事故への対応を鍛える!トンネル交通管理者向けVRシステムが登場
2011年7月29日

管理人のイエイリです。

長大なトンネルの中で衝突事故や火災などが発生したとき、消防や救助隊、一般ドライバーに対する交通管理者の的確な指示が求められます。

しかし、めったに起きない事故に際し、時々刻々と悪化する状況のなか、プレッシャーに負けないで沈着冷静に指示を出すことは、事前の準備や心構えがよほどしっかりしていないと難しいですね。

例えば、1999年にフランスのモンブラントンネルで起こったトラックの火災事故では、管理者の指示が適切でなかったために39人もの死者を出しました。

そこで、フランス・ボルドーに本拠を置くBMIA社は、トンネルの交通管理者向けに、バーチャルリアリティー(VR)技術を用いたシステム「G' VAL Training System」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

様々な事故をVRで再現

 

し、交通管理者が迅速・的確に様々な指示を出せるように訓練するものなのです。

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6台のモニターと3台のパソコンを使って「G' VAL Training System」をデモするBMIA社のPhillipe Marsaud氏(写真:家入龍太)

例えば、クルマが故障してトンネル内に停止し、さらに火災が発生したというような事故を教官が仮想的に発生させます。

するとトンネル内に配置されている数百台のモニターカメラの映像にも、その状況が映し出されるとともに、警報システムが作動してアラームが鳴ります。

そこで交通管理者は付近のパトロールカーに現場での交通規制を指示したり、消防隊に火災の状況を知らせて出動を命じたり、さらにはトンネル内の排煙装置を作動させて適切に煙を除去したりといった作業を行います。

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監視カメラのモニター画面に映し出された事故現場の状況(画像:BMIA社、写真:家入龍太。以下同じ)

消防隊に出動を要請した後、現場に到着した消防車
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事故現場に車線標識の搬入・設置を指示した結果 出動を命じた車両がトンネルに入っていく様子をトンネル入り口のモニターカメラがとらえたところ

その状況はトンネル集中監視制御システムにも時々刻々と反映されるとともに、一つ一つの指示や現場状況の変化もデータとして記録されるようになっています。後で、交通管理者の対応に問題はなかったかや、改善すべき点などを「トレーサビリティー」によって検討することが可能です。

現実にはめった起こらない様々な事故を、異なる条件下でいくつも発生させて、交通管理者に仮想的な経験を積ませることができるのが、このシステムの特徴です。いざというとき、過去の“事故処理経験”がものを言いそうですね。

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トンネル内のカメラ位置や排煙装置の動作状況を表示するトンネル集中制御システムの画面

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様々な事故を仮想的に発生させたり、交通管理者の対応を分析したりできる教官用の画面

この訓練システムをリアルにするために重要な役割を担っているのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、フォーラムエイトのVRシステム、

  

UC-win/Road

 

なのです。

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画面の右上に表示された「UC-win/Road」の文字

事故発生時への対応や交通混雑防止のため、交通管理者向けのトレーニングシステムのニーズは世界的に高まっていますが、このシステムほどリアルなものはまだないそうです。

世界の交通管理者が、日本のVRシステムを搭載した訓練システムでトレーニングし、腕を競う時代が近い将来、やってきそうですね。

このシステムについて詳しいことは、フォーラムエイト発行の会報誌、「Up and Coming」の9月1日号に掲載の予定です。WEBでも公開される予定ですので、ご興味のあるかたはご覧ください。

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