管理人のイエイリです。
先週、米国ラスベガスで行われた「Autodesk University 2013」(以下、AU2013)の展示会場は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCADソフトのベンダーであるオートデスク主催のイベントとは思えないほど、リアルな展示品があふれていました。
例えば、外装と構造、設備を一体化した建物のモジュール、CNC(コンピューター制御)機能付き工作機械、そして3Dレーザースキャナーや墨出し機などの測量機器です。
AU2013会場に設けられたオートデスクの現場コーナー(写真:家入龍太。以下同じ) |
構造と設備が一体化した建物のモジュール展示 |
中でも、驚いたのは、オートデスクの現場コーナーに展示してあった墨出し機用のコントローラーです。タブレット端末を使ったコントローラーですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
画面にはBIMモデル
が写っているではありませんか。
そして画面の左上には、墨出しをするための移動方向や距離などが表示されるようになっています。
墨出し機をコントロールするためのタブレット端末。画面左上には位置決め用の指示、メイン画面にはBIMモデルが写っていた |
|||
|
実はこのコントローラーは、トプコンが今回、発表した墨出し機「LN-100」とセットで使うものなのです。トプコンはLN-100のAPI(外部から制御するための手順やデータ形式など)を公開しており、このコントローラーはオートデスクが開発したものなのです。
つまり、BIMベンダーが墨出し機のコントロールソフトを開発することにより、BIMと測量機器の融合が実現したというわけです。
米国オートデスク社社長兼CEOのカール・バス氏は「オートデスクはリアルな世界とバーチャルな世界をスムーズにつなぐことを目指している」と語りました。
BIMが施工段階や維持管理段階で使われるようになると、リアルとバーチャルの両世界がよく一致していることが求められます。
墨出し機は、BIMやCADというバーチャルな世界のデータを、リアルな世界に落とし込むための装置です。そこに今回、BIMが入り込んでいったというわけですね。
一方、リアルな世界をバーチャルなBIMやCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の世界に取り込む装置としては、
3Dレーザースキャナー
があります。 最近、小型・軽量で300m以上の距離を計測できる3Dレーザースキャナーが各社から発売されています。 BIMやCIMで設計を始めるためのスタートとなるのは、やはり3Dの地形や現況構造物のデータです。 これまでの3Dレーザースキャナーは測量の専門家向きの機械でしたが、これからは設計者や現場の技術者自身が使って現場の現況を設計や施工管理に使う時代に入りつつあります。 そのため、設置や点群データの合成が楽に行える「顧客志向」の3Dレーザースキャナーも増えてきたようです。
トプコンの新型3Dレーザースキャナー「GLS-2000」。小型軽量で周囲360°×上下270°、距離350mの計測ができる |
ファローの新型3Dレーザースキャナー「Focus3D S120」。小型軽量で距離330mの計測ができる |
ライカの3Dレーザースキャナー |
測量機とBIM/CIMがシームレスに連携することで、バーチャルとリアルの連携も図りやすくなりますね。3Dマシンコントロールシステムなどへのシームレス展開も期待したいですね。