管理人のイエイリです。
建物の省エネ設計やCO2削減を検討する際に、これまでは建物の設計や仕様が固まってからシミュレーションを行うことが一般的でした。
しかし、建物の環境性能は設計の初期段階で大勢が決まり、設計が進んでからでは手遅れになることも多く、設計者のジレンマとなっていました。
そんな設計者のお困りごとに応えるため、大林組は同社が2023年に開発したCO2予測システム「カーボンデザイナー」の機能を拡張しました。
まだ建物の設計や仕様が固まっていない計画の初期段階でも、
ナ、ナ、ナ、ナント、
CO2排出量を定量的
に検討できるようになったのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
機能拡張後のシステムでは、「建物用途」「延床面積」「工事請負金額」「工期」の4項目の情報を入力するだけで、建物のライフサイクルCO2(ホールライフカーボン)を算定できます。
その秘密は、入力データ以外に、同社の施工実績や算定ノウハウも加味してシミュレーションを行う点にあります。
着工から解体までの時系列で排出予測や、必須4項目以外の詳細情報を追加入力することで、設計の進捗に応じて予測精度を高めることもできます。
さらに、このシステムの特徴は、建物のライフサイクル全体を対象にしている点です。「資材製造」「施工」「使用」「維持保全・改修」といった各フェーズで消費されるエネルギーやCO2排出を分解して可視化できます。
これまでは運用段階で建物が消費するエネルギーに注目が集まりがちでしたが、このシステムでは
資材製造や解体など
の工程で排出されるCO2も考慮し、ライフサイクルを通じて、資材の選定や施工方法、長寿命化設計など、多角的な削減策の検討が行えます。
環境省が公表した「2023年度の温室効果ガス排出量及び吸収量」というレポートによると、日本全体の温室効果ガス排出量は、すでに1990年レベルを下回る水準にまで削減されています。しかし、さらに脱炭素社会を実現するためには、建設業界においても一層の取り組み強化が欠かせません。
今回のようなツールの登場は、CO₂削減に本気で挑む設計者や企業を後押しし、持続可能な建物づくりの流れを加速させることが期待できますね。






















