管理人のイエイリです。
グラフィソフトのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト「ArchiCAD」には、数量の集計機能が付いています。しかし、単純にモデル上の面積や体積を集計しただけなので、算出結果を正式な積算として使うことはできません。というのは、積算基準には「小さな開口部の面積は無視する」などのルールがあるからです。
一方、建築積算専業事務所の日積サーベイは、積算基準に基づいた建築数量積算・見積書作成システム「NCS/HEΛIOΣ(ヘリオス)」(以下、ヘリオス)を2005年に開発。関連会社のバル・システムから販売してきました。
そこで両社は、ArchiCADで作成したBIMモデルを、ヘリオスによる積算・見積もりに生かすため、
IFC形式による連携
を実現したと、本日(1/20)発表しました。
IFC形式とは、メーカーの異なる様々なソフト間でBIMモデルデータを交換するため、国際的な組織「IAI」が開発しているデータ交換標準です。積算作業に必要な情報を、ArchiCADからIFC形式で書き出し、ヘリオスが読み込んで作業することで、積算作業を大幅に省力化できます。
見積金額という施主にとって最も関心のあるデータが、BIMモデルからスピーディーかつ正確に算出されるようになると、BIM活用のメリットがいっそう大きくなりますね。
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IFCによるArchiCADと積算システム「ヘリオス」の連携イメージ(資料:日積サーベイ。以下、同じ) |
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ヘリオスでIFCデータを読み込むところ |
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BIMモデルの情報を生かし、ヘリオスで効率的に仕上げ数量を集計 |
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握手する日積サーベイの生島宣幸代表取締役(左)とグラフィソフトのコバーチ・ベンツェ代表取締役社長(右)(写真:家入龍太) |
積算では、柱や梁、ドアや窓といった基本的な要素だけでなく、「巾木」や「廻縁」といった細かい部材も拾い出す必要があります。IFCには、巾木や廻縁といった要素がないため、今回はIFCを拡張しすることによりこれらのデータを受け渡しています。
昨年、ヘリオスと福井コンピュータのBIMソフト「GLOOBE」の間でもIFCによるデータ連携が行われています。同じIFCだったら、ArchiCADもGLOOBEと全く同じIFC形式を書き出せるようにしたのかと思いきや、それぞれのIFC形式は異なっているとのことです。
その理由はちょっと専門的な話になりますが、部屋の仕上げ仕様のデータを受け渡す際、ArchiCADとは「層構造モデル」、GLOOBEとは「仕上オブジェクトモデル」という異なった方法を使っているからです。
両ソフトを連携させるための開発が始まったのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
去年の暮れ
だったそうです。
短期間で、「あっという間」に開発できたのは当事者にとっても意外だったとのこと。IFC形式によるデータ連携は、ソフトベンダーにとってもメリットがあるようですね。
現在、データ連携機能はある大手ゼネコンで検証しており、細かい調整を行った後、今年4月末に一般ユーザーにリリースされる予定です。