Lib Workが土と3Dプリンターで100平米の住宅を完成! IoT制御や電力自給、生成AIなど最新技術も導入
2025年7月23日

管理人のイエイリです。

天然素材の活用や脱炭素社会の実現に力を入れている住宅会社、Lib Work(本社:熊本県山鹿市)は2025年7月22日に、土を主原料とした新型住宅「Lib Earth House model B」(約100m2)を熊本県山鹿市鹿央町に完成させました。

壁の材料には、土や砂を約65%使い、これに消石灰や自然繊維を配合しました。その結果、製造時のCO2排出量をRC造に比べて約50.2%も削減しました。

新型住宅「Lib Earth House model B」の外観(以下の写真、資料:Lib Work)

新型住宅「Lib Earth House model B」の外観(以下の写真、資料:Lib Work)

住宅の内観。土壁の重厚さと温かみが感じられるデザインとなっている

住宅の内観。土壁の重厚さと温かみが感じられるデザインとなっている

材料は土が主原料ですが、その建設は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

建設用3Dプリンター

で行ったのです。(Lib Workのプレスリリースはこちら

建設に使われたイタリア・WASP社製の3Dプリンター。写真は別の建物を造形中の様子

建設に使われたイタリア・WASP社製の3Dプリンター。写真は別の建物を造形中の様子

同社の調べでは、土を主原料とした100m2級の3Dプリンター住宅は、日本初となります。

施工手順はまず、現場に平らな基礎を構築し、その上にイタリア・WASP社製の3Dプリンターを設置して土壁を造形していきます。土壁の内部は細かく仕切られており、空洞が多く設けられています。

その後、3Dプリンターを撤去して空洞部に主構造となる木材架構を構築し、一般的な内装工事を行って完成です。

住宅の平面図。重厚な土壁が随所に配置され、デザイン上でもアクセントになっている

住宅の平面図。重厚な土壁が随所に配置され、デザイン上でもアクセントになっている

落ち着きのある空間

落ち着きのある空間

同社が2024年に建設した前タイプの「Lib Earth House model A」は、材料の一部にセメントを使っていました。今回のmodel Bはセメントを一切使っていないにもかかわらず、強度は約5倍に向上し、製造プロセスでのCO2負荷も大幅に減らしました。この材料開発のノウハウは特許出願中とのことです。

2024年に建設した「Lib Earth House model A」

2024年に建設した「Lib Earth House model A」

さらに最新技術も積極的に取り入れています。例えば、壁の中にはセンサーを埋設し、壁内部の温湿度をリアルタイムで計測する「壁内結露監視システム」を導入しました。

屋根には太陽光発電パネルを載せ、テスラ社の蓄電池「Powerwall」と組み合わせてオフグリッドシステムを構築。電力の自給自足も可能です。

またIoT(モノのインターネット)設備を標準装備し、エアコンや照明、浴室の設備をスマートフォンや専用モニターで遠隔操作できます。玄関ドアには顔認証システムも導入しています。

同社は今後、住宅の

設計段階に生成AI

を導入し、世界初の「フルオートビルド」(完全自動住宅建設)の実現を目指します。(Lib Workのプレスリリースはこちら

生成AIによる住宅設計のワークフロー

生成AIによる住宅設計のワークフロー

AIによる住宅設計システムは、先進的な生成AI技術を持つMaket Technologies Inc.(本社:カナダ・モントリオール)と連携して進めています。

今回、完成した「Lib Earth House model B」は、2025年8月から販売予約を開始し、2026年1月から受注を開始する予定です。

3Dプリンターという最新技術によって、日本古来の住宅素材である土が復活し、建設業の人手不足解決やCO2排出量削減まで実現するというLib Workの野心的な取り組みには、思わずうならされました。

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