管理人のイエイリです。
ここ数年、鉄筋量が多い建物や構造物が増えています。その結果、従来のように鉄筋の太さや曲げなどを考慮していない設計では、梁と柱の接合部などで鉄筋同士が干渉したり、定着長が不足したりという“過密配筋”が問題となっています。
過密配筋の例(資料:ダイワスチール) |
配筋の過密化に対応するため、ダイワスチールでは「DSネジプレート定着工法」の「柱主筋外定着方式」などを開発。建設会社などに提案しています。
11月18日、大阪市中央区の竹中工務店本社で開催された「コンクリート研究会」で、ダイワスチールの丸山透さんは、
柱主筋外定着方式
という最新の機械式定着工法によって、L字形に曲げた鉄筋を置き換える方法を提案しました。
この方法は、適正な配筋ができるほか、梁主筋の曲げ加工が一切なくなるので施工効率を向上できるというメリットがあります。コンクリート系の構造技術や耐震補強技術について技術支援サービスを行っている「建築構造技術支援機構(SABTEC機構)」から技術評価報告書も受けています。
このほか、従来の機械式継ぎ手を使った工法よりも主筋部のかぶり厚さを確保しやすい「DSネジカプラー梁TRスキップ工法」も提案しました。この工法を使うことで、「先組み」が行えるようになり、足場損料やクレーンなどの工費を削減することも可能です。
竹中工務店本社で開催された「コンクリート研究会」。左から2人目が丸山さん(写真:家入龍太) |
機械式継手金物および機械式定着金物の例(資料:ダイワスチール) |
「DSネジカプラー梁TRスキップ工法」による設計かぶり厚さの確保(資料:ダイワスチール) |
この研究会にはアーキテックの山下誠さんも参加し、開発中の鉄筋積算ソフト「鉄之助」の最新バージョン「鉄之助ソリッド」による配筋設計のデモンストレーションも行いました。
鉄筋を3次元で設計し、干渉チェックを行いながら
施工可能な配筋設計
を行えるものです。
機械式定着具による配筋も3Dモデル化して、干渉チェックなどが行えるようになっています。
「鉄之助ソリッド」による3次元配筋例(資料:アーキテック。以下同じ) |
3次元での配筋の干渉チェック |
機械式継ぎ手も3Dで再現 |
過密化する配筋の対策としては、定着部の鉄筋を減らすためのハードとともに、鉄筋の太さや曲率半径を考慮しながら3次元で配筋の納まりを検討するソフトの両面が今後も必要になりそうですね。