管理人のイエイリです。
AIA(アメリカ建築家協会)のTAP委員会が主催するBIMアワードは、今回で10年目を迎えました。
当初はデザイン検討や部材の干渉チェックといった活用が受賞の対象になっていましたが、今年の受賞作品は2005年の第1回に比べると非常にレベルアップしています。
例えば、審査員賞を受けた「ペロット自然科学博物館(Perot Museum of Nature and Science)」は、曲面を多用し凹凸のあるファサード、斜めのガラス張りエレベーターといったユニークな外観、内観を持つ建物ですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
プレハブ工法を徹底活用
するなどして、コストや工期も大幅に圧縮しているのです。
例えば、凹凸の付いたファサードはBIMモデル上で型枠のパターンを決め、工場でコンクリートを打設してプレキャスト部材を作成し、現場で組み立てる方法を採用しました。BIMによる設計のおかげで、現場でもぴったりと合ったそうです。
また、複雑な曲面を描く鉄骨の製作にもBIMモデルを使用し、CNC(コンピューター制御)の鉄骨加工機で製作しました。ほとんど直角の接合部分がないにもかかわらず、860t、8400カ所にものぼる継ぎ手のある鉄骨構造を、1件のRFI(設計に対する質疑)もなしに建設したとのことです。
さらに驚くべきは、設備工事です。
ナ、ナ、ナ、ナント、
シャフトまでプレハブ化
したのです。
事前に配管やダクトなどを取り付けておいたシャフトのユニットを一気にクレーンで吊り上げ、現場に設置しました。
このプロジェクトの詳細な説明書(英文PDF)を見ると、随所に「ROI」(BIMへの投資に対する利益)という言葉が出てきます。このほか現場でのタブレット端末活用や雨水利用など、随所に工夫が凝らされているのに感心します。
米国でのBIMは、プレハブ工法も大いに活用しながら、意匠性の高い建物を短工期、低コストで建設するまでに進化してきたようです。これは建設業が製造業のように変身してきたと言えるのではないでしょうか。