないかと推察いたします。
私たちも昨年1年間は対面での活動がほとんどできず、また今年に入ってやっと活動ができるようになったかなと思った矢先に、新規感染者数の増大によって現在活動が停滞している状況でございます。今年の教育シンポジウムにおきましても残念ながら、3年連続でWEB版という形でのご提供になってしまうことは非常に残念でなりません。
ただ、このWEB版を通じて、皆様にいろいろな情報を発信させていただきますので、今後にお役立ていただければ幸いです。
最後になりますが、昨年のご挨拶においてイーラーニングについて少し触れましたが、Vectorworks University(ベクターワークス
ユニバーシティー)というイーラーニング、いわゆるトレーニングサイトでのコンテンツが、この1年間でかなり充実してきております。
こちらの方も是非ご活用ください。来年こそは、ぜひ皆様と対面にて、いろいろと情報交換をさせていただきたいと思っております。引き続き、Vectorworksのご愛顧のほどをお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
オンライン分科会
動画配信期間 2022年9月9日(金)~10月9日(日)
神戸松蔭女子学院大学
人間科学部 ファッション・ハウジングデザイン学科
准教授 米原 慶子 氏
産学協業事例:「GEO-METALLIC HARMONY」滝川工業株式会社 エントランス・インテリアプロジェクト
帝塚山大学
現代生活学部 学部長
居住空間デザイン学科
教授 辻川 ひとみ 氏
Vectorworks Executive Prize 2022 (OASIS加盟校学生作品集 最優秀作品)
東海工業専門学校金山校
建築ライセンス本科
渡邊 遥奈(わたなべ はるな)さん
作品名 PLACE INSPIRE YOUR LIVING
作品の概要
陶磁器産業で栄えたこの町は、産業全体の衰退、規模縮小で人口流出が問題となっている。陶磁器を選ぶ選択肢が減りつつある中で、「せともの」の新しい価値をライフスタイルごと提供する集合住宅を計画した。ここでしか体験できない生活を瀬戸物と共に。
指導教員 横関 浩 先生
この計画では全体計画や個別建物のスタディが何度も繰り返され、その都度、レンダリングを行い確認が行われた。本来、この規模のものを1人で検討するのは大変だが、それをCADソフトが容易にし、短期間で質の高い設計に到達したことは特筆にあたる。
選考コメント(米国Vectorworks社 CEO ビプラブ・サーカー氏より) This time around Tokai Polytechnic College is the winner! This is a very ambitious project for mixed use housing and shops promoting the local ceramics trade, including its use as a building material. There are sophisticated ideas here about modular construction and public/private space. The project is large in scale, yet presented at a variety of levels of detail so it can be understood, even without the English translation. 和訳: 今回は、東海工業専門学校金山校が優勝です! このプロジェクトは、建築資材としての陶磁器の使用を含む、地元の陶磁器貿易を促進するための住宅と店舗の複合施設で、非常に野心的なものです。モジュール構造、パブリック・プライベート・スペースなど、洗練されたアイデアが盛り込まれています。このプロジェクトはスケールが大きいのですが、様々なレベルの詳細が提示されているので、英語の翻訳がなくても理解することができます。 |
<受賞者の喜びの声>
この度は、栄誉ある賞にお選びいただきまして、誠にありがとうございます。大変光栄に思います。千年以上の歴史を有する瀬戸物のまちを舞台にどのような建物を作るのか、盛り込みたいアイデアが沢山ありました。このような大きな規模の計画に不安がありましたが、挑戦し、思い通りの表現で一つにまとめ上げることができたのはVectorworksのおかげです。改めて感謝いたします。
Vectorworksデザインスカラシップ 2022
建築部門 | |
【審査委員】 | |
最優秀作品 タイトル :UBUNTU-小さなまち、大きな家? 学校名 :武蔵野美術大学 作者 :長谷川 ゆいさん/三原 陽莉さん |
審査員コメント:
株式会社SUEP. 末光 弘和 氏
「小さなまち、大きな家」というコンセプトが素晴らしく、出来上がった建物も魅力的であった。彼女は、建築を構成するエレメントに注目し、それを変形させ、肥大化したり、オーバーアクションしたりすることで、街と建築の関係を作り出そうという強い意志を持っている。また模型の色使いもカラフルで、そこから生まれる多様性のある豊かな空間を示唆している。未来の女性建築家の誕生を予感させるセンスを感じる秀作であった。
株式会社トミトアーキテクチャ 冨永 美保 氏
住まいをもつことや保つこと自体が、さまざまな他者(例えば近所の方、鳥や雨、四季など回転する事象も含めて)と、生きていることの気配を交換しあうような状態。そういった他者との関係を無理に促すでもなく、ただそれらのサイクルと一緒にある、そして自分自身のサイクルとそれが重なる瞬間があることに気が付く。それ自体がとても豊かなことだと思えるような、魅力的な作品でした。力づくで破天荒な構成にも関わらず、模型を見ると関係性の織物のような状態が生まれていて、思想と形が一体となっていることがわかります。かたちを持たない思想を、かたちにすることのむずかしさと、楽しさを同時に獲得しながら、建築にすることで遠くまで問いを投げかけてみるような、建築を介した対話が続いていく予感を感じて、最優秀賞に推しました。
優秀作品 タイトル : The dimensions house 境界が作り出す”大きさ”のある住宅 学校名 : 東京藝術大学 作者 : 齋藤 悠太さん |
審査員コメント:
株式会社SUEP. 末光 弘和 氏
人の身体から発想し、その小さな操作によって新しい生活空間を体現しようという、ささやかだが野心的な案である。図面や模型がとても美しく、その世界観に引き込まれる。スケッチには、彼の持つ身体的感覚が集約されている。最後、最優秀にどちらを推すか議論されたが、この身体感覚をベースにしたアイデアが、小さなスケールを超えて都市や環境などにどう及ぶのかが示されておらず、惜しくも次点となった。
株式会社トミトアーキテクチャ 冨永 美保 氏
建築という行為は、壁や屋根や床を持つことであり、それ自体がどうしても境界をつくることになります。その境界自体をうたがい、寸法として再定義することで、境界自体が事と事を結ぶ、もしくは間を豊かにとりもつきっかけにできるのではという気づきからつくられた住宅の作品です。境界を定義し直す実験として、とても小さい敷地・面積、厳しい条件を設定しながらも、端正で淀みのない、豊かな住まいの環境が生まれていました。極小ゆえの設計の難しさを楽しみ尽くしているような、設計力の高さを感じます。受賞おめでとうございます。
インテリアデザイン部門 | |
【審査委員】 | |
最優秀作品 タイトル : Forever ∞ Memorial ~ペットのセレモニーホール~ 学校名 : 大阪芸術大学 作者 : Wang Cai Rou さん |
審査員コメント:
一級建築士事務所 河村工房 河村 容治 氏
独特の世界観を持つ印象深い作品だ。時代の要求に則したテーマだ。セレモニーの後、度々供養に訪れたくなるような、海に近い公園内というロケーションの設定も良い。宗教や習慣に合わせてスタイルを選べるなど利用者に対して細かい配慮がなされている。施設計画だけでなく、セレモニーがどのように進行するかを具体的に説明されていて、利用の仕方がよくわかる。デザインに合わせて、プレゼンボードもクリーンなイメージに全体が統一されている。
株式会社モーメント 平綿 久晃 氏
ロケーションに対する建物の在り方、来館者の動線、手に触れる細部に至るまで、抜かりなく設計する姿勢が見て取れる。周囲とつながるように透明度高くデザインされた外観から、対象と向き合う閉塞的な微小空間までを継ぎ目なく設計している点に、弔う行為の本質が垣間見え、物語性を強く感じた。
株式会社モーメント 渡部 智宏 氏
ペットの需要が増え、家族という意識が強くなっている現在においてはとても重要な提案だと感じましたデザイン自体は浮遊感があり意図は伝わってきますが、
葬儀から納骨、お墓参りにいたるストーリーが空間にも反映されるとさらに良い提案になると思います。 また、公園に佇む建築・プログラムとしては存在感が少し強いかなと感じました。
人間のお墓参りもペットのお墓参りも、これからの時代は、もう少しさり気なくすることのほうが、いつでも天国に召されたペットに寄り添えるような気がしています。
優秀作品 タイトル : 認知症予防を考えた英語教室 ~脳科学を参考とした設計~ 学校名 : 国士舘大学 大学院 氏名 : 今泉 伎琳さん |
審査員コメント:
一級建築士事務所 河村工房 河村 容治 氏
空間を脳科学から発想するというコンセプトは大変興味深く、期待が膨らむ作品だ。しかし、コンセプトが十分デザインに消化されていない。コンセプトから具体的な作品に落とし込むまでの検討が不足している。英語教室がどのように運営されるのかも示して欲しかった。教室の具体的なインテリア計画もほしかった。表に示された色彩の組み合わせがどのように作品に展開していくのかも見たかった。素材が色々揃い、これから設計が始まるというところで作品が終わっている。
株式会社モーメント 平綿 久晃 氏
認知症予防・英語教室という目的と機能を先に掲げ、解析の過程から建築がかたちづくられ、インテリアの仕立てにも及んでいる点が興味深い。どこまでが建築でどこからが内装といった線引きが消失しているようにも見え、この施設特有の空間体験が立ち現れている。
株式会社モーメント 渡部 智宏 氏
認知症は少子高齢化する社会にとって重要なテーマです。 認知症の予防に第二言語の学習を結びつけるコンセプトも面白いと思いました。 アルファベットになぞらえた各部屋に空間的な個性を入れ込めればもっと魅力的な提案になったのではと感じました。
また、敷地が公園であれば積層するのではなく、平面的に伸びやかなプランにすることで 子供や成人の方々と触れ合える接点、そして独自の空間性にも発展できる可能性が生まれそうです。
Vectorworks デザインスカラシップ 総評
Vectorworksデザインスカラシップは日本での開催が二年目となり応募作品も増え審査が楽しみになってまいりました。今回もオンラインでの審査となりましたが、しっかり描き込まれた作品もじっくり見ることができ、レベルも高くなっていることを実感することができました。そのような中で、インテリア部門では時代背景をコンセプトにした意欲的な作品も見られ、未完成ながらも今後に期待させるものなど応募作品の幅の広さが感じられました。建築部門の優秀作品はいずれも魅力的な模型をプレゼンテーションのメインに据えたもので、日本の建築教育を代表する作品としてこの後の全世界を対象としたRichard
Diehl Awardでの評価にも期待しています。最後に、作品を応募された皆さま、審査員の皆さま参加いただきありがとうございました。気軽にグローバルな扉を開けるスカラシップとして次回も多くの方が参加されることを願っております。
受賞作品は以下のサイトでご覧になれます。
国内選考Vectorworksデザインスカラシップの様子は、こちらから
米国Vectorworks,inc.掲載へは、こちらから(外部サイト)
OASIS事務局からのご案内
日頃より、OASISならびにVectorworksをご愛顧賜りますこと、深く御礼申し上げます。今年も大変ざんねんではござますが、オンラインでの開催となりました。来年こそはリアル開催を目指して参りたいと思います。昨年よりご提供を開始しましたVectorworks Universityも好評をいただき、予想を上回る多くの方にご利用をいただいております。2D、3D、レンダリングの基礎だけでなく、インテリアBIMやシートレイヤ、ワークシートの使い方なども掲載されております。是非、Vectorworks Universityで学ばれた方は、Vectorworks操作技能認定試験で腕試しをおすすめします。Vectorworks操作技能認定試験はOASISに加盟されている学科学部に通われている生徒のみなさんは無償で受験ができます。
最後までご視聴をいただきありがとうございました。
Vectorworks教育シンポジウムWebに関するお問い合わせは、お手数をおかけいたしますがOASIS事務局までご連絡をお願いいたします。
OASIS(オアシス)事務局 e-Mail:oasis@aanda.co.jp
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