世界初の3Dプリント鋼橋が造形完了!アムス・飾り窓地区に設置へ
2018年4月5日

管理人のイエイリです。

世界初の3Dプリンターによる鋼橋製作が、オランダ・アムステルダムで進んでいます。当ブログでも設計・開発段階(2015年6月24日付けの記事を参照)や、本格的な造形が始まった段階(2017年10月2日付けの記事を参照)で、詳しくお伝えしてきました。

その後も作業は順調に進んでいるようです。このプロジェクトを進める現地のベンチャー企業「MX3D」は、2018年4月2日、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

橋桁の造形が完了

 

したことを発表しました。

3Dプリンターによる造形作業が完了した世界初の鋼橋(写真:Courtesy of Joris Laarman Lab)

3Dプリンターによる造形作業が完了した世界初の鋼橋(写真:Courtesy of Joris Laarman Lab)

橋桁に乗るプロジェクト関係者たち(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

橋桁に乗るプロジェクト関係者たち(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

長さ12.5m、幅6.3mの橋桁の造形に使われた3Dプリンターは、一般的な工業用ロボットのアームに溶接機を取り付けた構造になっており、これをコンピューターのソフトで制御します。

造形材料にはステンレス製ワイヤが使われ、その重量は4500kg、長さは1100kmにも及んだそうです。造形に要した期間は6カ月でした。

工業用ロボットアームの3Dプリンターによる造形作業(写真:Courtesy of Olivier de Gruijter)

工業用ロボットアームの3Dプリンターによる造形作業(写真:Courtesy of Olivier de Gruijter)

橋桁の断面には、いくつかの補強材が造形されていることがわかる(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

橋桁の断面には、いくつかの補強材が造形されていることがわかる(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

高欄に施された精密なデザイン。3Dプリンターならではの意匠だ(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

高欄に施された精密なデザイン。3Dプリンターならではの意匠だ(写真:Courtesy of Adriaan de Groot)

MX3Dは今後、残りの部材の造形や、床版の取り付け、橋のコーティングなどを2018年10月までに終えるとともに、建設コンサルタントのアラップ(Arup)やロンドン・インペリアル・カレッジ(Imperial
College London)の研究者によって、橋桁全体の載荷試験を行って全体的な強度検証を進める予定です。

さらにロンドンのアラン・チューリング研究所(The Alan Turing Institute)のIoT専門家が、試験中や架設後の橋桁の健康状態をモニターするため、スマートセンサー網を橋桁に取り付け、ひずみや変位、振動を計測するとともに、大気の質や温度などの影響を調べます。

橋桁の応力解析図(資料:Courtesy of Arup, Joris Laarman Lab)

橋桁の応力解析図(資料:Courtesy of Arup, Joris Laarman Lab)

これらのセンサーは橋の架設後、何人がどんなスピードで橋を渡っているかなどの現状データを計測し、橋のコンピューターモデルと連動させることで

 

IoTによる橋の管理

 

も行います。

そして、将来の3Dプリンターによる鋼構造物の設計や、さまざまな状況における歩行者の安全確保に役立てるとのことです。

MX3D社の工場内に置かれた鋼橋の橋桁(写真:Courtesy of Thijs Wolzak)

MX3D社の工場内に置かれた鋼橋の橋桁(写真:Courtesy of Thijs Wolzak)

この橋桁はアムステルダムの飾り窓地区にある運河、アウデザイツ・アフテルバーフワル(Oudezijds Achterburgwal)の改修工事が終わり次第、現地に据え付けられる予定です。

飾り窓地区の運河に設置された橋桁のイメージ(資料:Courtesy of Joris Laarman Lab)

飾り窓地区の運河に設置された橋桁のイメージ(資料:Courtesy of Joris Laarman Lab)

写真を見る限り、3Dプリンターで作られた世界初の鋼橋は、デザインも出来栄えもかなりのハイクオリティーであると感じました。アムステルダムの新観光名所になることは間違いなしですね。

FACTSHEET
Location Bridge: Oudezijds Achterburgwal, Red Light District, Amsterdam,
crossing Stoofsteeg
Technology: MX3D, Proprietary Software
Client: City of Amsterdam
Designer: Joris Laarman Lab
Lead Structural Engineer: Arup
Material Expert: ArcelorMittal
Research: AMS-3D Building Fieldlab, Amsterdam Institute for Advanced Metropolitan Solutions
Digital Tools: Autodesk
Digital Twin: Alan Turing Institute
Sensor Network: Force Technology
Scanning: Faro
Construction Expert: Heijmans & Mous
Hardware, computing: Lenovo
Hardware, robotics: ABB
Hardware, welding: Oerlikon
Hardware, air cleaning: Plymovent
Welding Gas, Air Liquide
Material: Stainless Steel
Length: 12.2 meter
Width: 6.3 meter
Height: 2.1 meter
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