遺跡発掘調査にAutoCAD WS!オートデスクのクラウド戦略進行中
2012年1月23日

管理人のイエイリです。

スマートフォンやタブレット端末で使えるCADソフト「AutoCAD WS」は、無料で使えるクラウド型ソフトで、どこからでもDWG形式の図面を読み書きできることから、建設業界でも活用が期待されています。

このソフトが思わぬところで活躍していることが、1月19日にオートデスクが東京・東新橋で開催した「製造業/建築業向け クラウド型PLMソリューション記者説明会」で明らかになりました。

ナ、ナ、ナ、ナント、イタリアにある

 

ポンペイ遺跡の発掘調査

 

で、AutoCAD WSを使っているというのです。

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ポンペイ遺跡でのAutoCAD WS活用について発表する米国オートデスクアジア太平洋製造業マーケティングマネージャ(PLM担当)のジェイク・レイズ氏(写真:家入龍太)

米国オートデスクのウェブサイトの記事によると、発掘チームは米国シンシナティ大学の考古学専攻の大学院生からなり、CADが使える人はほとんどいません。毎日、遺跡で発掘し、発見したものを紙図面に描いて、CAD担当者がAutoCADで一つの図面にまとめているそうです。

これまでは学生が必要な部分の図面をCAD担当者に頼んで出力してもらっていましたが、各自がAutoCAD WSでCAD図面に直接アクセスし、必要な部分を見られるようにしました。CADに詳しくない学生でも、10分間説明するだけですぐに使えるようになったそうです。

壁の接合位置や、室内の空間的配置など、CAD図面の詳細な情報をいつでも見られるようになったことから、方位や壁厚などの類似点などを探すことができ、事実に基づいた論文を執筆するスピードが上がっているそうです。

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ポンペイ遺跡でのAutoCAD WS活用事例記事を掲載したウェブサイト(資料:Autodesk)

記者発表会は、オートデスクの製造業向けの「PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)」と、建設業向けの「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の各ソリューションについての、今後の戦略を解説するものでした。

PLMは3Dモデルを使った製品の設計、開発手法のことで、BIMは“建設業版PLM”ということができます。

「PLMの課題と将来展望」というテーマで講演した矢野経済研究所の庄司孝さんによると、PLMの課題としてはクラウド・コンピューティングへの対応や、中小企業や幅広い業種への展開などがあるそうです。

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「PLMの課題と将来展望」というテーマで講演する矢野経済研究所の庄司孝さん(写真:家入龍太)

また、将来の展望としては、3次元データをすべての工程が活用し、

 

クラウド型ソリューションに移行

 

することを挙げています。

製造業の世界は、製品の開発・設計拠点と、製造拠点が別々の国であることも珍しくなく、PLMによって「グローバル化」と「コラボレーション」が進んでいくと、庄司さんは予測しています。

オートデスクではBIMとクラウドサービスを組み合わせたソリューションを「Autodesk 360 for BIM」と位置づけ、Revit ArchitectureやCivil 3D、AutoCAD WSなどのCAD製品を、クラウドベースの情報共有システムやスマートフォンなどと連携させたソリューションの強化に取り組んでいくそうです。

今後、手元のパソコンとクラウドサービスを連携させた、思わぬソリューションが登場するかもしれませんね。楽しみです。

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