管理人のイエイリです。
傾斜地や切り土による急斜面のある現場では、斜面崩壊の予兆をいち早く察知し、対策をとれるようにすることが施工管理上でとても重要です。
これまでは現場にセンサーを設置して現場事務所のパソコンでデータを収集し、管理値を超えているときには警報を出す、というシステムが一般的でした。
しかし、この方法は配線工事などが必要で、変状が発生してから警報を出すまでに時間がかかったり、工事の騒音で警報が聞きづらかったりするという問題がありました。
こうした問題を解決するため、清水建設がプラスチックのリサイクル事業を手がけるリプロ、無線通信機器メーカーのテスコムと共同開発したのが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
光るセンサ杭
なのです。
正式名称は「光る斜面崩壊検知センサ杭」というもので、LED回転灯、回転灯用の充電式乾電池、電池内蔵の無線センサ端末、プラスチック杭を一体化したものです。
清水建設などが開発した「光るセンサ杭」(左)と鹿野川トンネル洪水吐新設工事現場での使用例(右)(写真:清水建設) |
杭は2つの部分に分かれ、無線センサ端末と充電式乾電池を内蔵する全長900mmの杭本体と、杭頭に搭載する回転灯からなります。杭の表面には温度変化による影響を避けるため断熱セラミック塗装が施されています。
使い方は、この杭本体を岩盤に開けた穴に差し込んだり、土砂に打ち込んだりしてモルタルで固定した後、杭内部に無線センサ端末や乾電池を収納し、杭頭に回点灯を取り付けるだけです。
センサの管理値は2°に設定してあり、杭がこれ以上傾いた場合は瞬時に杭頭の回点灯が点灯します。そのため、斜面に異常が発生したときは、現場の作業員がすぐに分かります。
管理値の変更や回転灯のオン・オフは
モバイル送受信機とパソコン
で自由に設定できます。
また、無線センサ端末は内蔵の電池で約2年間連続稼働でき、回転灯は充電式の電池に半年に1回充電すれば繰り返し使えます。
この「光るセンサ杭」は既に愛媛県大洲市で施工中の鹿野川ダムトンネル洪水吐新設工事で使われています。
使い方も簡単で、斜面崩壊の危険をスピーディーに分かりやすく教えてくれるので、現場で重宝しそうですね。清水建設はこの杭を総合評価方式の工事での技術提案に加え、提案の差別化を図るそうです。