配力筋を練り込む!3Dプリンターで造った橋の製作過程が明らかに
2017年10月26日

管理人のイエイリです。

2017年10月17日、オランダで3Dコンクリートプリンターで造った世界初の自転車橋(全長8m、支間長6.5m)が開通しました。

幅3.5mの橋桁ブロックは、アイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology )にある3Dコンクリートプリンターで造形し、現場での架設はBAMインフラ(BAM Infra)が担当しました。

YouTubeで公開された、3Dコンクリートプリンターでの造形から現場での架設までを記録した動画を見ると、非常に画期的な方法で造られたことがわかりました。

アイントホーフェン工科大学にある3Dコンクリートプリンター(以下の写真:BIM InfraのYouTube動画より)

アイントホーフェン工科大学にある3Dコンクリートプリンター(以下の写真:BIM InfraのYouTube動画より)

造形中の橋桁ブロック

造形中の橋桁ブロック

まず、3Dプリンターで造ったというと、無筋コンクリートの構造物を想像してしまいがちですが、この3Dプリンターは

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

配力筋を練り込む

 

ことにより、頑丈な橋桁ブロックを造っていたのです。

コンクリートのノズル先からは、配力筋となるケーブルが出てくる

コンクリートのノズル先からは、配力筋となるケーブルが出てくる

配力筋となるケーブルを練り込みながら造形している様子

配力筋となるケーブルを練り込みながら造形している様子

このケーブルは、従来のコンクリート構造物に使われてきた鉄筋メッシュと同等の強度があるそうです。

こうして造った橋桁ブロックは現場に運び、ブロック端面にモルタル状の材料を塗ってつなぎ合わせ、一体化します。

現場に搬入された橋桁ブロック

現場に搬入された橋桁ブロック

端面にはモルタル状の材料を塗る

端面にはモルタル状の材料を塗る

橋桁ブロック同士をつなぎ合わせる作業

橋桁ブロック同士をつなぎ合わせる作業

では、橋桁にかかる荷重を支えるための鉄筋はどうしたかと言うと、橋桁断面の空洞部に

 

PCケーブルを通して緊張

 

し、スパンにかかる荷重を支えられるようにしたのです。

橋桁ブロックの空洞部にPCケーブルを通して緊張して橋桁が完成

橋桁ブロックの空洞部にPCケーブルを通して緊張して橋桁が完成

クレーンによる現場架設作業

クレーンによる現場架設作業

この橋は3Dプリンターを使って造られましたが、建設に求められる従来の基準をすべて満たしているとのこと。寿命は30年以上を見込んでいるそうです。

3Dプリンターによる造形のメリットは、型枠なしでコンクリート構造物が造れることのほか、細かい空洞部を自由に造れることです。そのため従来の橋に比べると、使用するコンクリートの量はかなり少なくなり、ひいてはCO2排出削減にも役立ちます。

アイントホーフェン工科大学では今回の経験から、今後はさらに大きな構造物も3Dプリンターで造れるとしています。同大学は5軒の住宅を3Dプリンターで建設するプロジェクトにも参加しており、既に入居が始まっているそうです。

3Dコンクリートプリンターは、いよいよ建設機械の仲間入りをしてきましたね。

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