未利用端材を構造材に! XENCE、竹中らが金属3Dプリンターで木材架構モジュールを新開発
2025年11月26日

管理人のイエイリです。

森林で伐採した木を製材するとき、断面の中心部は柱や床板などに利用されますが、周囲の丸い部分は寸法や形状がそろわないため、チップ化したり廃棄されたりしていました。

こうした使いづらい「端材」をなんとか再利用できないかと考えた建築ベンチャー企業、XENCE(ゼンス) Architecture Studio(本社:名古屋市千種区。以下、XENCE)は、竹中工務店シモダフランジ(本社:兵庫県相生市)とともに、新たな木材架構モジュールを開発しました。

製材時の木取りの例。周辺の丸い部分は廃棄されることが多かった(以下の資料、写真:XENCE)

製材時の木取りの例。周辺の丸い部分は廃棄されることが多かった(以下の資料、写真:XENCE)

木材としての利用が難しかった端材

木材としての利用が難しかった端材

ポイントとなるのは、部材同士を接合する「ジョイント」です。平たく、丸みを帯びた木材をしっかりつなぐため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

金属3Dプリンター

でジョイントを造形したのです。(XENCEのプレスリリースはこちら

金属3Dプリンターで造形されたジョイント

金属3Dプリンターで造形されたジョイント

ジョイントの両側を副産材で挟むことで、木材架構モジュールとして活用可能に

ジョイントの両側を副産材で挟むことで、木材架構モジュールとして活用可能に

ジョイントの製作に使われたMX3D社製の金属3Dプリンター

ジョイントの製作に使われたMX3D社製の金属3Dプリンター

使用した金属3Dプリンターは、線状の金属材料をロボットアームで溶接するように積層する「WAAM方式」(Wire Arc Additive Manufacturing)と呼ばれるもので、オランダのMX3D社から導入したものです。

オランダ・アムステルダムの運河に架けられた世界初の3Dプリント鋼橋の造形にも使用されました(2018年4月5日の当ブログを参照

このジョイントには、木材との接続部分となる長さ50cm程度の張り出しが数個付いており、今回は材料にステンレスを使用して、20個のジョイントを製作しました。

XENCEらはこの金属ジョイントを使って、「WOOD X NODE」という実証建築を設計・施工したのです。

3Dプリンター製のステンレスジョイントは所定の位置に足場材で支えられ、木材をつないでいく

3Dプリンター製のステンレスジョイントは所定の位置に足場材で支えられ、木材をつないでいく

端材によって作られた木材フレーム

端材によって作られた木材フレーム

3Dプリンターで製作するので、ジョイントの向きを自由に設定できるうえ、従来の切削加工では難しい曲面や複雑な分岐形状も造形可能です。

さらにジョイントの設計には、

トポロジー最適化

という技術を活用し、力学的、材料的にムダのないジョイント部材を開発しました。

トポロジー最適化によるジョイント部の設計プロセス。ムダな部分を極力、そぎ落した

トポロジー最適化によるジョイント部の設計プロセス。ムダな部分を極力、そぎ落した

この取り組みによって、未利用材は“使える材料”に変わり、地域林業の新たな価値創出につながります。

デジタル設計と3Dプリンターを組み合わせた施工方法により、今後は古民家などの解体材や端材にあったジョイントを作り、再利用する道も開けてきそうです。

XENCEらは既に公共施設などでのパイロットプロジェクトも検討しているとのことです。

廃材などを再利用し、高架下に設置した木構造シェルターのイメージ

廃材などを再利用し、高架下に設置した木構造シェルターのイメージ

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