3次元CADなしでCIM!建設システムが「施工Revo」を発売
2015年10月21日

管理人のイエイリです。

土木構造物の3次元モデルを使って設計や施工管理を行うCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を行う場合、まずは3次元CADで構造物の3Dモデルを作るスキルを身につけるのが第一、と考えてしまいがちです。

ところが、土木工事の施工管理システム「デキスパート」シリーズを開発してきた建設システム(本社:静岡県富士市)は、全く違った方法で工事の3次元CG(コンピューターグラフィックス)作成や、4Dによる施工シミュレーションを行う「施工Revo」を開発し、10月27日に発売することになりました。

「施工Revo」で作成した橋梁の3次元CG(以下の資料:建設システム)

「施工Revo」で作成した橋梁の3次元CG(以下の資料:建設システム)

例えば、上のような橋梁の3次元CGを作成する過程では、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3次元CADは使っていない

 

のです。

「施工Revo」の概念図

「施工Revo」の概念図

建設システムはこれまで、デキスパートシリーズの様々なCADや施工管理システムを開発、販売してきました。今回、発売する施工Revoは、これらのシステムで作成した構造物の設計や施工管理データを3D地形上にまとめて配置し、「何でも見える化」を行うことを目指した製品です。

その基盤となる3D地形はどのように作るかというと、2次元図面の等高線などに埋め込まれた地盤の高さ情報を利用します。

2次元図面から高さ情報のある点を抜き出し、3D地盤面を作る範囲をマウスで指定すると、各点を三角形でつないで3次元空間上に面を張った「TIN」モデルが自動的に作成されます。

等高線などに高さ情報を持った2次元CAD図面

等高線などに高さ情報を持った2次元CAD図面

高さ情報のある座標を取り出して選択すると三角形で面を張ったTINモデルになる

高さ情報のある座標を取り出して選択すると三角形で面を張ったTINモデルになる

出来上がった3D地形モデル。橋脚は既存のデキスパートシリーズで作成したものを配置してある

出来上がった3D地形モデル。橋脚は既存のデキスパートシリーズで作成したものを配置してある

デキスパートシリーズには、様々な構造物の施工計画書を作ったり、工程管理を行ったりするシステムがあります。

これらのシステムで作成した構造物のデータを「施工Revo」の3D地形上に配置していくと、もともと入力されていた「工種」や「施工時期」などの情報をCIMモデルの「属性情報」として生かしながら、検討やシミュレーションを行えるのです。

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工程管理ソフトで入力されていた工種と施工時期のデータを使った4Dシミュレーション

工程管理ソフトで入力されていた工種と施工時期のデータを使った4Dシミュレーション

また、GPS(全地球測位システム)の座標やカメラアングル付き工事写真を読み込むと、

 

3Dモデル上に自動配置

 

してくれる機能も付いています。

GPS情報付き工事写真を「施工Revo」に読み込むと、3Dモデル上に自動配置してくれる

GPS情報付き工事写真を「施工Revo」に読み込むと、3Dモデル上に自動配置してくれる

このほか、時間情報付きのメモを時間軸に沿って自動的に整理してくれたり、要検討個所の画像を3Dモデルから切り取ったりと、CIMらしい施工管理が行える機能も付いています。

将来的には、3Dレーザースキャナーやドローンによる空撮写真で作成した点群データを読み込んで土量計算を行う機能なども追加していくとのことです。

気になるお値段ですが、54万円(税別50万円)です。デキスパートシリーズのユーザーさんで、日ごろの施工管理をCIM的にやってみようという方は、試してみてはいかがでしょうか。

これまで2次元CADに親しんできた施工管理技術者も、無理なくCIMの世界に入って行けそうですね。3次元CADを使わないで構造物の3Dモデルを作ったり、4Dシミュレーションを行ったりする手法は、日本ならではのノウハウになるかもしれませんね。

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