柱の傾きを2万分の1で計測!大林組が“長尺下げ振り”をカメラ化
2017年10月25日

管理人のイエイリです。

最近、ビル建設がどんどん高速化していくのを感じますが、その秘密は地下階と地上階と同時並行で進める「逆打ち工法」が採用されていることにもあります。

逆打ち工法とは、地上1階を施工した後に地下1階の梁や床を施工し、そこからさらに最下階に向かって掘削と床を施工していく工法です。同時に、地上階も施工を進められるので、工期の短縮が行えます。

この工法の成功は、最初に打ち込む長大な「逆打ち支柱」をいかに鉛直に打設できるかにかかっています。しかし、従来の傾斜計では誤差が多く、建て入れ精度が悪かった場合には設計変更や施工のやり直しというリスクもありました。

そこで大林組は、逆打ち支柱の建て入れ精度を自動的に高精度で計測できる「ストレートキーパー」というシステムを開発しました。

ストレートキーパー(赤い破線の部分)を使って建て込み中の逆打ち支柱(以下の写真、資料:大林組)

ストレートキーパー(赤い破線の部分)を使って建て込み中の逆打ち支柱(以下の写真、資料:大林組)

その精度は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

鉛直精度2万分の1

 

という高さなのです。長さ20mの柱の場合、水平誤差1mm以内で計測できることになります。

この高精度を実現できたのは、優れた鉛直精度を持つ「カメラ式鉛直器」の採用にありました。

高い鉛直精度を持つ「カメラ式鉛直器」

高い鉛直精度を持つ「カメラ式鉛直器」

ストレートキーパーの全体図。ガイド管の最下部にはターゲットが

ストレートキーパーの全体図。ガイド管の最下部にはターゲットが

ターゲットの画像処理画面。ターゲットの中心部を狙いながら施工する

ターゲットの画像処理画面。ターゲットの中心部を狙いながら施工する

逆打ち支柱に沿って仮設の「ガイド管」を設置し、その最下部には鉛直軸の目標となるターゲットが設置されています。

このターゲットを、ガイド管の最上部に設置したカメラ式鉛直器で狙って、鉛直方向の誤差を修正しながら高精度の建て込みを行うわけです。

カメラ式鉛直器で撮影した画像から、鉛直軸とターゲット中心との差を算出することで支柱の建て入れ精度を自動的に計測できます。

このシステムが優れているのは、どんな形の支柱にも取り付けられることです。支柱は泥水などの安定液が満たされた穴の中に設置することもありますが、地上からでは見通しがきかない

 

安定液中でも計測可能

 

というメリットもあります。

ストレートキーパーを導入した地下4階の複合施設工事では、長さ40m以上の支柱も使われましたが、すべて地上の鉄骨柱と同レベルの建て入れ精度で施工できました。

いわば、非常に長い「下げ振り」をカメラに置き換えたようなシステムですが、下げ振りのようにブラブラしないのが便利ですね。

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