100時間かく戦えり!BIM仮想コンペ「BLJ2013」の現場を突撃訪問
2013年10月7日

管理人のイエイリです。

先週の9月30日~10月4日、インターネット上でIAI日本が主催する恒例の仮想コンペ「Build Live Japan 2013」(以下、BLJ2013)が開催されました。

今年の課題は神奈川県川崎市宮前区の実在マンションを、住戸数を上積みして建て替えるもので、難易度はウルトラC級の難しさです。

今回、エントリーしたチームは東北工業大学許雷研究室Guppy(芝浦工業大学)、スカンクワークス(前田建設工業)、東京都市大学デザインマネジメント&インテリアプランニング研究室Rabbits(芝浦工業大学)の5チームでした。

そこで先週、東京近郊の4チームの作業現場を突撃訪問してきました。まずは、「Guppy」と「Rabbits」がエントリーしている芝浦工業大学です。

同大学システム理工学部環境システム学科の澤田研究室(旧・衣袋研の後継)に所属する学生が2チームに分かれて作業していました。

部屋に置かれたテーブルの真ん中にはなぜか赤いテープが張られており、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

チームの境界線

 

になっていたのです。

この線の奥が「Rabbits」チーム、手前が「Guppy」チームというわけです。同じ研究室内でも競争意識をもちながら真剣に取り組んでいました。

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芝浦工業大学の澤田研究室。テーブルの赤線の奥が「Rabbits」、手前が「Guppy」の作業スペース(写真:家入龍太。以下同じ)

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「Rabbits」のモデリング作業(左)と「Guppy」の打ち合わせ風景(右)

次に訪ねたのは、社会人として唯一の参加チーム、「スカンクワークス」の前田建設工業です。

同チームは2009年に初めて開催された「Build Live Tokyo 2009」から、毎回参加しています。そのため、これまでのBuild Liveで意匠、構造、設備の各設計の連携や、新しい技術への挑戦などはやり尽くした感があります。

そこで今回は、若手設計者の教育の場と位置付け、入社3年目の瀧田亮輔さんがリーダーを務め、約30人の社内メンバーとユニマットリバティー リックカンパニー、イズミシステム設計、久慈設計、デジタルビジョンなどの社外メンバーを束ねていました。3年目でこんな大仕事を経験できるのは、BLJならではですね。

前回までは実務クラスは48時間だったので、今回は時間的にも余裕が感じられました。

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新旧リーダー。左側が瀧田亮輔さん、右側が綱川隆司さん(左写真)。新リーダーの采配ぶり(右)

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実務を行いながら淡々と進む作業

最後に訪れたのは、東京都市大学です。都市生活学部の山口重之教授、河村容治教授の「デザインマネジメント研究室」の学生約20人が「プロジェクトスタジオ」という大きな部屋に集まって作業していました。

この学部は文系ですが、将来の発注者を育成するため、教育にBIMを取り入れているのが特徴です。BLJ2013の取り組みでも、その特徴をよく生かしていました。

課題のマンションの住まい手が、どのようなライフスタイルを持っているか、どんな行事を行うのか、近隣住民とどのようなコミュニティーを形成するのかというのを徹底的に検討するため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

入居者200人のプロフィール

 

を創作したのです。

まさに、入居者一人ひとりのレベルまでマンションに対するニーズをブレークダウンし、どんなマンションが必要かという「要求事項」を発注者の視点で表現する作業です。

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入居者200人のプロフィール

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プロジェクトスタジオでの作業にはArchiCADの「チームワーク機能」が大活躍(左写真)。山口重之先生(後列右)、河村容治先生(後列中央)と記念写真(右写真)

100時間という長さには賛否両論ありました。今回は学生にとっては夏休みが終わった後だったので、授業に出ながらの作業は結構、大変だったようです。一方、社会人としては48時間という短時間の制約がなくなったため、デザインプロセスにじっくりと時間をかけて行うことができたとのことです。

各チームとも徹夜など、あまり無理はせず、淡々と課題に取り組んでいるのが印象的でした。審査結果は10月25日に、東京で開催される「ArchiFuture 2013」で発表されます。

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