業務量そのままでピーク電力37%カット!清水建設技術研究所が今夏挑戦
2011年6月1日

管理人のイエイリです。

東日本大震災による原発事故の影響で、今年の夏は電力不足が心配されています。5月13日に、政府・電力需給緊急対策本部が発表した「夏期の電力需給対策に」によると6000万kWのピーク時需要に対し、東京電力の供給力見通しは5380万kWと予想されています。

そのため、東京・東北電力管内全域で、大口需要家・小口需要家・家庭すべてに15%の電力需要抑制目標を設定しました。

清水建設技術研究所(東京都江東区)は、建物エネルギー制御システム「シミズ・スマートBEMS」によって、この電力危機に対処することになりました。

その目標は政府の設定を大幅に上回っています。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ピーク電力を37%カット

 

することを目指しているのです。

しかも、業務量や快適性は損なわずに済みます。いったい、どんな仕組みなのでしょうか。

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清水建設技術研究所の本館(左)と全景(写真:清水建設)

 

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ピーク電力の抑制目標はナント、37%に(資料:清水建設)

研究所で使用する電源には、商用電源のほか太陽光発電や天然ガスエンジン発電機、蓄電池が組み合わせた「シミズ・マイクログリッド」が2006年8月に導入されているほか、空調機器には氷蓄熱ヒートポンプが含まれています。

一方、照明・空調機器は使用電力を自動的に抑制する「デマンドレスポンス」という機能が付いています。契約電力570kWに対し、消費電力を調整できる機器の合計電力は340kWと6割にも達します。

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技術研究所に設置された太陽光発電パネルと蓄電池(資料:清水建設)

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デマンドレスポンス制御対象設備と制御内容(資料:清水建設)

毎夜、翌日の天気予報データや空調設備の運用実績データに基づいて、翌日の空調エネルギーと太陽光発電を時間ごとに予測して空冷式ヒートポンプ、氷蓄熱ヒートポンプ、蓄電池の運転計画を作成します。このとき、最大使用電力が目標値を下回っていればOKです。

最大使用電力が目標をオーバーした場合は、建物内に外気を取り入れる「外調機」を、13時~16時と予測される

 

電力ピーク時に停止

 

させることで使用電力を約20kW削減します。

外気を取り入れないことで、外気による熱負荷も大幅に下がりそうですね。

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外調機を電力ピーク時に停止されることによる外調機の電力削減効果(資料:清水建設)

外調機を停止させると、室内の空気のCO2濃度が上がっていきますが、電力供給に余裕のある午前中から昼休みの時間帯にフル稼働させ、事前に室内空気のCO2濃度を十分、落としておきます。いわば“空調のフロントローディング”といったところでしょうか。

建設中の同社京橋新本社ビルにも、外壁に組み込んだ約2000m2の太陽光発電パネル(8万4000kWh/年)と150kWhの鉛蓄電池、非常用発電機を備えたマイクログリッドを導入することにより、電力ピークを3%程度カット。契約電力を約70kW削減できる見通しとのことです。

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