管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3次元CADを使った設計では、仮想の建物の中に入ってウォークスルーするVR(仮想現実感)技術が使われます。最近は、現実空間にマーカーを置いてその上に仮想の建物などを表示するAR(拡張現実感)も身近になりました。
キヤノンは現実世界と3次元CGを融合し、製品設計時の開発期間を短縮するMR(Mixed Reality複合現実感)システムを開発。2012年7月下旬に発売することになりました。
現実空間と仮想空間を組み合わせるほか、
ナ、ナ、ナ、ナント、
製品の重さや質感
も体感しながら、製品の完成イメージを確認できるのです。
現実空間と仮想空間の橋渡しをするのは、スキーのゴーグルのような形をしたヘッドマウントディスプレー(HMD)です。正面を見るための2台のビデオカメラや位置や姿勢を計測するセンサーが付いており、カメラやセンサーの情報から頭の位置や姿勢を計測します。
その情報を基に、現実空間とコンピューター上の3次元CG画像の大きさや角度でピッタリ合うようにHMD内部のディスプレーに表示する仕組みです。
MRシステムの構成要素(写真・資料:キヤノンITソリューションズ。以下、同じ) |
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HMD(左)。マーカーを張った現実空間のカメラ模型とMRシステムで質感や液晶ディスプレーなどを重ね合わせてを見た画像(右)。実物のカメラの重さも体験しながら完成時のイメージが分かる |
クルマの設計では、あたかも実車が目の前にあるように見え、車体を持ち上げたり、トランクを明けたりしながら実際の大きさでの使い勝手やデザインなどを検討できます。
また、工場内の製造設備のレイアウトを検討するときは、仮想の製造装置を設置し、動かした状態で現場を人間が歩いてみることで、作業性や安全性を検証することができます。
キヤノンの画像処理技術を生かしたHMDは精度が高く、視差を解消することで映像のひずみも少ないそうです。
クルマの設計では実際の大きさを体感しながら設計やデザインの検証が行える |
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気流シミュレーションの映像と合成して見た例 | |
工場建屋の実際の内部画像(上)に製造ラインの機器を設置して仮想的に運転した例(下) |
上記は製造業での活用方法ですが、建設分野では
住宅リフォームでの内装
の検討などにも有効に活用できそうですね。また、席替えレイアウトの検討などにも使えそうです。
販売はキヤノンITソリューションズが主体となり、3Dデータの活用が進んでいる工業デザインや設計分野から販売活動を始めます。
このシステムは今日(6/20)~6/22まで東京ビッグサイトで開催される「第20回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR)」で展示されます。