管理人のイエイリです。
中性子は、金属やコンクリートなどを簡単に通り抜ける性質を持っています。
理化学研究所(理研)と土木研究所(土研)などからなる共同研究チームは、中性子を使って
ナ、ナ、ナ、ナント、
コンクリート床版を透視
し、内部の空洞などを発見する非破壊検査法を開発しているのです。
これまでも、コンクリートの内部にある鉄筋や空洞などを発見する電磁式のレーダーが開発されてきましたが、強力な中性子を使った非破壊検査法となると、さらに透視できる範囲が広がりそうですね。
中性子を利用するとなると、以前は巨大な実験用原子炉レベルのものが必要でした。そこで理研はインフラ構造物の非破壊検査にも利用できる「理研小型中性子源システムRANS(ランズ)」を開発し、土研と共に床版コンクリートの検査方法を研究してきました。
しかし、レントゲン検査のように床版を中性子源と検出器ではさみ込む方法だと、従来の橋梁検査車のような大がかりなシステムが必要で検査できる場所も限られてしまいます。
そこで理研と土研の共同研究チームは、検査方法に改良を加えました。
コンクリートレーダーのように床版の上から中性子ビームを当てて、反射してきた中性子を解析する床版内部の空洞を発見する新しい非破壊検査方法を開発したのです。
この方法だと、床版の下に検出器を入れる必要がなくなるので、検査できる場所がぐっと広がります。
実験の結果、
厚さ30cmのコンクリート
の下にある厚さ55mmのアクリルブロックの検出や、路面から6cm下にある空洞の2次元分布の検出などに成功したそうです。
中性子は物質の透過力が、エックス線とは大幅に違います。これまで、建設分野には縁遠い存在だった中性子ですが、インフラ構造物の検査に使われると、これまでになかった効果が期待できそうですね。今後の改良が期待されます。
YouTubeで公開されている「科学のフロンティア17 中性子が拓く日本のものづくり~小型中性子源の研究開発ドキュメント~」( rikenchannel)